嫌がらせへの加担
この世界は、魔物が蔓延る世界である。故に魔物と人類の争いが幾度となく繰り広げてられている。そんな世界で、人類は対魔物に対抗する手段としてイリュージョンウェポン(幻想武器)を神から授かるのであった。しかしそれは成人になるまでの子供たちのみ授かる事許されており、成人を迎えた者は自然と使えなくなる。マナという能力により創り出され、各々が創造する物一つだけ与えられる唯一の対魔物に特化した武器である。全ての子供が創り出されると言うわけでもなく、何かしらの力が働いて創り出されるもの。その何かしらの力と言うものは未だに解明出来ていない。そんな中で今日もまた一人の少年が理不尽なこの世界で必死に生きているのであった。
楓に遅れる事5分、やっと担当教師が姿を現す。
「よーし、これより授業を始めるぞ!みんな居るか?」
すると生徒達は辺りを見渡し、皆が揃っていることを確認する。しかし、そこにはまだ高砂の姿が無い。その事に気が付いた一人の男子生徒が、
「先生、高砂の姿が見当たりません!」
「何?最初の授業からサボりか?いい根性してるな。これは後でみっちり説教してやる!」
筋肉馬鹿である体育教師の真島は指をボキボキ鳴らしながら言う。
「ちょっ、先生!そのセリフ、指を鳴らしながら言うと『これから暴力します』って言ってるようなものですよ!あはははは。」
「「あはははははははははははは。」」
クラスの生徒が笑う中、楓と椿だけが笑っていない。二人だけが、真島の目が笑っていないことに気が付いた。恐らく、何かしらの暴力をするであろうとみていたのだ。そして、遅れる事5分。やっと体操着に着替えた高砂が校庭に現れる。
その姿を見た男子生徒達が興奮する。
「ねぇ、楓ちゃん。」
「ん!?何?」
「高砂さんの着ている体操着って・・・・・・・。」
「ええ、どう見てもサイズが合ってないわね。」
「だよね。あれって自分のかな?サイズ合わせして買わなかったのかな?」
「そんなはずあるわけないでしょ。購入時に必ず試着ぐらいするでしょ普通は。」
「うん・・・・・。じゃ、今着てるのって?」
「おそらく、忘れた生徒用の予備でしょうね。どの学校にも一着や二着ぐらいあるでしょ。忘れて借りにいったんじゃないの?」
「だとしてもあのサイズ・・・・・・・・」
「まぁ、おそらく桜子先生の嫌がらせでしょうね。」
「桜子先生が?」
「ええ、そうよ。じゃなきゃあんな見た目で分かる小さいサイズの体操着渡さないでしょ?」
「そんな・・・。まだ学校始まったばかりだよ?いきなり生徒はおろか先生までも嫌がらせに加担しているなんて。」
「よほどのストレスでも感じてたんじゃない?そして、ストレス解消の矛先が地味な高砂に向けられたって事でしょうね。」
「そんな・・・・・。」
「言っとくけど椿!私達じゃどうにもできないわよ。相手は教師なわけだし、下手をすればあなたも標的にされかねないわよ?」
「わかってる!わかってるけど・・・・・・。」
「それに、教師に楯突くと転校させられるわよ?そんな事になったら、お父さんやお母さんが悲しむわよ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「はぁ・・・・・。わかったわよ!だから、そんな顔しないで。私が兄さんに連絡してどうにかしてもらうわ。numbersならたとえ教師でもどうにも出来ないでしょうからね。」
「本当に!ありがとう、楓ちゃん!大好き!」
その言葉が嬉しくて、椿は楓に抱き着いた。
「こ、こら椿!離れなさい!」
「えへへへへ。嬉しくてつい・・」
「嬉しくてついじゃないわよ!私に抱き着いていいのは兄さんだけ!いい!?わかった!?」
「うん、わかった!」
再び椿は楓に抱き着く。
「ちょっ!全然わかってないじゃない!は・な・れ・な・さ・い・」
強引に抱き着いてくる椿を引きはがす楓。すると、担任教師がようやく授業を開始すると言い出した。高砂も、生徒達と同じ場所にいるが何処か居心地が悪そうだ。そんな高砂をよそに楓は真斗にメッセージを送る。
【私の大好きなお兄ちゃん!起きてますか?起きてないなら、今から高等部に行って叩き起こしますよ!?】
すると、すぐに真斗から返事が来る。
【ピコン】
【可愛い妹よ、ちゃんとお兄ちゃんは起きてるぞ!今まさに、大事件が起こり白目を向いてたところだ。ところでどうした?何か用か?】
【白目!?ちゃんとその写真撮った?撮ったなら直ぐに私に転送して!】
【妹よ。普通の人間が、自分が白目を向いてる写真を撮ると思うのか?そんな事は誰もしないぞ?それより・・・・】
【あぁ、そうだった。兄さんが好きすぎてつい!じゃなくて、さっそく手を貸して!この通り!】
【どの通りだ?って、昨日の今日でか。ずいぶん早く音をあげたな。で、俺はどうすればいい?】
【さすがに教師が絡んでいるとなると私の力じゃ。今日の放課後、numbersのコート姿で中等部に来て!出来るだけ早く。合流したら詳しい話しをするから!】
【了解。終わり次第すぐ行く。】
【ありがとう!じゃ、放課後ね】
楓は、真斗に連絡した後すぐさま授業に参加したのあった。




