クズ息子に鉄槌を 其のニ
この世界は、魔物が蔓延る世界である。故に魔物と人類の争いが幾度となく繰り広げてられている。そんな世界で、人類は対魔物に対抗する手段としてイリュージョンウェポン(幻想武器)を神から授かるのであった。しかしそれは成人になるまでの子供たちのみ授かる事許されており、成人を迎えた者は自然と使えなくなる。マナという能力により創り出され、各々が創造する物一つだけ与えられる唯一の対魔物に特化した武器である。全ての子供が創り出されると言うわけでもなく、何かしらの力が働いて創り出されるもの。その何かしらの力と言うものは未だに解明出来ていない。そんな中で今日もまた一人の少年が理不尽なこの世界で必死に生きているのであった。
今日も、お昼休みに屋上でご飯を食べながら佐藤のどうしようもない武勇伝を聞かされている。そんなどうしようない武勇伝など興味がなく、真斗は別のことを考えていた。
それは遡ること、三時間前の事である。
いつも通り学校に着いて、席に座り外を見ていると、隣から『ガタッ』と音が聞こえた。
音が聞こえた方を見てみると、夜桜が顔面蒼白になっていた。どうやら、机の上に置かれていた手紙を見てそうなったのであろう。真斗は思った。
気になるって言えば気になるが、夜桜が教えてくれるわけでも無いと思い、そのまま見なかった事にする。
そして現在、屋上でご飯を食べていると、
『クズノ瀬、今日の放課後面白いものが見れるから着いてこいよ』と、佐藤言う。しかし、真斗は
『いやー、ごめん。今日はバイトが入っているんだ。妹と二人暮らしだから、俺が生活費を稼がないといけなくて。本当にごめん』と謝る。
『チッ!何だよ使えねーな!折角俺様が誘ってやってるのによぉ。クソが』と言う。真斗は何度も謝り、
『そー言えば、クズノ瀬の妹は中等部で優秀らしいなっ!それにすごく可愛いんだろ?なぁクズノ瀬、今度妹を紹介しろよ!俺の女にしてやるからよ!フッハッハッハッハッ!』と高々に笑う佐藤に対して真斗は、
『あぁん?妹に手を出したら殺すぞ』と小さくいい、持っていた弁当箱と、箸をへし折るであった。その事にも気がついていない佐藤は、
『暇な時で良いからなっ』と言ってその場を離れる。そして、その後も授業を受けているのだが、隣の夜桜の顔が青白いままだ。
(こりゃ、何かあったな。放課後、夜桜をつけてみるか。)そう思う真斗であった。
放課後になり、皆それぞれ帰って行くわけなのだが、夜桜が席から立ち上がろうとしない。そんな夜桜を見て真斗は、
『帰らないのか?』と声を掛けるが、
『あ、あ、貴方には関係ないことでしてよ』とあしらわられる。明らかに動揺している夜桜に対して真斗は、
『あっそ、じゃお先に!また明日なっ、夜桜』っと言って席から立ち、ドアに向かって進んで行く。進んで行く最中に、夜桜が小さな声で『あっ!』と言うのが聞こえた。
(ふぅ、助けて欲しいなら助けて欲しいって言えばいいのに)そう思って、真斗は教室から出る。教室に、取り残された夜桜と取り巻き二人は沈黙している。
すると、取り巻きの一人が
『枯葉、クズノ瀬にも来てもらった方が良かったんじゃない?一応、男の子だし。』
『そうだよ、もしもの事があったらどうするの?』
夜桜は震える体を抱き抱えて、
『あ、あんなクズが居ても何の役には立ちませんことよ。それにオリエンテーションの時見ませんでしたの?イリュージョンウェポンもまともに作れない殿方など、ひ、必要なくってよ』ドアの横で会話を聞いていた真斗は
(あー、俺酷い言われようだなっ。心が折れそうだ。って、もうとっくに折れてるか。)
『と、と、と、とにかく指定の場所向かいますわよ。』
そう言うと、夜桜達は席に立ち上がり予め指定されていた場所へと向かうのだった。
もちろん真斗も、バレないように夜桜達を追尾するのであった。
放課後の学園の裏地、この時間にもなると人通りなど全く無い場所に佐藤とその取り巻き十人と、夜桜とその取り巻き二人+木の影に身を潜めている真斗達が居る。
