謝罪
この世界は、魔物が蔓延る世界である。故に魔物と人類の争いが幾度となく繰り広げてられている。そんな世界で、人類は対魔物に対抗する手段としてイリュージョンウェポン(幻想武器)を神から授かるのであった。しかしそれは成人になるまでの子供たちのみ授かる事許されており、成人を迎えた者は自然と使えなくなる。マナという能力により創り出され、各々が創造する物一つだけ与えられる唯一の対魔物に特化した武器である。全ての子供が創り出されると言うわけでもなく、何かしらの力が働いて創り出されるもの。その何かしらの力と言うものは未だに解明出来ていない。そんな中で今日もまた一人の少年が理不尽なこの世界で必死に生きているのであった。
椿達と別れた真斗は、自身も楓の待つ家へと帰った。
『ただいまぁ。ごめん楓おそくなった。』
すると楓の他に聞き覚えのある声がもう一つ。
『おかえりー!お兄ちゃん!』『おかえりなさい、真斗君』
『ただいま、楓・・・・・夜桜?・・・・・はっ?えっ!?何で夜桜がここにいるわけ?』
『さぁ?何ででしょう?』
今の状況に、理解が追いつかない真斗はただ呆然とするしかなかった。
そして、再び夜桜が話しだす。
『あ!!やっぱり真斗君は、Numbersだったんだね!薄々わかってはいたけど。それに番号は、噂の【正体不明の七番】だったんだ!』
我に返ったまさとは、コートを脱ぎ忘れていた事に気がつく。
『あ・・・・・・。しまった、脱ぐの忘れてた。』
その反応を見た夜桜は、
『ふっふっふっ。大丈夫よ安心して、誰にも言わないわ!』
『あはははははっ。そうしてくれると助かる。』
苦笑いを浮かべまる真斗であった。
『これで、貸し借りなしね!私達が助けられた貸しと、Numbersの事を秘密にする事で』
『いや、別に貸しとかそんなんじゃ・・・・。佐藤にはだいぶムカついていたし、あいつを懲らしめるのはNumbersの依頼でもあったからな。あいつは今まで少々やりすぎた。ただそれだけの事だ。ところでさっきも言ったけど、何でここに夜桜が居るんだ?』
『私が来た目的は1つよ!一ノ瀬君に謝ろうと思って。』
『謝る?何を?謝られるようなことしたか?』
『一ノ瀬君が教室を出た後、私達はクラス全員で一ノ瀬君が観た動画を観たの。その内容があまりにも違い過ぎて、朝動画をちゃんと確認していれば一ノ瀬君が停学になることは無かったの。私達が『違います』とただ言えばよかったのに、私達は動画を観ることを拒否してしまったの。本当にごめんなさい。』
夜桜は深々と頭を下げる。自分たちがどれだけの事をしてしまったのか噛みしめながら。
『いや、気にすんなよ。夜桜達のおかげで、今日はいい収穫があったしな。』
『何があったの?』
『帰ってくる前に、隣町に行こうそしてそこで戦闘が起きて優秀な人材を見つけることができた。もしかしたら、近いうちにNumbersになれるかもしれない中等部の子を。』
すると、夜桜が反応する前に楓が声を荒げて言う
『何それ!どー言う事なのお兄ちゃん!誰!?誰なの!?あたしより強いの!?教えて!』
『いや、楓のが強いがマナの扱いはあの子のがうまいな。鍛錬すれば、きっと楓と並ぶぐらい強くなれる素質を持っている。お前は雑なところがありすぎから今のままだとあの子に抜かれるぞ。』
『ぐぬぬぬぬ。』
『ねえ、一ノ瀬君。その子っていったい誰なの?一ノ瀬君がそこまで推すんだから名前ぐらい聞いてるんでしょ?』
『あぁ、その子は九条椿っていう女の子だ。』
その名前を知っている楓は驚いている。同じクラスになりオリエンテーションの時に話しかけられた子だ。たまたま席が隣だったって事で2人は話していた。
『え?椿ちゃん?私の知る限りじゃ、そんなに目立たない子で、成績も真ん中ぐらいだったはず。その椿ちゃんがNumbersにもなれるっていうの?』
『あぁ、素質は十分にあるだろうな。これからの鍛錬次第だけどな。後は本人がどううまくやるかだが。』
『一ノ瀬君がそこまで言うとなると説得力があるわね。私も頑張ってNumbersにならないと・・・・・。』
『7月に選抜試験があるからな。今から鍛錬すればもしかしたらなれるんじゃないか?夜桜も、楓も十分強いし。ただ、一筋縄ではいかないぞ?今のメンバーも相当強いからな。毎日の鍛錬を怠らないことだ。』
こうして、夜桜や楓たちは自分もNumbersになるべく修行を始めていくのであった。