171 2025/4/12 折りてかざさむ手力もがも
今日は万葉集からこの歌、と言うか歌のやり取りを紹介したいと思います。
大伴家持は越中に赴任して最初の春に、死をも覚悟するほどの大病を患い、家族から遠く離れた異郷の地で数十日も苦しみ、体力気力ともに衰弱した家持は戸外に出て春を楽しむこともできずに居ました。
数十日の後の少し回復の兆しが見えたときに、その心情を漢文の序と二首の悲歌に作り、一族の親友である大伴池主に贈りました。
家持より数歳年上の大伴池主はそれに長歌一首反歌二首の作品で答え、二人は天平十九年二月二十九日(現在の四月中旬)から三月五日までの間の数日間のうちに漢詩二編・長歌二首・短歌十一首もの歌をやり取りしています。
大伴家持
春の花今は盛りににほふらむ折りてかざさむ手力もがも
(春の花は、今は盛りと咲きにおっていることだろう。手折ってかざしにできる手力がほしい)
鴬の鳴き散らすらむ春の花いつしか君と手折りかざさむ
(鴬が鳴いては散らしているだろう春の花、その花をいつあなたと共に手折ってかざしにしようか)
これに対し、
大伴池主
山峽に咲ける桜をただ一目君に見せてば何をか思はむ
(山間に咲いている桜を、ひと目だけでもあなたにお見せできたら、何の心残りがありましょう)
鴬の来鳴く山吹うたがたも君が手触れず花散らめやも
(鴬が来て鳴いている山吹の花は、決してあなたが手に取るまで散ってしまうことはないでしょう)
僕自身今年は年明け早々39℃超えの熱出したり全治2週間の怪我したりで、ちょっと他人事とは思えない家持の心境と、そんな家持を元気づける親友の池主とのやり取りが、なんか良いな~って感じたので今日載せてみました。
あと、もし友人知人が病気なりなんなりでふさぎ込んでたとしたら、こんな感じで励ますのがいいのかな、なんて思ったりもしました。
まあ僕自身にはこんな和歌を詠うセンスは無いですし、なんならこんな返しをしてくれるセンスある友人もいませんがw
あ、あといつもの如く現代語訳は他サイト様からの丸写しですw
今回はこんなところで。
ではまた。




