風俗嬢にだって人権はある
私が働いていたヘルスは優良店で、法律に則って運営しています。
キャッチはしませんし、中には案内してもらえずに帰される人もいます。
過去に複数のキャストからクレームがあったり、挙動不審の怪しい人は、まず入れません。
店の利益も大事ですが、この仕事はキャストさんあっての仕事なので、キャストさんの安全が第一なのです。
うちの店はマジックミラーでキャストさん達を紹介します。
マジックミラーとは、壁が一面鏡になっており、中から電気を灯すとミラーが透けて、ミラーの向こうにいるキャストさん達を見ることができます。
お客さんには、その中から好みの女性を選んでもらいます。
実はお客さんにキャストさん達を紹介する前に、キャストさん達にお客さんをチェックしてもらいます。
知人だったり、過去に接客をした時に嫌な思いをした客の場合など理由があれば出るのを断ることができます。
まさか自分が鼻の下をのばして、好みのキャストを選ぼうと待っている間に、そっとミラーから控え室へ戻っていくキャストがいるなんて、思いも寄らないでしょうね。
入店時に必ずルール説明をしているにも関わらず、ごく偶にルールを守れない客がいます。
そういう時に対応するため、仕事部屋には内線を置き、部屋には鍵がありません。
外からも監視できるよう、ドアにはのぞき穴まであります。
(勝手にのぞいたらキャストさんに怒られるので、めったに使うことはありませんので、ご安心を)
キャストさんから助けを求める連絡が入ると、すぐさま店長が部屋に駆けつけます。
被害の状況を確認して、悪質な場合は警察に引き渡すこともあります。
こういう仕事をしていると、性被害なんて慣れてるでしょうとか、覚悟して働いてるんじゃないのと思われる方が多いと思います。
私もそう思っていました。
ですが実際、被害にあったキャストさんは、静かに肩を震わせて泣いていました。
私と何も変わらなかった。
リスクを覚悟をしていても、怖いものは怖い。
むしろ平気だったらこの仕事を選んでいません。
ルールを無視する客を容認している店もあるため、間違った認識の客は跡を絶ちません。
どんな状況であっても相手の気持ちを無視し、身勝手な行為をして良いわけない。
こういう仕事をしているからといって、軽視されるのはおかしい。
それは、私にも言えることなのではないかと、ふと思いました。
それまで警察官に『あなたも悪い』と言われたことが心にずっとひっかかっていました。
ただでさえ自分の認識の甘さを責めて辛いのに、人から指摘されると、自分はどうしようもなく駄目な人間に思えて、更に自分を責めてしまい、とても苦しかった。
もし、あなたの身近で性被害に遭った人がいたら、絶対に責めないであげて下さい。