孤独
この世界は、魔物が蔓延る世界である。故に魔物と人類の争いが幾度となく繰り広げてられている。そんな世界で、人類は対魔物に対抗する手段としてイリュージョンウェポン(幻想武器)を神から授かるのであった。しかしそれは成人になるまでの子供たちのみ授かる事許されており、成人を迎えた者は自然と使えなくなる。マナという能力により創り出され、各々が創造する物一つだけ与えられる唯一の対魔物に特化した武器である。全ての子供が創り出されると言うわけでもなく、何かしらの力が働いて創り出されるもの。その何かしらの力と言うものは未だに解明出来ていない。そんな中で今日もまた一人の少年が理不尽なこの世界で必死に生きているのであった。
全ての作業を終えた高砂は一人席に座っている。すると、徐々に生徒達が教室に集まる。皆それぞれ登校してきた者たちとあいさつを交わす。そんな中、高砂も横を通る生徒にあいさつをする。
「お、おはようございます。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
あきらかに聞こえている声であいさつをするのに、誰一人高砂にあいさつを返す生徒は居なかった。高砂は次第に挨拶をするのを止めてしまう。すると、教室に楓と椿が仲良くおしゃべりをしながら入ってくる。
あの二人ならと思い、あいさつをしようと高砂は声を掛けようとするがうまく言葉が出ない。そんな様子に楓は気が付いたが、目が合うとと高砂は目をそらして前を向いてしまう。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「どうしたの楓ちゃん?」
「ん!?いや別に?何でもないよそれよりさ・・・・・」
学年主席で入学し、誰に対してでも優しい楓ならと高砂は期待したが楓は高砂に話しかけない。すると、チャイムが鳴り担任の桜子が入ってくる。今日から授業が始まる。
「ここの問題を・・・そうだな。高砂答えてみろ。」
ここで、全く授業に集中できていない高砂が指名を受ける。
「え!?あ、あ。す、すみません。分かりません。」
「おいおい、こんな簡単な問題も分からないのか?おまえ、そんなんで本当にクラスを引っ張っていけるのか?しっかりしろよ!」
桜子が呆れたと言わんばかりの顔をして高砂に言った。その後クラス中に笑い声が響く。
「あははははは。」「あんな問題も分からねーのかよ」「全然ダメダメじゃん」「学級委員長ってのは、普通頭が良い奴ってのが決まりなんじゃねーのか?」
「「「ハハハハハハハハハッ」」」
クラス中の笑いものにされた高砂は、俯いて泣きだしそうになってしまう。あろうことか、桜子も笑いをこらえるのが必死な顔をしている。本来なら、高砂の味方になり庇うはずの担任教師までもが、高砂をバカにするような目で見ている。すると、そんな状況を見かねた姫崎が、
「先生。」
「ん!?何だ姫崎!?」
「そろそろ、授業を再開してもらえませんか?こんなことしてる時間がもったいないです。」
そう楓が桜子を睨みつけるように見て、冷めきった口調で言うと、クラス全体が黙り込む。桜子も、楓に睨みつけられたことによりイラつきながらも授業を再開した。
その後、午前の授業が終わり昼休みの時間になった。生徒達はいくつかのグループに分かれ昼食をとる。教室で食べる者、学食に行くもの、学園の庭で食べる者それぞれだ。
楓と椿は、弁当を持参しているので教室で食べることにした。
もちろん、高砂に声を掛けるものなどおらず一人寂しげに高砂は弁当を持ち、教室を後にする。その様子を見ていた楓が気になる椿。
「ねぇ、楓ちゃん。みんないくら何でも露骨すぎない?あれじゃまるでイジメてるみたいだよ。まだ学校始まって二日目だよ!?あれじゃ、高砂さんが可哀想だよ。」
