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Numbers  作者: 雨のち晴れ
最悪の野外実習編

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告白

急ぎ吉沢の元へと戻る高砂。その間、吉田達は複数のゴブリンの群れと対峙していた。絶体絶命の時に、遂に高砂が吉沢達の元へと到着する。そして、初めて高砂のイリュージョンウェポンの力明かされる。高砂の力、それは圧倒的な力だった。果たして3人は無事生還することは出来るのであろうか・・・・・。

全力で吉田の元へと走る百合。その理由は1つである。幼馴染の吉沢豪という男子。いつも百合を助けてくれていた。その為、目つきの悪さと圧倒的な強さ、次第に孤独になり中等部では不良の道へと歩き始める。中等部に入り髪も切って金髪にして更に見た目でも周りから距離を置かれ、唯一一緒に居たのが青柳と高橋である。

今回も、自分が犠牲になり百合を助けてくれた。そんな百合には優しい吉沢をほおってはおけなかった。


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。」


(待ってて豪君!今、助けに行くからね。それまで無事でいて。」


「うらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」


吉沢達は、百合を逃してからゴブリンの群れと対峙していた。

圧倒的な不利な状況にもかかわらず、ここで引いたらゴブリンの群れは百合たちを追いかけるだろうと思いゴブリン達の足止めをしていた。


「はぁ、はぁ、はぁ。(しゅう)、平気か!?」


吉沢の言う修とは、青柳の事だ。青柳とは中等部に入ってから仲良くなった数少ない吉沢の友達だ。吉沢が百合を好きな事も知っていた。カンの良い青柳は、最近その事を吉沢から聞き出した。最初は笑っていた青柳だが、次第に吉沢と百合の事を応援し始める。


「何言ってやがる!全然、余裕だし!俺の心配するより自分の心配してろっての!うおりゃ!!」


青柳も、フラフラながらゴブリンを倒していく。だが、ゴブリンの不意打ちを食らい脳震盪になってしまい、立っているだけで奇跡だ。しかし、持ち前の気合と根性でゴブリンを倒していく。


【ヒュッ】


【グサッ】


「ぐあっ」


【ドサッ】


後衛のゴブリンが放った矢が青柳の右肩に刺さる。痛みで、集中力が切れてしまい倒れこむ青柳。


「修!!!」


「うるせー!俺は平気だ!攻撃に集中しろ!」


「クソがっ!」


吉沢は、青柳を狙ったゴブリンを倒すため前進する。しかし、離れていたゴブリンに横から弓矢を撃たれ右手に刺さる。吉沢はイリュージョンウェポンを落としてしまい、慌てて拾おうとするが更に追撃が来て右足、左手、背中に数本、弓矢が刺さる。


「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


「豪!!!!!!」


「ギャッ、ギャッ、ギャッ、ギャャャャャヤヤヤヤヤヤ」


ゴブリン達は、両手をあげて右足、左足を交互に地面につけジャンプしている。青柳が直ぐに吉沢の元に駆け寄る。全身から血を流し、意識が朦朧(もうろう)とする吉沢。


「豪、しっかりしろ!死ぬな!死ぬんじゃねーぞ!」


「う、、うる・・・せ・・・よ。・・ああ、たま・・に・・ひび・・・く・・から・・・だま・・って・・ろ。」


そして、1体のひときは大きなゴブリンが槍を構え吉沢に向かって投げる。


(はははははっ。俺はここで死ぬのか。短い人生だったな。まだやりたいこと、色々あったんだけどな。百合は無事学園に行けたかな。無事でいてくれたらいいな。

あぁ、百合に会いてぇ・・・・。最後に一目見たかったなぁ。・・・俺の分まで幸せになってくれよ。悪い男に引っかかるなよ。お前は騙されやすいからきをつけろよ。

やべぇ、世界がスローモーションになってやがる。あの槍が俺に刺さり死ぬんだな。悔しいなぁ。死にたくねーな。)


「死にたくねーよ。百合・・・」


吉沢に最後の力を振り絞り言葉を発する。


「豪君!!!!!!!!!!!」


「!?」


吉沢は、何処か懐かしい聞き覚えのある声がしたことに気付く。


「イリュージョンウェポン!!」


【キュイィィィィィィィィィィィィィィィィィンッ】


百合の手に、本型のイリュージョンウェポンが構築される。そして、すぐさまページを破り吉沢達の方へ投げつける。すると、一瞬にして破れたページが吉沢の前に現れる。ゴブリンの投げた槍よりも先に百合の破いたページが吉沢の元へ行き、吉沢の周りに光のドームが現れる。


