一ノ瀬君は弐式が使えない?
病室へと戻って来た吉沢達。そんな彼らと別れ、栞菜がある話しを夜桜達にする。それはイリュージョンウェポン弐式の存在。そして、弐式を得るにはとてつもない条件があるという事。その条件を聞いた時、夜桜達は絶望する。「エグいどころの話しじゃねーよ。そんなのたかが13歳の女子が選べるわけねーだろ。」と激昂する佐藤。今一度イリュージョンウェポンの存在を考えさせられる夜桜達。
病室へと戻って来た吉沢達。2人だけでは危ないという事で2人についてきた夜桜達。
「すみません、先輩方ついきてくださいまして。ありがとうございます。あとはもう俺だけで平気なので先輩方はお戻りください。」
夜桜達に深々と頭を下げる吉沢。高砂は相変わらず反応が無い。
そんな吉沢を見て夜桜が、
「実は今日、私達は百合ちゃんに謝るべくここに来る予定だったの。」
「謝る!?先輩方が謝る事なんて何もないですよ。俺も百合も先輩方には助けられたんですから。謝るのは俺の方です。俺が馬鹿な事をしたから百合がこんな事になってしまったんですから。本当にすみませんでした。」
謝りに来た夜桜達だったが、逆に吉沢にお礼を言われた挙句謝られてしまい戸惑う。
「いやいやいやいやいやいや、そんな・・・・・。」
「こりゃ、完全に夜桜の完敗だな。用も済んだから俺は帰るぞ。いつまでもこんな所に居たくねーからな。オメー等も邪魔だから帰るぞ!」
「おぉ?佐藤、あんた空気読めるんだねぇ。確かにここに私達が居たら2人の邪魔になっちゃうからね!」
「うるせーぞ、椎名!別にそんなんじゃねーよ!ほら行くぞ!」
「またまた照れちゃって!」
「殺すぞ、椎名。」
「いやんっ!佐藤が怖い!助けて空木!」
「いや、今のは菖蒲が悪いよ。」
「そんな・・・・・。」
こうして夜桜達は、渋々部屋から出ていくのであった。
「あ!そうそう、吉沢君。」
「何ですか、栞菜さん!?」
「何か困ったことがあったら、迷わずnumbersを頼ってね!私達はあなたの味方だから!」
そう言うと、栞菜も部屋から出て行った。
「あの2人大丈夫かな・・・・。」
そう相沢が言うと、佐藤が反応する。
「あぁん!?どうだがな。あの高砂って言う女が元通りになれば話しが変わってくると思うがな。ただ、その望みはかなり薄いだろうな。」
「栞菜さんはどう思いますか?」
「あたし?うーん。百合ちゃんがあんなことになった原因はある程度予想はつくんだけどな・・・・。」
「「「なっ!?」」」
栞菜の発言に夜桜達は驚く。誰一人、わからなかった謎を栞菜は心当たりがあると言うのだから。
「恐らくだけどね、イリュージョンウェポン弐式が原因だと思うの。」
「イリュージョンウェポン弐式?」
「イリュージョンウェポン弐式って何ですか?」
弐式を知らない夜桜達。栞菜の弐式は、ただのイリュージョンウェポンだと思っていたからだ。
「うーん。早い話しが、強化版イリュージョンウェポンね!」
「――――――――強化版イリュージョンウェポン」
「そう。みんなはさ、イリュージョンウェポンを出す時『イリュージョンウェポン』って言うでしょ?もちろん、発言しなくても出せるけど相当訓練しないと無理ね。」
「えぇ、私も一ノ瀬君との修行で言葉を発さなくても出せるようになったけど相当苦労したわ。」
「なら、なぜ私がイリュージョンウェポンを出す時に言葉を発するのか?それはね、名前を呼んでるの。」
「名前ですか?」
「そう名前。イリュージョンウェポンにはね、それぞれ意思があるのよ!」
「「「え!?」」」
「ある特定の条件を満たすと、突如イリュージョンウェポンが頭の中に話しかけてくるの。可笑しな話しでしょ?まさか私達が使っている武器に意思があるなんて。」
「そうですね。聞いたことない話しですね。一ノ瀬君からも聞いたことないですし。」
「それはあれね、真斗は弐式を使えないから説明のしようがないからよ!」
「え!?一ノ瀬君は弐式が使えないんですか?」
「おいおい、一ノ瀬が弐式を使えないだと?弐式を使えないのにあんなに強いのか?」
「うん、強いよ!真斗が弐式を使えたらそれこそ最強なんじゃない?間違いなく、あたしでも真斗の足元にも及ばないでしょうね。でもそっか、みんなは真斗が戦っている所見たことあるのね。」
「あると言うか、一ノ瀬本人と戦ったんだが・・・・。尋常じゃないくらい強かった。」
「あら?そうなの?よく生きていたわね?真斗と戦ったら、大体はタダじゃ済まないわよ?」
