姫崎楓
この世界は、魔物が蔓延る世界である。故に魔物と人類の争いが幾度となく繰り広げてられている。そんな世界で、人類は対魔物に対抗する手段としてイリュージョンウェポン(幻想武器)を神から授かるのであった。しかしそれは成人になるまでの子供たちのみ授かる事許されており、成人を迎えた者は自然と使えなくなる。マナという能力により創り出され、各々が創造する物一つだけ与えられる唯一の対魔物に特化した武器である。全ての子供が創り出されると言うわけでもなく、何かしらの力が働いて創り出されるもの。その何かしらの力と言うものは未だに解明出来ていない。そんな中で今日もまた一人の少年が理不尽なこの世界で必死に生きているのであった。
【姫崎楓 11歳】
相変わらず魔物の侵攻は止まらない。
何人もの村人が倒れていくなか・・・・
『いい楓!?絶対にそこから出るんじゃないぞ!お父さん達が楓を守るからなっ!』
『そうよ楓、私達が何が何でもあなたを守るからねっ!こう見えても、昔はお父さんもお母さんも、戦えたんだから!大丈夫、何の心配はいらないわ⭐︎』
そう言うと母親は、楓を安心させる為に全力の笑顔を魅せる。
『でもお父さんもお母さんも、二人とイリュージョンウェポンが無いじゃない。どうやって戦うの?私だってまだ、イリュージョンウェポン持ってないのに・・・。』
そう、成人をとうの昔に迎えた二人にはもうイリュージョンウェポンがない。
『大丈夫だ楓、お父さんは昔は強かったんだから!Numbersには慣れなかったけど、それなりの戦闘は何度もこなしてる!だから安心してそこに隠れてなさい!いいね!?』
『うん。わかった』
この絶体絶命の危機に父親は、家の中にある武器になりそうな包丁二本を手に取る。
対する母親も包丁をホウキの先に包丁をくくり付け一本の槍を完成させる。
『さぁ、何処からでもかかって来い魔物ども!』
そう言うと、家の扉が破壊され二体の魔物が家の中に侵入してくる。
『グルルルル・・・・・。』
『ギャャ・・・ギャャャャャャャャ』
言葉にならない奇声を発して入ってきたのは二体のゴブリンだ。
二体のゴブリンは、それぞれ手に血の付いた棍棒持っている。すでに何人か村人を殺したのであろう。それを押入れの隙間から見ていた楓が『ひゃっ』と声を上げる。
それと同時に父親が、ゴブリンに向かって一直線に走り出しゴブリンの喉元に向かって包丁を刺しに行く。ゴブリンもそうはさせまいと、持っている棍棒で父親目掛けて上から振り下ろす。父親はそれ見て、横に転がりゴブリンの横に回り込む。直ぐに体勢を整えてゴブリン目掛けて二本の包丁でゴブリンを斬り刻む。
一方、母親の方ももう一体のゴブリンに向けて槍で応戦する。槍はリーチこそ長いが距離を縮められると防戦一方になってしまう為、きちんと間合いを取り戦っている。
『はぁぁぁぁっ!』
母親は手を休める事なく、槍でゴブリンに突つ!ゴブリンは、これに反応出来ずにみるみるうちに傷がふえやがて地面に這いつくばり生き絶える。
『ふぅ。何とかなるもんだなぁ』
『そうね、長い間戦ってなかったけどどうにかなるものねっ』
ここ最近は、Numbersや王都の学生達が村の周りを巡回して、村の安全を確立していたのである。ここまで大規模に、夜中魔物達が侵攻してくる事なんてここ数十年無かった。