クソ息子に鉄槌を 其の一
この世界は、魔物が蔓延る世界である。故に魔物と人類の争いが幾度となく繰り広げてられている。そんな世界で、人類は対魔物に対抗する手段としてイリュージョンウェポン(幻想武器)を神から授かるのであった。しかしそれは成人になるまでの子供たちのみ授かる事許されており、成人を迎えた者は自然と使えなくなる。マナという能力により創り出され、各々が創造する物一つだけ与えられる唯一の対魔物に特化した武器である。全ての子供が創り出されると言うわけでもなく、何かしらの力が働いて創り出されるもの。その何かしらの力と言うものは未だに解明出来ていない。そんな中で今日もまた一人の少年が理不尽なこの世界で必死に生きているのであった。
放課後、真斗は佐藤と合流すべく校門前に立っていた。すると直ぐに佐藤とその取り巻きが現れる!
『よお!クズノ瀬!今日は、俺の凄さを見せてやるからなっ!楽しみにしておけよ!』
佐藤は不穏な笑みを浮かべ街へと歩き出す。
真斗は、列の一番後ろに陣取る。そして、遥か後方に一つの視線に真斗は気づく。何となく誰だかは心当たりがある。夜桜だ。
夜桜は、佐藤に絡まれた真斗がどういった行動に出るのか気になっていたのだ。
一行は、佐藤の『どけ!オラァ!佐藤様のお通りだぞ、道をあけろ!』などと言いながら、進んで行く。
ショッピングモールに着いた一行は、目的もなくただブラブラしている。
一方、真斗はと言うと・・・・。
(うーん、後ろの夜桜が気になるな。何してるだあいつ?気配消せてないし、勘のいい奴なら普通にばれるぞ。)
そんな気配を感じ取れる者などNumbersのメンバーだけである。普通の学生は気配など消せるわけがない。
すると、佐藤一行の前から一人の男の子が走ってくる。男の子は、佐藤にぶつかり尻餅をつく。
『あぁん!?俺にぶつかるとは、いい度胸じゃねーか、クソガキ!』
佐藤は、男の子に対して思いっきり腹蹴る。
男の子は、転がってその先で泣きながら『痛いよう』っと言っている。すると母親ならしき人物が佐藤に近づいて来て、『すみませんうちの子が』と頭を何度もさげる。が、佐藤は、
『おめー、教育がなってねーんじゃねーのか?あぁん?』と言って、母親の顔を全力で殴る。母親は、鼻血を出し何度も『すみません、すみません。』と頭を下げている。
『ちったぁ、気をつけろ!クズ庶民が』と言い佐藤一行は、進んで行く。
それを見ていた夜桜が怒りを露わにしている。
(えぇ!?夜桜。そんな殺気を放つと佐藤が気づくよ)と思いつつ、
仕方なく、真斗は倒れている少年と母親対して、マナを使い傷口を回復させる。
すると、少年は立ち上がり、『痛くない、痛くないよお兄ちゃん』と真斗に言う。母親の方にも顔に手を当て、鼻と口を回復させる。
すると母親も『えっ!?傷口が治っている?嘘でしょ』と驚いている。傷口を治せる者などマナの扱いに長けている者だけだ。それはNumbersにしか出来ない事である。
その光景を目にしていた夜桜は、母親達を捕まえて、事情を聞いている。
(いやー、余計な事聞くなよ夜桜さんよぉ)と思う真斗であった。
その後も、トラブルがありその都度、謝りながら傷口を回復させる作業に終われた。
時刻も夕方になり、一同は解散する事となった。
家に帰ってきて、いつも通りに楓でに報告すると、
『ふーん、やっぱりクズって何処にでも居るのね』と呆れ返っている。
そして俺は、夕飯を食べた後いつも通り、夜のパトロールに出かけて一日を終えるのであった。