お前が高砂を見殺しにしたって事を話してんだよ!
魔物をすべて倒し学園へと帰る事にしたB班。だが、高砂の安否がわからずにいる吉沢と青柳は高砂の救出を栞菜にお願いするのだった。そして、栞菜の出した答えは意外なものだった。果たして、高砂と夜桜は生き延びているのか・・・・・。
吉沢の発言に理解が追いつかないクラスメイト達。それもそのはずだ。クラスメイト達は、攻撃手段を持たない高砂百合と言うクラスメイトの女子を囮にして吉沢達は逃げてきたと勘違いしていたのだ。
だが、実際はこうだ。高砂は、小さい頃からいつも1人で居た自分を幼馴染の吉沢だけが気にかけ、いつも助けてくれた。そんな吉沢をいつの間にか好きになっていた。吉沢の方も、高砂に恋心を抱いているがお互いが思春期に入ったころから、吉沢は周りの目を気にし始め高砂と距離を置いていた。そんな吉沢は、高砂が虐められている事を知り虐めがこれ以上酷くならないように自ら虐めの主犯格になった。自分の目つきの悪さ、喧嘩の強さを武器に誰にも手出しをさせず、虐めの内容も自分が制御して高砂の精神がギリギリ保てる所で止めている。
しかし、高砂はそんな事が起きているとも気づかずいつの間にか吉沢への恋心を心の奥底へと封印することにした。そして、いつしか吉沢は自分の事を本気で嫌いだと思い込む。無理もない、今まで気にかけてくれた男の子が急に自分への虐めをするようになったのだから。
だが、今回の野外実習で異変が起きた。いつも自分の事を虐めていた吉沢が、自らが囮になり高砂を逃したのだ。そして、いつも高砂としか呼ばなかった吉沢が急に百合と呼んだのである。ここで高砂は自身の封印した恋心を解放したのだ。昔から助けてくれた吉沢を今度は自分が助ける番だと。
高砂は、自分が合流したところで足手まといになると分かっていた。だったら、どうすれば吉沢を助けることが出来るのかを考えて出した答えが、自分が囮になり吉沢をの逃す事。
勿論、自分は確実に死ぬだろうという事は分かっていた。それでも、今まで助けてくれていた吉沢を見殺しには出来ない。自分の命で好きな人が助かるなら報われると思う高砂。
そして、吉沢達と合流した高砂は自分の立てた作戦を開始した。そして、
「てめー、吉沢!お前はそこまで腐っていたのかよ!魔物を倒すことも出来ない高砂を囮にして自分達だけ助かりゃいいなんてよ!!!」
「ち、ちがう・・・・・。」
「何が違うんだ!そーいう事だろ!てめーの浅はかな行動で1人の女子生徒が死ぬんだぞ!虐めにしちゃ度を越えてるって言ってんだよ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「何とか言えよ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「自分の都合が悪くなればだんまりかよ。最低だな、お前。」
「お、お前等だって百合を虐めてたじゃねーかよ!俺とお前等の何が違うって言うんだよ!」
「はぁ?何だお前!話しをすり替えてんじゃねーよ!今は、虐めがどうこうじゃなく、お前が高砂を見殺しにしたって事を話してんだよ!」
「百合は死んじゃいない!あいつは絶対死なない。」
「お前が殺したんだよ吉沢。魔物に追われ助かるわけないだろ。どうせ、お前たちの所もこれくらいの数の魔物が居たんだろ?それを引き連れて、何処まで逃げればいいんだよ。更に山の奥か?それとも学園か?どちらも無理だろうな。逃げ切れるわけがない。」
そんなクラスメイトの言葉を聞いた吉沢が、栞菜の元へと歩いていく。
「おい、吉沢!話しはまだ終わってねーぞ!」
しかし、吉沢は止まらない。そして、栞菜の目の前に来た吉沢は栞菜に、
「お願いします。どうか、どうか百合を助けてください。俺にはあいつが居ないとダメなんです。この通りです、どうか百合を助けに行ってもらえないでしょうか?お願いします。」
