小さな怪獣高砂柚子
自分も強くなりたいと花穂に話す吉沢。その話しを聞いた花穂は力になると言い、numbersのメンバーに相談してみると約束する。そして、高砂家に着いた4人だがそこでは真穂の天敵が待ち構えていた。
広場での一件の後、吉沢達は高砂の家へと向かっていた。真穂が高砂の車椅子を押して、吉沢と花穂は2人の後ろを歩く。そして、吉沢は花穂に向けて率直な質問をしていた。
「花穂先輩と真穂先輩はどうしてそんなに強いんですか?」
「どうしてそんなに強いか?か・・・。私達は、真兄に戦い方を教わったんだ。孤児院が襲撃にあった時、私達は2人同時にイリュージョンウェポンが発動して、何をどうすればいいのか分からなくてさ、そんな時真兄が助けに来てくれてお願いして教えてもらった。ただ、真兄には基本的な事だけ。後は独学かな。なんせ、真兄のイリュージョンは銃であたしはガンブレードで主に近接戦闘で戦うから根本的に教え方が分からないみたいだったし。真穂に至っては、大盾で防御特化だったからね。」
「そうだったんですね。独学か・・・。」
「言っておくけど、あたしも真穂も吉沢君には教えられないよ?あたしと吉沢君では武器のリーチが違い過ぎるし、真穂も喋れないしグラディエーターは真穂の意志で動いてるから。」
「意思なんですか?勝手に動くとかじゃないんですね。」
「あぁ。アテナもグラディエーターも両方真穂の意志で動かしてる」
「マジかよ。」
「まぁ、吉沢君の武器だと・・・・・。うーん・・・・。栞菜ちゃんか葵ちゃん、それに竜也さんか。」
「葵ちゃん?竜也さん?誰ですか?」
「ん?さっき居たでしょ?葵ちゃんは、背中におっきな斧を背負っていた女性、竜也さんは薙刀・・・・出してなかったなあいつ!栞菜ちゃんがあれほど言ったのに!」
「百合の事で必死だったんで全然覚えてないです。」
「あー、そっか。確かにあの時は状況が状況だったからね。今度、3人に聞いておいてあげるよ!ただ、栞菜ちゃんはいつも忙しいから期待しないでね。」
「はい!ありがとうございます!」
そんなこんなで4人はあっという間に高砂の家へとやってきたのだが・・・・・・・・・。
「・・・・・・・・・・・・・・・真穂先輩?」
皆、予想はしていた。向かってくる悪党や魔物には臆さないが、敵意のない者が近くに来るとビビッて大盾を出して隠れてしまう事を。そして、今真穂達の目の前にある家の中には天敵がいる。やがて、吉沢は呆れ半分で高砂の家の呼び鈴を押した。
【ピンポーン】
「はーい!」
【ガチャ】
すると中から皐月の声がして、扉が開かれ吉沢と高砂が帰って来たと気づいた小さな天敵が走ってやってくる。その天敵は、全身黄緑色の怪獣のパジャマを着て怪獣の口の中から顔を出して、更には両手を上にあげて
「がおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
と吉沢に向かって言い放つ。毎度の事なので吉沢は慣れたもので、
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。や、やられたぁぁぁぁぁ」
と地面に倒れる。そんな吉沢を見て小さな怪獣はキャッキャッと喜び、吉沢の隣に居た花穂にも
「がおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
と言い放ち、花穂も空気を読んで、
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。やられたぁぁぁぁぁぁぁ」
と地面に倒れる。その場で倒れた2人を見て大満足な小さな怪獣は、高砂の後ろにある大きな盾みて考え込む。
「ん――――――――。」
真穂は盾から顔も出さず隠れている。数秒考えた小さな怪獣は、その盾に向けて
「がおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
「――――――――――――――――――――――――。」
すると、突然盾の後ろに女神アテナとグラディエーターが召喚される。
「!!!」
あまりの驚きに小さな怪獣は尻もちをつき、次第に泣き顔になり、結局泣いてしまった。
「う・・・うぅ・・・・うぅぅ・・うわぁぁぁぁぁぁん」
小さな怪獣は、すぐさま泣きながら高砂に抱き着く。高砂は小さな怪獣の頭を撫でて落ち着かせる。
「う・・・・うぅ・・・・・ぅぅう・・・うぅ・・・・」
と、ここで花穂が、
「こらぁ!真穂!子供が泣いちゃったじゃない!とっとと、その物騒なものをしまえ!そして空気読め、バカ!」
慌てて、アテナとグラディエーターをしまう真穂。そして、盾の横から顔を出し小さな怪獣の方を見た。そんな真穂に気付いた高砂は、小さな怪獣に盾の方を見るようにと指をさす。すると、小さな怪獣と目が合う真穂。そして、
「が、がおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
と、小さな怪獣が怯えながら言うと真穂は盾に隠れる。数秒後再び盾から顔を出した真穂と目が小さな怪獣。
「がおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
そして再び盾に隠れる真穂。そんな真穂を見て小さな怪獣柚子は、キャッキャッと面白がってこのやり取りをこの後数回繰り返した。やがて、痺れを切らした皐月が
「こら、怪獣柚子!いつまでお姉ちゃんをからかってるの?お姉ちゃん、迷惑してるわよ!止めなさい!止めないと晩御飯抜きだよ!」
「!!!」
『晩御飯抜き』の単語を聞き、すぐさま皐月の元へと抗議しに行く柚子。
「なんで!いいじゃん!」
「良くない!迷惑してるじゃない!今すぐ部屋に戻って宿題しなさい!」
「おねえちゃんとあそぶの!さつきおねえちゃんのケチ!わからずや!」
【ゴンッ】
皐月のゲンコツが柚子の頭に直撃する。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん」
今度は泣きながら真穂の元へと走り、柚子は真穂に抱き着く。すっかり真穂に懐いた柚子。真穂も百合以外の妹的存在が出来たみたいと満更でもなく柚子の頭を撫でる。
「まぁ、まぁ。皐月その辺にしといてやれよ。真穂先輩も満更でもなさそうだしよ。」
「豪君は、柚子に甘すぎ!だいたい、姉さんと豪君が柚子に甘いからこんなわがままになっちゃうのよ!」
まるで、柚子の母親みたいに怒る皐月。確かに、吉沢も高砂も柚子には甘い。それでいて皐月の言ってることが決して間違っていないので何も言えなくなる吉沢。
「はい。すみません。」
「わかればよろしい!ほら、柚子も早く部屋に行って宿題しなさい!お姉ちゃんが見てあげるから!」
「はーい。」
渋々2階へと上がっていく柚子。その後ろ姿を寂しそうに見つめる真穂。
「真穂先輩も、柚子の宿題見てあげたら?いいだろ皐月?晩御飯の準備は俺達が引き継ぐから!」
「まぁ、豪君達が良いなら私は別に。」
「――――――――――――――――――――――――。」
そう吉沢が言うと、真穂は無言で柚子の後を追う。こうして、晩御飯まで真穂と皐月は柚子の宿題を見てやり、その後部屋で遊んで過ごした。