『お、お、お待ちどう様、さ、佐藤君』
明らかに恐怖で動揺している夜桜。これから自分の身に何が起こるのか想像は出来ているからである。
『あん?オセーぞ夜桜!』と佐藤が怒鳴り、夜桜達三人は震え出す。それを見ていた佐藤の取り巻きは、大声を上げ笑い始める。
『アー、ハッハッハッハッ!何こいつ、学年一位の癖にビビってやんの!ウケるんですけど。馬鹿じゃねーの!アー、ハッハッハ』
『すげー、学年一位のお嬢様が佐藤さんの怒鳴り声だけで腰抜かしてるぞ!みんな写真撮れ!この姿をみんな見せて失望させてやろうぜ!ガー、ハッハッハッハッ!』
現状、夜桜達はこれから自分達は酷い目に遭う事を確信して泣いている。
『なぁ、夜桜さんよ!俺の物になれよ!そうすりゃ、今日の所はお前には手を出さず、後ろの二人で我慢してやるよ。たっぷり、辱めを受けさせてな!なぁ、良い条件だろ。』
夜桜の後ろの二人は、『ヒィッ。』言いながら泣いている。すると、夜桜は
『じょ、じょ、冗談でなくってよ!だ、誰が殿方の物になんかなる物ですか!お、お断りさせていただいて頂きますわ!』と言い切る
それを聞いた佐藤はおもむろに夜桜の頬をビンタする。
『おいっ!お前に拒否する権利は無いんだよ!立場わかってんのか?あぁん?』
そう佐藤が言うと夜桜が大きな声で、
『だ、誰か居ないのですか?た、助けて下さい!お願いします』と言うが。
『・・・・・・・・・・・・・・』
誰の返事もない。
『誰も来ねーぞ?唯一来れるそこの道は俺の子分達が入ってこれないように見張っているからなっ!残念だったな、お嬢様方!』
『そ、そ、そんな・・・・・。』
『あー、笑いが止まらねー!佐藤さん、早くコイツらを犯して良いですか?俺の下半身がうずうずしてますよ。』
『まぁ、待て!とりあえず、コイツら全員の服を脱がしてから、写真撮ってそれから犯すぞ!』
『いいっすね!それ!流石は佐藤さん!そうすれば、こいつらは社会的にも生きていけなくなりますからね!』
そう、佐藤の取り巻きが言った時、夜桜の右手が光だす。
『おっと、良いのか?イリュージョンウェポンなんか出したら、周りの連中があんたの姿を写真に収めるぞ?王都内でのイリュージョンウェポンの使用は重罪だぞ!最悪、禁錮刑だ!それでも良いなら使ってこいよ!』
『クッ』
『そう、そう。それで良いんだよ素直に俺達に犯されな!』
佐藤が夜桜を蹴り飛ばした後、
『みんなやっちまえ!』の一言が発せられる。
待ち侘びたかのように、周りが叫ぶ!
『うぉぉぉぁおおおおおお!』と歓喜にも似た声が、上がる。
佐藤が夜桜の側に近づき豊満な胸へと手を掛けようとした時、
『助けて、助けて、お願い、誰でも良いから助けて下さい。お願いします。』
『一ノ瀬君。。。。助けて。』
すると佐藤が、
『あぁ、あんな雑魚に助けを求めてどうすんだよ!あいつは、今日バイトだって言ってたしここ来るわけねーだろ!もし仮に来たとしても、俺達があんなクソ雑魚でモブのやつに負けるわけがね・・・・・・・・・・ぐほっ』
夜桜の前から佐藤の姿が消える。何がが起きたのか分からず、ただ茫然としていると、
『やっと、呼んでくれたか!おせーんだよ!夜桜!お陰で、全く見たくない物までみちまったじゃねーか!』
そう真斗が叫ぶと、夜桜は声のする木の方をみる。すると、右手にはイリュージョンウェポンの銃を持っている真斗の姿がある。
真斗が夜桜の方に近いていき、夜桜の頭の上に手を置き、ポンっと小さく叩くのであった。夜桜の目にはこれまで以上に涙が溢れて、物凄く酷い顔をしている。
『いやー、夜桜さん。折角の可愛いお顔が物凄く酷い事になってますけど?』
すると夜桜は、
『だ、だって、だって、しょうがないじゃない。わたくしすごく怖かったのですから。』
『そうだな、もうちょっと早く現れても良かったなっ。ごめんな!』そうやって、真斗は夜桜を抱きしめる。
『ほ、ほんとでございましてよ・・・・・・バカッ』と言い真斗の胸に顔を埋めるのであった。