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Numbers  作者: 雨のち晴れ
中等部編

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30/64

高砂百合の一日。

一か月後に控えた野外実習に向けて、修行を始めた楓、椿、高砂の三人。そこへ先輩でもある夜桜が加わり四人で修行する事となった。楓と椿そして夜桜は、対魔物との戦闘想定して楓VS椿VS夜桜で修行をしていた。一方、皆に自分のスキルを隠し続ける高砂は、己のマナを高めるため一人別メニューで基礎体力をつけていた。果たして、一か月後彼女たちはどう変わっているのか。楓は兄のため、椿は皆のため、夜桜はnumbersになるため、そして高砂はある目的のためひたすら努力し続けるのであった。

【ガキンッ】【ガキンッ】【ガキンッ】【ガキンッ】


「遅いぞ、楓ちゃん!そんなんじゃ、一ノ瀬君の足を引っ張るだけだぞ!」


「わかってますよ、そんなこと!だからこうして修行をしているんじゃないですか!」


「九条さんも、隙だらけだ!そらっ!」


【ガキンッ】


「きゃっ」


「そんな事では、命がいくつあっても足りないぞ!」


「は、はい!」


(それにしても、紅葉さん強い。これが高等部を首席で入学した実力。私の攻撃が当たらない。最速で飛ばしているはずなのに)


「どうした、楓ちゃん!攻撃が単調すぎるぞ!もっと工夫をしろ!」


(やはり、楓ちゃんはキレた時にこそ真の力を発揮するのか。

どうにかそれを自然体で出来るようにならないものか。出来さえすればきっと一ノ瀬君をも越えられるはず。)


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。」


「よし少し休憩するか。彼女も帰る時間だしな。」


そう言って、夜桜は高砂の方を見る。その頃高砂はというと、基礎体力を上げるための走り込みをしていた。毎日毎日学校が終わると、一ノ瀬家に来ては基礎中の基礎、腕立て伏せ、腹筋、スクワット、走り込みをしている。

その昔、人類が初めてイリュージョンウェポンを手にした時から、研究に研究を重ねマナという精神エネルギーという存在にありついた。そして、マナとは己の体力と精神力が関係してる事がわかった。

だが、イリュージョンウェポンが子供の時にしか使えない事、成人すると消滅する事、その二つは未だに解明されていない。


「百合ちゃん、もうそろそろ帰る時間だよ!?」


「え、えぇ!もうそんな時間?教えてくれてありがとう椿ちゃん。」


「いいえ。早く妹さん達の為に帰ってあげて!」


「うん!そうするね。お疲れ様!」


高砂は、急いで帰り支度して妹達の待つ家へと帰っていった。


「百合ちゃんのイリュージョンウェポンの力って何なんだろう?」


「さぁ?私も見たことないのよね。高砂さんがイリュージョンウェポンを使っている所。」


「試験の時は別室に居て実技の方は受けてないみたいだしね。」


「そうなのか?確かに彼女はいつも基礎トレーニングしかしていないしな。武器を扱えるだけの体力が無いものだと思っていたが。」


「そうなんです紅葉さん!でも、それだとおかしいんです。必ず、実技は受けないとならないのにそれを免除されて学園に入学してるし。」


「「「うーん」」」


高砂のイリュージョンウェポンが何なのか気になって仕方がない三人であった。


「はぁ、はぁ、はぁ。すっかり遅くなっちゃった。二人とも怒ってないかな?」


すっかり日も暮れ、妹たちの面倒を見ている高砂は急いで家へと向かう。高砂の家は、高砂がまだ小学生の頃魔物に父親を殺され、それからというもの母親は子供たちの為に夜遅くまで仕事をし、子供達は長女である百合が面倒を見ている。母親に負担を掛けたくないと、百合は家事全般をしている。それでも百合一人では、全てをやれるわけでもなく次女の皐月が百合の手が回らないとこを手伝う事となっている。


皐月(さつき)柚子(ゆず)、ただいま!」


「お姉ちゃん、遅い!」


「あー、お姉ちゃんだ!おかえりなさい。」


「ごめんね、皐月、柚子。今、夕飯の支度するからちょっと待っててね。」


「はーい!お姉ちゃん、何か手伝うことある?柚子が手伝ってあげる!」


「おー、ありがとう柚子。じゃ、お皿を運んでおいてくれるかな?」


「はーい!」


柚子は、小さい頃から母親の代わりに百合が面倒を見ているのでお姉ちゃん大好きっ子になっている。皐月の言う事は聞かないが、百合の言う事は何でも聞く。そんな子だ。一方、皐月はというと


「じゃ、私はお風呂でも掃除してくるかな。暇だし。」


「皐月もありがとね。助かる。」


「そう思っているなら、もっと早く帰って来てよ。まったく。」


こちらもブツブツ文句を言っているようだが、姉の百合には感謝している。朝も誰よりも早く起きて母親の代わりに洗濯、朝食、学校へ行く準備を百合が一人でやっている為、皐月本人はいつもゆっくり出来ているのだ。その為、百合には頭が上がらない。

母親は、皐月と柚子が学校に行ってから起きてくる。毎日深夜まで働いて、朝起きるとそこには百合しかいない。それでも、朝食をとっている間に百合も学校へと向かう。親子の会話はそれほど多くはないが、百合は文句ひとつ言わずに毎日家事をこなしている。

誰のおかげで学園に通えるかわかっているからだ。


「「「ごちそうさまでした。」」」


夕食も終わり、学園が休みの日以外は、皐月が柚子と一緒にお風呂に入り、その間に妹達の寝る準備を始める百合。それから二人が寝たのを確認してから、学園の課題を始める百合。いつも睡眠時間は5時間取れればいい方だ。

お風呂から出てきた皐月達。柚子が寝たのを見計らって皐月が百合に問う。


「ねぇ、お姉ちゃん。学園で何かあった?」


「え!?何か?何もないわよ?」


「本当に?何だか、ここ二日ぐらいで今まで以上に疲れた顔してるし、最近帰るの遅いし。」


「あはははは。ごめんね、柚子の面倒見させちゃって。帰りが遅いのは、友達と寄り道しちゃってるだけだから。本当に何でもないの」


「ならいいんだけどさ。何かあったら私には言ってよね!」


「うん。ありがとう皐月。ほら、皐月ももう寝なきゃ明日起きれないわよ!」


「そんなのわかってるよ。無理だけはしないでよね。それじゃ、おやすみ」


「はい。おやすみ」


こうして、高砂百合の長い一日が終わる。


そして、遂に野外実習当日を迎える。

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