「まぁ、あれだ・・・・その辺は深く聞かないでもらえると助かるのだが。あの時は俺が馬鹿だったからな。あいつのおかげで目が覚めたわけなんだが。」
「あの時は、クソ最悪だったわよね空木?」
「う、うん。そうだね。思い出したくないほど最悪だった。」
「いや、だから悪かったって言ってんじゃねーかよ!」
佐藤達は、入学して間もない時に起きた事件の話しをしていた。
「そ、そんな事より、イリュージョンウェポンの意志と言うのは?」
「話しがそれたわね、えっとね弐式を使えるようになるには、弐式が出してきた条件を吞むかどうかなの。」
「条件?」
「そう、とてつもなくエグい条件よ!」
「栞菜さんもその条件呑んだんですか?」
「もちろん。内容は秘密だけどね。numbersのみんなは真斗以外全員弐式を使えるわよ。だからnumbersになれてるってのもあるけど。」
「numbersになるには、最低でも弐式を使える事が最低条件か・・・・」
「そんなことないわ?強けりゃいいのよ!現に、真斗は使えないしね。」
「ありゃ、人の域を超えてるだろ。」
「「「確かに。」」」
「それでね、百合ちゃんがあんなことになったのは弐式の出した条件に精神が追いつかなくなったからだと思うの。」
「精神が追いつかなくなるほどの条件・・・・・。」
「そんなのちっとやちょっとじゃわからねーな。」
「これはあくまでも私の仮説だけどね。聞いてくれるかしら?」
「もちろんです。」
「その仮説ってのはね、まずあの時の状況を教えてくれるかしら?」
あの時の状況を、最初から最後まで居た夜桜が語り始める。
「えっ!?あ、はい。まず、私は魔物に囲まれた百合ちゃんと合流しました。百合ちゃんは両足に怪我をしていて、歩けないほどの傷で合流したのち、私も魔物達にやられ怪我を負いました。その時に、クラスのみんなが合流して百合ちゃんからゲートの事を教えてもらいました。その後、私達はクラスメイト数人でゲートの方へ向かいました。そこには、見たこともない蟻とカマキリの魔物が居てクラスメイト1人が犠牲になりました。その後、次々と魔物が溢れかえり手に負えない状況になり、そしたら百合ちゃんが突然泣きながら謝り始めたって感じです。」
「なるほど。多分、私のたてた仮説であってるかも。基本、弐式は元のイリュージョンウェポンの強化よ!私なら、攻撃型。numbers2の女の子は守り型。百合ちゃんは確か、回復出来るのよね?」
「えぇ、回復と支援って聞いています!」
「回復に加え支援も出来るの?」
「はい、これは吉沢君から聞いた話なのでまず間違いないと思います。」
「す・・・・すごいわね。うちのnumbers2の子も相当だけど百合ちゃんはそれ以上かも。」
「私も初めて聞いた時は驚きました。」
「なるほど。で、それを聞いたうえで言うなら弐式の出した条件は、その場に居る全員の回復と支援を強化する事だろうね。無限に回復出来るとか、人体の再生が出来るようになるとか。もちろん、これらの事が出来るようになるには弐式の出した条件は相当厳しくなるものだと思う。結論から言うと、誰かの命を奪ってそこにいたみんなを救う。もしくは、自分の存在が認識されなくなるだと思う。」
「それって・・・・・・・・」
「えぇ、弐式の条件を満たせないのであればみんなが死に、条件を満たせば誰かが死ぬって事ね。それで、どちらも選ぶことが出来ないまま精神が崩壊したと思うの。」
「そんな・・・・・。」
「何だよそれ。無茶苦茶じゃねーか!」
「初めに言ったはずよ、弐式の出す条件はエグいと。」
「エグいどころの話しじゃねーよ。そんなのたかが13歳の女子が選べるわけねーだろ。」
「う、うん。どちらを選んだとしても栞菜さん達が来てくれなかったら死人が更に出ていたって話しじゃないですか。そんなのあんまりだよ・・・・・う・・うぅ・・う・・。」
あくまで栞菜の仮設ではあるが、信憑性の高いことから相沢は泣き出してしまう。
「やるせねぇ・・・・・俺達がもっと強ければ。」
「いや、君たちが病むことじゃないよ。今回は、全面的にnumbers本部が悪い。前からnumbersの半分は街に待機させておくようにと言っていたのに、あの時街に居たnumbersは、たったの4人。運よく私が帰って来たから5人になったけど、それでも人数が足りていなかった。」
こうして弐式の存在を知り、さらには弐式を得るにはとてつもない条件があるという事を知った夜桜達。もし、自分達にその時が来た時にその条件を呑めるのか悩まされながら、彼女たちはそれぞれ帰宅するのであった。




