苛立ち
A班を助けに来た椿。色々思う事もあり、全力で魔物達を倒していく。しかし、魔物達の進軍は止まらずにいた。そんな中、遂に椿のマナも限界を迎え始める。果たして、椿は生徒達を無事守り切る事が出来るのか。
「あとは私に任せて」
椿が真剣な趣で皆に言う。それでも、ゴブリン達は「新しいおもちゃが来たと」言わんばかりに奇声をあげる。
「ギャ、ギャャャャャぁぁぁぁぁあああギャ、ギャ。」
「まったくうるさいな。少しは黙るって事出来ないのかしら。」
椿が、弐式で新たに作られた無限輪で1体のゴブリンの首を落とす。
【ボトッ】
すると、その隣に居たゴブリンが胴体だけとなったゴブリンをみて笑う。「何やられてんだよ、バカだなお前」と言っているかのように。
「「「ギャ、ギャ、ギャ、ギャギャャャャャ」」」
仲間の死を目の前にしても笑い続けるゴブリンが気にくわない椿は他のゴブリン狩っていく。
「仲間が死んだのに笑っていられるなんて。ほんとムカつく。」
【ボトッ】【ボトッ】【ボトッ】【ボトッ】【ボトッ】
椿は目に入るゴブリン達を倒していく。辺り一面、血の海になり生臭い匂いが漂う。そんな光景を見ていた生徒達は、
「うっぷっ。気持ちわるい。」
「これはさすがに萎えますね。」
「生臭い・・・・・。」
そんな事もお構いなしに椿は前へと出ていく。何人もの生徒が傷つき、中には命を失った者もいる。この状況に、やるせない気持ちになった椿は、残りの魔物を倒していく。
「お前達が・・・・・・・・・!」
【ザシュ】【ザシュ】
【ボトッ】【ボトッ】
「お前達さえ、現れさえしなければ・・・・・・・・・・」
【ザシュ】【ザシュ】【ザシュ】【ザシュ】
【ボトッ】【ボトッ】【ボトッ】【ボトッ】
「みんな傷つかずに・・・・・・・・・・。」
【ザシュ】【ザシュ】【ザシュ】【ザシュ】【ザシュ】【ザシュ】
【ボトッ】【ボトッ】【ボトッ】【ボトッ】【ボトッ】【ボトッ】
「済んだのにーーーーーーーーーーーーーー!」
【ヒュッ】【ヒュッ】【ヒュッ】【ヒュッ】【ヒュッ】【ヒュッ】【ヒュッ】【ヒュッ】【ヒュッ】
【ボトッ】【ボトッ】【ボトッ】【ボトッ】【ボトッ】【ボトッ】【ボトッ】【ボトッ】【ボトッ】
いったい、何体もの魔物が死んだのだろう。椿は全身ゴブリンの返り血を浴びて、奥から出てきたジャイアントオーガを睨みつける。
「ガァアァァァアァァァァァァァァァァァ」
「お前が、岩を投げつけてきた張本人か・・・・。よくも、よくも、よくも大切な楓ちゃんを傷つけたなーーーーー!」
怒りに満ちた椿は、怯むことなくジャイアントオーガに立ち向かう。両者、一歩も引かず攻撃を繰り出す。
【シュッ】【シュッ】【シュッ】
【ガキンッ】【ガキンッ】【ガキンッ」
「お前だけは許さない!」
【ザシュ】【ザシュ【ザシュ】【ザシュ】
【ブシュッーーーーーーーーー】
ジャイアントオーガは足に椿の攻撃を食らい片膝をつく。好機とみた椿はすかさずジャイアントオーガの首を狙う。円月輪がジャイアントオーガの首にめり込むが、骨に当たり止まる。
「このぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
【ギシッ、ギシッ、ギシッ、ギシッ、ギシッ】
「オ・チ・ローーーーーーーーーーーーーーー!」
【ブシューーーーーーーーーーーーーーーーーーー】
【ゴロンっ】
椿の円月輪がジャイアントオーガの首を刎ねる。首からは物凄い量の血が噴き出る。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
残ったジャイアントオーガの胴体を黙って見続ける椿。
「うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
「マ・・・マ・・・・マジかよ・・・・」
「す、すげぞーーーーー!九条!」
「やったーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」
「カッコイイ・・・・」
見事ジャイアントオーガを倒した椿。だが、敵の増援は止まらない。次々と現れるゴブリン達。その後ろからは更に3体のジャイアントオーガが姿を現す。
「お・・・・おい。こりゃ何かの冗談だろ。」
「いい加減にしてよ!これじゃキリがない。」
「こんなの俺達にどうしろってんだよ。」
ゴブリンは弓をもっており、ジャイアントオーガは巨大な岩を持っている。奴らはそれを身動きの取れない生徒達へと向けて放つ。
「みんな、伏せて!」
椿が楓の前に立ち、手握られている円月輪で捌く。他の生徒達の所は、無限輪で捌いていく。生徒達は頭を押さえてかがみ、悲鳴をあげる。
「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」
「「きゃゃゃゃゃゃゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」」
しかし、椿の無限輪で生徒達には危害は出なかった。当の椿も、ゴブリンの放った弓矢を全て捌き、瀕死で横たわっている楓や他の生徒達を守った。
