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43 バイトの面接

 エトワールはサバイバルオーディションを勝ち抜き、メジャーデビューを勝ち取った。


 数ヶ月の準備期間を経て11月にデビュー。その1ヶ月後には年末の歌番組や音楽フェスをジャックする勢いで出演が続いた。


 猛プッシュされているが、それに見合う実力、容姿を兼ね備えた彼女達は失速せずに進み続けている。


 人通りの少ない雑居ビルの一階にあるコンセプトカフェ。元々はここでゆっくりと地下アイドルを育てるつもりだったのに、有名アイドルに会える聖地と化してしまった。


 ただ、エトワールのスケジュールはパンパンで店には中々顔を出せない。とはいえ、店を開けないと損失が大きいため、エトワール以外に店で働く人を雇うことにした。アイドル活動とは関係のない、ただのアルバイトだ。


 数名の女の子が面接で合格。今日の面接に来るのは元アイドルらしい。名前も顔もよく知っている人だ。


 その人は約束の時間5分前に来店し、雑居ビルの上階にある貸し会議室にやってきた。


「今日は面接にお越しくださりありがとうございます。店長の黒子です」


「よろしくお願いします」


 その人はペコリと頭を下げた。


 形だけ履歴書に目を通す。


「前職は……アイドルですか」


「はい。今は引退してただの一般人です」


「有名だったみたいですね」


「……それなりですよ」


 その人は照れ笑いをして答える。


「俺、売れる前から貴女のファンだったんですよ」


「一番痛いタイプですね、それ」


 その人はふふっと笑ってそう言う。


「お店、どのくらいの頻度で出られますか?」


「週7日、いつでも」


「助かります。お店での名前、どうします? 源氏名でも大丈夫ですよ」


「前は本名で活動していたんです。被るのは嫌だなぁ……」


「ならエトワールのメンバーに合わせて漢字にしますか? 絢。それなら良いだろ?」


「ま、そうだね。はーあ。名前に干支が入ってたらあたしもエトワールに入りたかったなぁ」


 絢は背もたれに身体を投げ出して嘆く。まぁ冗談なのだろう。


「グループ活動、嫌いなくせに。だからずっとソロでやってたんだろ?」


 絢は「せいか〜い」と言ってニッと笑ったのだった。

ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 完結…!
[気になる点] オーディション最後まで見たかったです [一言] 完結?お疲れ様でした 面白かったです
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