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Numbers  作者: 雨のち晴れ
王立学園編
15/24

九条椿

真斗は今、魔道列車の中に居る。このまま帰っても、楓にあーじゃない、こーじゃないと言われて怒られるからである。


なら、暇だし隣町までブラブラする事に決めた。時刻は丁度十五時。学校も、終わっている時間。隣町に行く人はあまり居ないので、一両編成だ。


見渡すと、二十人ぐらいが乗っている。高等部の制服を来た男子が一人、三つ編み眼鏡の女の子が一人とその両親二人、あとはカップルなども居る。


(あー、列車って落ち着くなぁ。いつもは、走って隣町まで行ってるからなぁ。実際、急いでいる時なら走った方が早いけど、今日は時間に余裕があるからなぁ。)


そう思っていると、隣に高等部の制服を着た男子生徒が座って来た。


『やあやあ、これはこれは、かの有名な最下位モブクズノ瀬君ではないか!僕の名前は大垣悠おおがきゆう。君は自分のあまりのクズさを実感していて現実逃避にはしり、隣町まで逃げようとしてるのかい??うんうん、それは良い考えだ。クズなりにしっかり考えているんだね!いやー、結構結構。』


と車内に響き渡る様にデカい声で言った。


『あー、そうだよ!クズなりに考えた結果、学園には居ない方がみんなの為だと思い、隣町に向かってるんだよ!悪いか?』


そう冷静に真斗が応えると、


『いや、全然悪くない。むしろその方が、世のため人のためってもんさ!フッハッハッハッハッ!』と大声をあげ去って行った。


(何だあいつ?)


すると、三つ編み眼鏡の女の子(九条 椿 くじょう つばき)は、


(最下位?クズノ瀬?何処かで聞いた事がある様な?)


そう考えていると、車内が大きく揺れ、車両は急停車する。


【キィィィィイイイイイイイっ】


きゃっと言う声やうわぁっと言う声、様々な驚いた声が上がる。すると大垣が、


『どうしたんだ?何があった?どうして止まった』とあたふたしている。

すると車内にアナウンスで、


【緊急事態です。今この車両は魔物の群れに囲まれております。学園に救援要請出したので車内から外に出ないで下さい。なお、この魔道列車は、シールドも装備しているので学園の救援が来るまで耐えられます。皆さん、どうかパニックにならず、お静かにお願い致します。】と言って、アナウンスは終わった。そして、すぐさま魔物の攻撃が列車へとされる。


【ドガガガガガガガガっ】


『きゃーーーーーーーー。』


『うわーーー、助けてくれ!まだ死にたくない!』など悲鳴が上がる。


『おい、あんた!高等部の学生だろ?助けてくれよ、何とかしてくれ!強いんだろ?』


『な、な、な、何で僕が。それにあの数相手じゃ僕では手に負えない。僕の順位は百八十二番だ。無理だ。』


『ちっ、何だよ使えねーなっ。そっちのにぃちゃんは何番だ?このヘタレより強いんだろ?』そうカップルの成人男性が俺に問いかける。


『いや、みんなも聞いてた通り、俺は最下位の二百番だ。すまん。』


絶望が車内を襲う。その間も魔物の攻撃は続き、やがてシールドが剥がれはじめる。


『おいおい、シールドが剥がれはじめてるぞ!本当に持つのかこれ!』


誰かがそう言った時、車両の一部が壊れる。


『うわーーー、魔物が入って来ちまう。助けてくれーー。』


さらに悲鳴あがる。車内もパニックになり、逃げ出そうする者まで現れる。すると、一人少女が声を上げる。


『皆さん、落ち着いて下さい。私は九条椿、この春から中等部に通う一年生です。順位は二百人中百十二番です。然程強くはありませんが、皆さんは、私がお守りします。なので、出来るだけ後ろに下がって、頭を低くしていて下さい。』


(うんうん、的確なアドバイスだ!この状況でこの冷静さ、だいぶ芯が強い子だ。)


『そうだ!お前が何とかしろ!最悪、お前が囮になって僕達を逃がせ!僕は、将来王国に必要な存在になる男なんだから!なんなら、僕だけでも守れ、この三つ編み女!』


すると椿の母親が、


『あなた、なんて事言うの!?あの子はまだ十三歳にもなってないのよ!それを囮にだなんて。』


『うるさい、うるさい!何も出来ないお前達は黙ってろ!学生の僕達が居るから何の不安もなく生きていけてる金魚の糞どもが!おい!三つ編み女、さっさと外に出て戦え!その制服着てれば多少の痛みは無いんだからその体が引き裂かれるまで僕達を守れ!もし、こっちに逃げてくる様なら僕がお前を殺す!さぁ、早く行け!』


(あー、このクズ男この戦いが終わったら、Numbersの本部に言って、武器封印してもらおう。救いようのないクズだ。)


