得体のしれない魔物
急いで高砂が見たという扉の形をしたゲートへと向かう夜桜達。道中、ゴブリン達の洗礼を受けるがここで意外な生徒が力を発揮する。そして、ゲートまでもう少しと言う所で魔物達の群れが夜桜達を待ち構えていた。果たして無事に夜桜達はゲートまでたどり着けるのか?
急いで扉の形をしたゲートへと向かう夜桜達。道中、次々と現れるゴブリン達だがそんなゴブリンの群れをものともせずただ1人突き進む者が居た。佐藤幸一だ。先頭を走る佐藤は次々にゴブリン達の首を自身のイリュージョンウェポンの棍棒で殴っていく。
「うらぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!どけ!ゴミども!」
殴られたゴブリンの頭は粉々に砕け散っていき、佐藤のすぐ後ろを走る相沢達は、
「まるで鬼神ね。何なのあの力は。殴られたゴブリン何て一撃じゃない。信じられない。」
「あいつってあんなに強かったのか?」
「さぁ?中等部の頃から喧嘩は強かったけど、あそこまでは強くはなかったはずだが。いったいあいつに何があったんだ?」
あまりの佐藤の強さにクラスメイト達は混乱している。ただ、誰もがこの状況では頼もしいとさえ思っていた。そしてそれは夜桜も感じていた。
(悔しいけど、佐藤君には感謝しないと。彼の強さが無ければ、無事にゲートまでたどり着けるかどうか・・・。)
「邪魔だ!どけ、雑魚が!」
【ドガッ】【ゴンッ】【バキッ】【ドガッ」【ドガッ】
【ボトッ】【ボトッ】【ボトッ】【ボトッ】【ボトッ】
勢いが止まらない佐藤。おかげで夜桜の予定よりだいぶ戦力を温存できている。中等部の頃から、授業で何回か魔物達との戦闘はしているクラスメイト達。それなりの心得はあるが、真斗達numbersのような回数をこなしている訳ではない。
「す、すみません。そこを右に曲がってください。」
高砂も今は自分が出来ることをただやるだけだ。マナも使い切り、おまけに怪我までしている。せめて何かの役には立ちたいと思い自ら道案内を志願して、その勤めを必死にこなすのみ。
「佐藤君、そこを右に曲がって!」
夜桜の声を聴き佐藤は右に進路を変える。するとそこには更なる数のゴブリン達が待ち伏せていた。棍棒を持つ者、錆び付いた短剣を持つ者、弓矢を持っている者。更には見たこともない人間と同じくらいの大きさのカマキリのようなシルエットの魔物が数体、アリのようなシルエットの魔物が数体。そして1体のジャイアントオーガが立っている。
佐藤は、立ち止まりゴブリン達を睨みつける。そして、すぐに他の生徒も佐藤に合流する。
「な、何あれ・・・・。見たことない魔物が居るけど。」
「あぁ、こりゃ少し厄介だな」
「マジかよ。どうすんだよ、見た事ない魔物と戦うとか。」
「んなの、殺るしかねーだろ。」
「ジャ、ジャイアントオーガもいるじゃない。」
「引き返そうぜ!俺達だけじゃどうにもならないだろ。」
「そいつは無理っぽいぜ。見てみろ、奥には弓を構えているゴブリンが何体も居る。全員が、奴らに背を向けたら狙い撃ちにあうだろうな。引き返して応援を呼んでくるにしても行くのは数名だけだ。」
誰もが予想だにしていない状況にクラスメイト達は困惑する。目の前には見たこともない魔物、そしてジャイアントオーガ。引き返して残りの生徒を呼んでくるのは2名程度。引き返してもし、魔物群れに遭遇したらそれこそその2名は詰みだ。誰もが考える。この状況を打破できる案を。しかし、冷静になれるほど場数をこなしていない生徒達。するとここで夜桜が、
「私1人だけが戻って応援を呼んで来るわ。」
「「「!?」」」
誰もが「え!?」と言わんばかりに夜桜を見る。そんな中、佐藤が、
「ダメだ、夜桜は残れ。今のお前じゃ遅すぎる。それこそ怪我さえしてなければお前が適任だったが。」
「クッ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