「なら、椿が助けてあげれば!?私はめんどくさいからパス。いちいちあんなくだらないことに首を突っ込みたくないもの。」
「そ、そんな・・・・・・・・・」
椿は、高砂が出て行ったドアをじっと見つめている。そんな様子を見ながら楓は昼食を食べ続ける。やがて、チャイムがなり昼休みが終わりを告げる。午後の授業は体育から始まった。と、ここで高砂の顔が青ざめていることに椿が気づく。
そんな高砂を見ていられないと、椿が高砂に声を掛ける。
「高砂さん、どうしたの?何か困りごと?」
「あ。く、九条さん。な、何でもないよ。」
「え!?でもあきらかに困っているふうに見えるけど?」
「わ、私は大丈夫だから九条さんは先に行って!授業に遅れちゃうよ?」
「え!?で、でも・・・・・・・・」
「椿!?行くよ!もたもたしてたら遅れちゃうよ!」
「ほ、ほら姫崎さんも言ってるよ。私は本当に大丈夫だから先に行って。」
「う、うん。わかった。でも、何かあったら遠慮せずに行ってね?」
「あ、ありがとうございます。」
「じゃ、校庭でね!」
「う、うん。」
そう言って、椿は楓の所に駆け足で向かい二人そろって教室を出る。二人を見送った後高砂は体操着の入ったバックを見る。そこには、おろしたての体操着が入っているはずが、泥だらけの体操着が一着入っていた。もっと言うと、バックの中が泥だらけなのだ。そんな体操着を見て高砂は絶望感に浸る。
(どうして。朝はこんなことになってなかったのに。これじゃ、どうやって授業を受ければいいの。)
高砂は仕方なく、職員室に行き担任教師の桜子に相談した。そして、予備の体操着を受け取る。しかし、教室に戻って着替え始める高砂だがどうにもサイズが合わない。体操着が小さすぎるのだ。上着に袖を通すも、おへそが見えてしまっている。胸もサイズが合わなくてやたらと強調されてしまっている。高砂は椿と同じで年齢の割には発育が良く、周りの生徒や教師からいやらしい目で見られることが幾度もなくあった。
(こ、これはちょっとまずいよね。でも、ただでさえ時間に間に合ってないから行かなくちゃ。)
時間が過ぎていることに気が付いた高砂は慌てて着替えて校庭に向けて小走りで走る。そして、校庭着いた高砂を見つけるや否やクラスの男子がいやらしい目つきで高砂を見ている。すると一人のクラスメイトの男子が高砂に向けて話しかける。
「すっげー、何その体操着!サイズ会ってねーじゃん!そしてすげー、胸揺れてんじゃん。それ、狙ってやってるの?」
そんなセクハラ発言をかます生徒に対して高砂は、
「え!?い、いやそういうわけじゃなくて。体操着忘れちゃって、職員室に借りに行ったら桜子先生にこれを渡されて。」
「いやー、桜子先生男子の気持ちわかってるね!実に良き先生だ!うんうん。」
すると、体育教師の先生もいやらしい目つきをし、鼻の下を伸ばしながら高砂を見つめ、
「高砂!何だその恰好は!ふざけているのか!放課後、私の所へきなさい!さ、みんな授業の続きだ。」
「「はーい」」
「いやー、いいものが見れたぜ」「身体だけなら全然ありだよな高砂。」「後で、身体だけの関係でいいから付き合ってくれって言うかな!」「お前馬鹿じゃねーの!そんなのOKするわけねーだろ」「ははははっ。そりゃそうか」
そんな卑猥な言葉を並べる男子を見ていた女子生徒が高砂に、
「何あんた、そんな恰好して男子を誘ってんの?マジキモイんだけど」
「い、いえ。そ、そんなんじゃないんです。」
「いいわね、男を誘惑できるエロい身体を持ってるあんたわ。あー羨まし。」
「だから違うんです。全然そんなんじゃ・・・・・。」
「うるさいわね!この痴女が!」
周りの女子生徒も、そうだそうだと罵声を浴びせる。そして、生徒達は授業へと戻るのであった。高砂は、この格好では授業など出来ないと判断し、隅で座ったまま授業を終える。