吉沢は、恥じらいを捨て栞菜に土下座して頼み込む。
「お、おい、吉沢・・・」
「どうか、お願いします。この通りです。」
場に緊張が走る。皆、栞菜の出す答えを聞き逃すまいと黙る。そして、
「ダメよ。私達はこのまま学園へと戻るわ。」
栞菜は、吉沢の申し出を断る。高砂の救出を拒否された吉沢は、栞菜のコートの裾を掴んで泣きながらお願いする。
「な、何で・・。頼みます、どうかどうか百合を助けてください。何でもします、だから百合を見捨てないでください。この通りです。お願いします。」
青柳も吉沢の横で土下座をして頼み込む。
「お、俺からもお願いします。この通りです。」
2人のすすり泣く音だけが無惨にも響き渡る。
「何度言ってもダメよ。ここには怪我人もいるし、急いで戻る必要があるの。分かってちょうだい。」
「何でだよ!!これだけお願いしてるのに何で助けに行ってくれないんだよ!」
「私が、numbers本部に課せられた依頼はnumbers7の命を最優先。今ここで真斗を失うわけにはいかないの。分かってちょうだい。」
「・・・・・・・・・・・・・・わかったよ。こんなにお願いしても行ってくれないなら俺が行く。」
「吉沢、俺も行くぞ!」
「すまない、青柳。」
「何言ってんだよ、俺とお前の仲だろ?それに、この糞みてーなnumbers1に頼ってもしょうがねーよ!自分の婚約者の事しか頭にない女に頼った俺達が馬鹿だったんだよ。」
そして青柳は立ち上がり、栞菜を担みつけた後吉沢を見る。
「行こう、吉沢!早くしないと高砂が助からない。俺達には時間が無いんだ。」
「そうだな。行くか青柳。」
吉沢も立ち上がり、2人揃って栞菜の前から立ち去ろうとする。
「待ちなさい2人とも!2人だけで本当に高砂さんを助けられると思うの?」
「そんなのやってみねーとわからねーだろ?それに、ここに居て何もしないでいるなら、助けに行って死んだ方がまだマシだ!何もしないお前らと一緒にされたくないんでね。行くぞ青柳。」
「おう!上等じゃねーか!かかって来いってんだ魔物ども!」
「はぁ。これだから中等部の子達は。あのね2人も、私は高砂さんを助けに行くのはダメよと言ったの、決して無理とか諦めてとは言ってないの!これってどー言う意味か分かる?」
「そんなの知らねーよ!腰抜けの言う事なんか分かってたまるか!」
「あのね、高砂さんの方はもう手を打ってあるの!きっと今頃向こうも全て終わっていると思うわよ?」
「はぁ、誰が信用するかよ!俺達は騙されねーからな。」
「だったらこれを見なさい。」
そう言うと栞菜はnumbersから支給されているデバイスを出してその画面を2人に見せる。
「こ、これって・・・・・。」
吉沢と青柳は、栞菜のデバイスを見て唖然とする。そこには、魔物を記す赤い点は無く、代わりに生徒を指す青い点がいくつもある。
「これでわかった?私達が行く意味が無いのよ!私達はこのまま学園へと帰るのよ!いい?」
「どうなってんだよこれ!?何だよこの生徒数は・・・。」
「さぁ、この生徒の数は私にも分からないけど、おそらく真斗のクラスメイト達でしょうね。」
「じゃ、じゃぁ百合は・・・・。」
「えぇ、間違いなく助けられているわね。」
「よ、良かった。う・・・う・・うう・・・・ううう・・うううう・・・」
「ほら、泣くのは高砂を見てからにしなさい。ここに居てもいつ魔物が襲ってくるか分からないからね。でもまぁ、たとえ襲って来ても私が居るか安心だけどね!」
「い、いや。あんたどんだけマナ量あるんだよ。無敵かよ。」
「あら?あんまりnumbers1をなめてもらっては困るわね。恐らく、あなた達の10倍はあるわよ?」
「はぁ?」
「マジかよ。」
「さっ!帰るわよ!みんな、帰る準備してね!」
こうして、B班も学園へと帰る。一方、高砂と夜桜は・・・




