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Numbers  作者: 雨のち晴れ
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邂逅そして

この世界は、魔物が蔓延る世界である。故に魔物と人類の争いが幾度となく繰り広げてられている。そんな世界で、人類は対魔物に対抗する手段としてイリュージョンウェポン(幻想武器)を神から授かるのであった。しかしそれは成人になるまでの子供たちのみ授かる事許されており、成人を迎えた者は自然と使えなくなる。マナという能力により創り出され、各々が創造する物一つだけ与えられる唯一の対魔物に特化した武器である。全ての子供が創り出されると言うわけでもなく、何かしらの力が働いて創り出されるもの。その何かしらの力と言うものは未だに解明出来ていない。そんな中で今日もまた一人の少年が理不尽なこの世界で必死に生きているのであった。

『あそこかっ!!』


真斗が姫崎家を目で捉えて周りのゴブリン達を次々と駆逐していく。


『邪魔すんな!どけ、どけぇぇぇええ!』

真斗が怒鳴る。


『聞こえねぇのか!どけって言ってんだよ!』


真斗はゴブリンを殴り、蹴りながら前にと進んでいく。


その時だった。


姫崎家の家の中から見覚えのある光が立ち込む。


『はっ??何だと!?子供が居るのか?聞いてねぇぞ!?』

それは丁度、楓がイリュージョンウェポンを目覚めさせた時だった。


『クッ。こうしちゃいられねぇ、急がねーと大変な事になる。』


こう言った場合、大抵の人物はイリュージョンウェポンがマナを消費して使う事を知らない。無闇矢鱈に使い続けると、マナを全て使い果たし最終的にはイリュージョンウェポンが手元から消えてパニックに陥ってなす術無く死んでいった少年少女を真斗は何度も見て来ている。


そんな光景は二度と見たくないと、再びイリュージョンウェポンを構築し、建物に近いゴブリン達を狙う。

狙いの外れた矢が、家の壁から次々と出てくる。


『チッ!そりゃ、イリュージョンウェポンを授かって直ぐに使える奴なんてそうはいねぇーよなっ。剣とか近接武器ならまだしも、弓矢じゃ余程の集中力が無いと無理だ。まして、現状が現状だ!無理もない。』


真斗は脇目も触れず一直線に家へと向かう。


その間、何度もゴブリンの攻撃を受けるが、

真斗の着ているNumbersから支給されたコートには特殊性能があり、ゴブリン位の攻撃力じゃ傷一つ受けない。そして真斗は、楓が言い放った最悪の言葉を聞く事になる。


『お願いだから、出て来てよ。お願い・・・お願い・・・・お願いします、もう一度だけでいいから出て来てよ。』


楓の泣き叫ぶ声、マナが尽きた事を真斗が悟る。楓の横にある窓から肉眼で楓を捉える。


『クソ虫がぁぁぁ!』


叫ぶと同時に窓を突き破り、楓に襲い掛かろうとしていたゴブリンの顔に蹴りをお見舞いする。ゴブリンは、首から上が無くなり生き絶える。


『チッ、テメーらみてぇーなクソゴブリン見てると腹が立ってくるは。。よくもここまでやってくれたなぁ、クソゴブリンさん達よう!』


そう真斗がゴブリン達に言い放つと、後ろに居る楓を見て、


『わりーなっ、遅くなった。大丈夫か!?怪我はねーか?』

真斗がそう言うと楓が、


『私は大丈夫だけど、お父さんとお母さんが・・・』


泣きながら楓が真斗に告げる。


(うーん。両親の二人助からないだろう。せめてこの子だけは助けないと。)


真斗は楓に対して、


『わかった。よく頑張ったな、偉いぞ!あとは俺に任せろ。このクソゴブリンどもは俺が片付ける。』


そう言うと真斗は、慣れた手つきで次々とゴブリンの頭を撃ち抜いていく。あっという間に家の中のゴブリンは死に、残るは外に居るゴブリンだけとなる。


楓は思う・・・・


(えっ?す、すごい。あれイリュージョンウェポンだよね。私より三個か四個くらい上に男の子だよね・・・それだけしか離れてないのにあっという間にゴブリンを倒して行くなんて。)