【ガキンッ】


そのドームに槍が触れた途端に、槍は地面に落ちる。


「!?」


「豪君、無事!?」


「ゆ、百合・・・・」


百合は、すぐさま吉沢の元へと駆けつける。そして、吉沢と青柳が状態を見て絶句する。


「ひ、酷い・・。」


「百合!何で戻って来た!学園に行けと言っただろう!」


吉沢は、百合に対して怒鳴りつける。しかし、百合も吉沢に向かっていや、人に向かって人生はじめて怒鳴る。


「そんな事出来るわけないじゃない!私1人だけ助けっても意味ないんだよ!豪君が居ないと意味ないの!そんな事も分からないの!?」


「何だよそれ!意味わかんねーよ!」


「わかってよ!」


「わからねーよ!」


「鈍感!」


「あぁん!何だと!」


「鈍感って言ったの!」


「うるせーよ!黙れ!」


「黙らない!何で分かってくれないの!?何で私の気持ちをいつもいつも、豪君は分かってくれないのよ!こんなにも、こんなにも豪君が好きなのに!」


「なっ!!」


「そろそろ気が付いてよ!私1人だけ、いつもいつもバカみたいじゃない!」


「そ、そ、そ、そんなのわかるわけねーだろ!」


「もういい!少し黙ってて!」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


突然の百合の告白に、吉沢と青柳はあっけにとられる。そして、百合は何枚ものページを破り吉沢と青柳の側に置く。


「豪君、少し痛いけど我慢してて!直ぐに助けるから!」


「へっ!?」


そして百合は、おもむろに吉沢のあちらこちらに刺さった矢を抜き始める。


「ギャャャャャャャャャャャャャャャャャャ」


「うるさい!騒ぐな!男の子でしょ!」


「んなこと言っても、いてぇもんはいてぇんだよ!ちったぁ手加減しろよ百合!」


「出来るならやってるわよ!でも、女の私じゃ全力で引っ張らないと抜けないのよ!」


容赦なく矢を抜いていく百合。あまりの痛さに気絶しそうになる吉沢。


「次は、青柳君!」


「え!?い、いや、お、俺はいいや・・・。一生刺さったままで良い・・・・・ギャャャャャャャャャャャャャャャ」


百合は青柳の矢も抜く。そして、2人の傷口に破いたページを張り付ける。傷口に異変を感じた二人。


「な、何だよこれ・・・・・。痛くなくなっていく。」


「あぁ、傷口があるのに痛くねぇ・・・・。これが百合のイリュージョンウェポンの力か。」


「うん。私のイリュージョンウェポンの力は、ページに書き込まれた事を実行できるの。今は、複数の防御壁と書いたやつを地面に置き、傷口には回復って書いたやつを張ったの。」


「す、す、すげーーーー。何だよ、高砂!このチート能力は!お前無敵じゃねーか!これなら何とかなりそうだ!なぁ、豪!」


「あぁ、確かにこれは凄い。今までこんなイリュージョンウェポンを持ってるやつ聞いたことねーぞ。」


「でもね、私の力も弱点はあるの。まず、効果はずっとは続かない。そして、攻撃の手段をページには書けない。それから、イリュージョンウェポンを構築した時のマナ量によってページの枚数が決まるの。残るページは後1枚。」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


吉沢と青柳は、百合の残り1枚のページをどう使うか考えていた。そして、その答えは百合本人が導き出した。


「でもね、安心して。絶対に2人は助けるから。」


「「え!?」」


「最後の1枚はこう使う!」


百合は、残りのページに敵視と書いて自分に張り付ける。すると、百合本人がオーラの様な物で包まれる。


「何やってるんだ百合!?」


「今書いたのは、敵視。これでここいら一帯の魔物は私を狙うようになったの。そして今から私は・・・・・・・・」


百合の覚悟を決めた目を見て吉沢は涙が溢れ出す。


「ちょ・・・・待てよ・・・・・。そ、それ以上言うな。お願いだ、い、い、言わないでくれ。」


吉沢の願いも虚しく百合は最後の言葉を発する。


「ここから離れる。そして、魔物を引き連れて出来るだけ2人の側から離れる。その間に、2人の治療は終わるはず。そしたら、2人は漆様達と合流して。ここに残っても、あの数じゃ3人とも殺される。なら、最も最善を尽くす方がいい。その方法がこれなの。」


すると青柳が、


「違う!だったらその役は俺がやる!俺よりずっと強いイリュージョンウェポンをもつ吉沢と高砂が生き残るべきだ!」


「ありがとう、青柳君。でもね、もう私に使っちゃったからどうにも出来ないの。青柳、豪くは言葉は乱暴だけどすごく友達想いで良い人なの。そんな豪君をこれからもよろしくね。」


「イヤだ!その役は高砂がやれよ!俺はこいつの面倒なんか見たくねーよ!」


青柳も泣きながら高砂の目を見て言う。そして、


「バイバイ、豪君。生まれ変わっても私はきっとまたあなたを好きになると思う。・・・違うな。私を好きになってもらえるように私は頑張る。青柳君も元気でね。さようなら。」


そう言って、百合はドームの中から走り去っていく!


「さぁ!魔物達!私はここよ!追いかけてきなさい!」


魔物群れは、一斉に高砂を置きかけ始める。


「ゆりーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」


吉沢の大きな叫び声だけが虚しく森の中に響き渡る。

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