『ダメよ椿、あなたも下がりなさい。そんな男子生徒の言う事に耳を貸してはダメ!あなた、まだ武器だって思う様に使えないでしょ?あなたには無理よ!』


『でも、このままじゃ・・・。ここで私が頑張らないと、みんな死んじゃう。そんなの・・・・・そんなの嫌だ!ごめんね、お母さん、お父さん、私行ってくる。』


そう言って、椿は外にでた。


『ああ、椿・・・・。どうか神様、椿をお助け下さい。私達は、どうなっても良いので。

お願いします。お願いします。』


『よし、あの三つ編み女は、外に出たな!イリュージョンウェポン!はぁぁぁぁあああああああ。どりゃ!』


【ドガンッ】


大垣がハンマー型の武器を地面に叩いて使うと、周りに物凄い重力が皆を襲う。すると、


『な、何なんだ?体が重くて、動かない。』


『はっはっはっはっ!見たか!これが僕の武器だ!僕の武器は、僕以外の対象に普段かかっている重力の何倍もかかる様になる。これで、僕だけは逃げられる!』


(何倍の重力?これは少々やっかいだな)


『こ、こ、このクズが!!!』


『最低、早く解きなさいよ!』


何人かがそう言うと、


『嫌だね!誰が解くものか。お前達も囮になるんだよ!フッハッハッ!』


『チッ!』


その頃外では椿が奮闘している。何体ものゴブリンがそこには倒れていた。


『はぁぁぁぁああああ』


椿はのイリュージョンウェポンは、円月輪であり、その武器の特徴は、真ん中に穴のあいた金属製の円盤の外側に刃が付けられており、その直径は30cm程。投てき武器としては珍しく斬ることを目的としている。


投げ方は二通りあり、円盤の中央に指をいれて回しながら投げる方法と、円盤を指で挟み投げる方法がある。


『この、この、この、』


椿は、マナの使い方が上手く、必要最低限の舞でゴブリン達を倒して行く。


(ほぉ、円月輪かぁ。マナの使い方もかなり上手いな、楓でより上手いんじゃないかこれ?あれだけ華麗に舞っていて、全く無駄がない。あの歳であそこまで出来ると、この子はだいぶ素質あるなぁ。)


などと、真斗は感心している。すると一体のゴブリンが車両の壊れたところに近づいて行く!


『しまった!』


慌てて、椿は戻ろうとするが、近くに居たゴブリンの攻撃が足に当たる。


『痛っ!』椿がその場に倒れ込む。

すると大垣が、


『何やってるだ、三つ編み女!こっちにゴブリンが来てしまうだろ!早く何とかしろ!』


と怒鳴る!すぐさま椿は、そのゴブリンの意識をこっちに向けるため、倒れながらゴブリンの背中目掛け片方の円月輪を投げる。


そうしてようやくゴブリンの意識が椿にむいた。その時だった、椿は背中に今まで味わったことのない痛みを覚えた。


オークの攻撃だ。オークは、棘のついた棍棒で椿の背中を何度も叩く。椿の背中から血飛沫が舞う。


『あぁぁぁああああああああ』


椿が泣き叫ぶ。


『痛い、痛い、痛い、痛いよママ、パパ』


母親が泣きながら言う、


『いやーーーーーーっ!椿!!!』


大垣が、


『うわぁぁぁぁああ!もうダメだ逃げないと殺される。』大垣がそう言いながら、椿の母親の髪をつかみ外に放り出す。


『ああああ、ママ!!!』


泣きながら椿は叫んで、痛みを堪えながら母親の近くのゴブリンに、円月輪を投げる。しかし、冷静を欠いている椿の攻撃は当たらない。そしてマナが尽きる。後ろのオークが振りかぶって椿にとどめを刺そうとした。


『いやーーーーーーーー。』


椿は、もうダメと諦めた瞬間、


【ドラグーンバレット】


【カウンターシールド】


真斗が、そう小さく言うと、椿の後ろに居たオークの頭が消し飛び、椿と母親にはカウンターシールドがかけられる。


『さてと、もう良いか。久々に俺もブチ切れだ。』


そう言って、真斗は重力の拘束を解き、鞄からNumbersのコートを出し、大垣の所に向かう。すると大垣は、


『おお!Numbersか!丁度いい、この僕守れ!早くしろ!』


真斗は、まるでゴミでも見るかの様な目つきで大垣を睨み、


『誰がお前なんか助けるかよ、ボケが!』


といい、大垣の腹をおもいっきり蹴り飛ばす。


大垣は車両室の扉に勢いよくぶつかり、頭から血を流して気絶した。


『そこで死んでろ!クソやろうが!』


一瞬、周りの空気が凍りつく。


『え?な、な、な、Numbersの方?・・・』


『はい、俺はNumbers七、一ノ瀬真斗です。

ここからは、僕が皆さんをお守りします。もちろんそこで、伸びてるクソ野郎以外は!』


みんなが、助かったと喜びに満ち溢れる。


『で、でも、あの女の子はもう・・・。』


みんながダメだと確信している。あの傷、あの血の量じゃ誰も助からないと思っている。


『安心して下さい。あの子も助けます。元通りにさせます。』


椿の父親が泣きながら、


『一ノ瀬さん、どうかどうか椿を助けて下さい。お願い致します。』


何度も何度も頭を下げる父親。大垣が気絶した事で、皆動ける様になっている。


『みなさんは、ここから動かないで下さいね。危ないですから。』


そう言うと、真斗は外に出て行った。

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