『よし、片付いたか。後は外の奴らだけだなっ』


そう言って真斗は楓に近づき、


『俺の名前は、一ノ瀬真斗。君の名前教えてくれるかな?』

楓に恐怖を与えないように笑顔で語りかける。


『ひ、ひめさきかえで。姫崎楓です!』


『ありがとう、楓ちゃん。後は外に居るゴブリン達だけだから、そいつらをやっつけてくるから、ここから離れちゃダメだよ!?いいね?』


『・・・・・・う、うん。』


その返事を聞いた真斗は、玄関から外へと出て行った。


『さーてっ、まだ中等部にも行ってないであろう女の子を痛ぶろうとしていたクソ虫どもよ、覚悟しとけ!ここからは、お前らをぶっ殺してこの俺の怒りを鎮める糧となってもらう。準備はいいか?行くぞ、オラァァァァァァ』


その頃家の中で待機して居る楓とその家族はと言うと、


『楓、いい?今から言う事をよく聞きなさい。』


力無く楓に母親が語りかける。


楓は、泣きながら無言で頷く。


『あの少年はね、王都にあるNumbersって組織の人よ。番号は、確か七番だったかしら。その番号はね、王都全体の中で何番目に強いか表してるの。あの若さで七番じゃ、相当強いはずよ。ここのゴブリンも彼一人でなら余裕で倒せるはず。』


楓は、黙って頷き話しを聞く。


『それでね、この戦いが終わったら彼を頼りなさい。年も近いだろうし、きっと楓の力になってくれるわ。


お父さんとお母さんもはね、もう助からないと思うの。傷の具合は自分でも見てわかるしね。だからね楓、これから先お母さんと、お父さんが居なくても頑張って生きて行くの!


これから先は、楽しい事が待ってるのよ!学校に行って友達を作ったり、その友達と遊びに行ったり、ましてや恋なんかもしちゃうかもね!


楓は可愛いからきっとモテるわよ!好きな人が出来たら結婚して、子供を作って幸せになるの。あなたには、その権利があるのよ。だからね、いつまでそんな辛い顔してちゃダメ。


これから先は笑って生きて行くのよ!いい!?お母さんとお父さんとの約束!』


すると楓は・・・


『そんなの嫌だよ。私は、お母さんとお父さんが居なかった

ら生きていけない。生きていてもしょうがないの。』


すると母親は、


『楓!?最後ぐらいお母さんの言う事聞いて欲しいなぁ。楓は、そんなに悪い子だったかしら?』


泣きながら楓は応える


『ううん。楓は、悪い子じゃ無いよ。でもね・・・・。』


『楓、あなたは私達の宝物なの。私達はね、いつでも楓のそばに居るよ。空の上から楓の事を見守っているわよ。』


母親は、段々意識が遠のいて行くのを感じて、最後の力を振り絞り楓に言う。


『楓、手を出して頂戴。渡したい物があるの。これよ・・・・』


すると母親は。首に掛けられていた一つのネックレスを楓の手の上に置く。


『それはね、お父さんとお母さんが結婚したばかりの時に。お父さんが買ってくれたの。楓の次にお母さんの宝物なのよ。それを楓にあげる。そうすればもう寂しく無いでしょ?いつだって、お母さんとお父さんは楓の側にいるから・・・・・・。』


そう言って母親は自らのその生涯を終えるのだった。


『えっ?お母さん?お母さんってば!返事してよ!お願い、返事して!』


しかし、既に生き絶えた母親からの返事は無い。


『お父さん、お母さんが・・・・・。』


父親の方も返事がない。少し前に息を引き取って居たのである。


『あ、あぁ、う、うぁぁぁあああん』


今まで以上に涙が込み上げてきて、楓は泣き崩れるのであった。


外のゴブリン達を全滅させた真斗がその姿を見て、楓の元にやってきて優しく彼女を包み込み真斗は言う。


『ごめんな、俺がもう少し早く到着してれば二人は死ななかったと思う。二人は間に合わなかったけど、楓ちゃんは助けられた。それだけは良かったと思う。

楓ちゃん!これから先、どんな苦難が待ち構えているかわからないけど、二人の為にも必死に生きて行こう。今日ほど絶望に感じる日は無いんだから。』


そう言って、真斗は優しく楓の頭を撫でた。


『・・・はい。ありがとうございます。何から何まで本当にありがとうございました。二人の為にもこの先私は、必死に生きて行こうとおもいます。』


楓は真斗の胸の中で。泣きながら言った。

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