「はぁ、はぁ、はぁ」
喜ぶのもつかの間、更に奥からジャイアントオーガが3体現れる。それでも、自分が諦めたらすべてが終わると思い椿は限界を超えて無限輪をもう2個作る。ところが
「クッ。」
激しい頭痛に見舞われる椿。それでもなお戦い続ける。新たに現れたジャイアントオーガも巨大な岩をもっており、無数の岩と弓矢が放たれる。
「うおおおおおおおおぉぉ!負けられるかぁぁぁぁぁ!」
更に椿は加速して演武のごとく舞、弓矢を落としていく。無数の岩も、無限輪によって破壊される。
「ゲホッ、ゲホッ、ゲホッ、ゲホッ、ゲホッ。」
椿は、口から血を吐き目から血の涙が出て、地面に片膝をつく。それでも、椿は気力だけで立ち上がり、
「ま・・・まだよ。これくらい・・・・なんともないわ。」
そして、手に握られていた円月輪が地面に落ち、無限輪も全て消える。そして、魔物達から次の攻撃が放たれる。先ほどと同じ量の弓矢と巨大な岩が今度は椿本人目掛けて飛んでくる。
「危ない!」
「九条!!!!!!!!」
「逃げて、九条さん!」
椿は満身創痍の中、円月輪を拾おうとするが遂に倒れこんでしまう。
【トンっ】
「お疲れ様。よく頑張ったね!」
椿は倒れる寸前で、誰かに抱きとめられる。
「はい!ズドーーーーーーーーーーンっ」
【ドーーーーーーーーーーーーッン】
【ドーーーーーーーーーーーーッン】
【ドーーーーーーーーーーーーッン】
空中を飛んでいた岩が全て何者かの手によって撃ち落される。そして、椿目掛けて飛んできた弓矢も、椿を抱えている女性が扇子を広げ横になびいた瞬間、突如現れた暴風によって全て弾き返される。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
その光景に、生徒達は言葉が出ずただ茫然と見ていることしか出来なかった。1人の女性の胸に持たれかかった椿は、
「はぁ、はぁ、はぁ。あ・・・あなた達は・・・・」
「私達?もちろん、助っ人だよ!numbersのね」
椿を抱きとめた女性は、numbersのコートを着ていて、裾には8と書かれていた。両手には、2本の扇子が握られていた。
「numbers・・・・・・・・。」
「そ、numbers。ちなみに私はnumbers8番で巴愛梨、向こうの木の上に居る彼はnumbers10番の霧山大河よ。よろしくね!」
助けが来たことで、安心したことにより全身の力が抜ける椿。そのまま意識だけが遠くなり静かに目を閉じる。
「スーーーー、スーーーーーーーー。」
「あら!?寝ちゃった?そうよね、これだけの生徒を守りながら戦い抜いたんだもんね。今ゆっくり休んで、後の事はお姉さん達に任せて。誰か、この子をお願い!」
「は、はい!」
1人の少女が愛梨から椿を預かる。そして、岩を背に椿を座らせた。
「さーて、ここからはお姉さん達が相手よ魔物達ちゃん!覚悟しなさい!」
そう、ニコニコしながら魔物達にウインクを飛ばす杏奈。ここからはただ2人のnumbersによって魔物達は蹂躙されていった。愛梨は風を操り竜巻を起こし、ゴブリン達は吸い込まれるかのように竜巻の中に捕らわれバラバラに切り刻まれていく。
大河の方は、得意の長距離からの狙撃でジャイアントオーガの頭を消し飛ばす。撃った弾には爆破の属性が付いており、着弾した瞬間に大爆発を起こし跡形も無くジャイアントオーガの顔は木っ端微塵になる。
愛梨達から少し遅れて、numbersの特殊医療班とnumber候補生が到着し、医療班はすぐさま傷ついた生徒達の回復に移った。その中でも特に傷が酷い楓は、候補生と共に急いでnumbers本部の医療班施設に向かった。
そしてようやくここで、魔物達の気配が無くなる。
「やっと落ち着いたかしら。」
魔物の軍勢が現れなくなったことにより、離れた場所に居た霧島も愛梨の元へと合流する。
「お疲れ様~。疲れたよー。」
「お疲れ様、霧島君!」
疲労困憊の霧島はダルそうに愛梨に話す。
「もう帰りましょうよ・・・・。俺、疲れたわ~。」
「そうね。そうしましょう。いつまでもここに居てもしょうがないし、真斗君の方は栞菜が居るから平気でしょ。それと、高砂さんだっけ?あの子も無事に保護されたみたいだしね。」
「とっととこんな所離れて、帰って寝たいっすわ。」
「みんな、帰る準備して!急いでここから離れるわよ!」
ようやく魔物との戦闘が終わり、生徒達は安堵する。皆、マナ切れを起こしているが、限界を超えたのは椿と柊木だけ。この2人は、最優先でnumbersの医療施設に送られる事となる。
「楓ちゃんに九条さん、それに柊木先輩大丈夫かな。」
「あぁ、そうだな・・・・・。」
「結局俺達って、何も出来なかったな。すべてあの3人に任せっきりで・・・。」
「そうね・・・・・。自分がなんて無力かと思い知らされたわ。」
「これからは、強くならないと。楓ちゃんと九条さんの為にも。」
「「「うん。」」」
こうして、無事戦いは終わりA班はこの後無事に学園まで帰っていった。