生徒達は、誰が戻って応援を呼んでくるか悩んでいる。それもそのはず、戻るとなれば打ち損じたゴブリン達が居るからだ。そのゴブリン達を相手にしなければならないからだ。そして、
「だったら、私たちが行く!」
ここで、引き返す組を買って出たのは相沢と椎名の2名だった。2人は覚悟を決めた顔をしていて、これには佐藤も反対はしなかった。
「危険な役になる事を承知の上で言っているのか?」
「当り前じゃない!こんな危険な賭け、本当ならやりたくないわよ!でも、誰かがやらないといけない!なら私達がやるわよ!このまま誰も行かないんじゃ、それこそ時間の無駄でしょ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「そうか。じゃ、相沢と椎名お前達2人に任せる。頼んだぞ!」
「じゃ、行きましょう空木!」
「えぇ」
こうして相沢と椎名は残りのクラスメイト達が居る場所へと戻り、こちらに合流させるため引き返していった。
「さてと、あとは俺達がこいつらをここで食い止めつつあいつらの合流を待つだけだ!お前等、無理するんじゃねーぞ!くれぐれもサシで相手するな!」
「どの口が言うんだよ!お前こそ、1人で突っ走るなよ!」
「分かってらぁ、ボケが!おい!俺はあのデカ物を殺る!あと2人俺に付き合え!」
「相変わらず口がわりーな!まぁ、今に始まったことじゃねーが!よし、俺が佐藤と組んでやるよ!感謝しろよ!」
「ぬかせ!あと1人、誰でもいいついて来い!」
「じゃ、俺が行く!」
「よし!じゃ、残りの得体のしれない魔物は他の奴らに任せた!っしゃー、行くぜ!」
佐藤達3人は、ジャイアントオーガを倒すべく走っていく。残りの生徒達も、カマキリの魔物やアリの魔物を相手を始める。
「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」」
クラスメイト達は、牽制しつつ魔物達の動きを観察している。今まで見たこともない魔物と真っ向から勝負するのは愚策だ。その事を皆分かっていて、遠距離から攻撃出来る生徒を中心に攻撃を仕掛ける。
「みんな、あの両手はやばいぞ!絶対に当たるなよ!」
カマキリの魔物の両腕は攻撃が重く切れ味が良い。木々もその腕を振ればまるで包丁で豆腐を切るかの如く、すんなりと切り倒していく。アリの魔物も、外皮が固く遠距離での攻撃はまるで効き目がない。
「アリの方は、手足の関節を狙え!身動きさえ封じる事が出来ればただの的だ!」
「「了解」」
遠距離から攻撃出来る生徒達が魔物の注意を惹き、視界から外れた近距離攻撃の生徒達が一斉にアリの魔物の手足の関節に攻撃を仕掛ける。
「「うぅぅぅぅぅぅぅおォォォォォォォォォォォォォ!」」
【ガキンッ】【ガキンッ】【ガキンッ】【ガキンッ】【ガキンッ】【ガキンッ】【ガキンッ】
「切れろーーーーーーーーー!」
【ザシュ】
【ボトッ】
「よし、いいぞ!まずは一本落とした!」
「こっちも、落としたぞ!」
「いける!いけるぞ、みんな!このまま叩き潰せ!」
アリの魔物を相手にしている生徒達は優勢になる。そして、全ての手足を切り落としたアリの魔物は身動きが取れなくなり、ただの的となる。
「一気にいくぞおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
そして、四方八方から生徒達が攻撃を加えるために飛び掛かる。するとアリの魔物は尻から奇妙な液を出す。
【ブシュ】
「ギャャャャャャャャャャャャャャ!目があぁぁぁぁぁ」
その液は、背後から攻撃を仕掛けた生徒の顔面に当たり生徒は顔を手で押さえる。
「いてえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
何が起きたか分からない他の生徒達は、一旦アリの魔物から距離を取る。やがて、アリの魔物の攻撃を受けた生徒の顔が赤みを増しやがて破裂する。
【バッァァァァァァァァァァァァァァァァァン】
【グシャ】【グシャ】【グシャ】【ボトッ】【ボトッ】【ボトッ】
辺り一面に、肉片が散らばる。




