はじめに
元上司から性被害に遭い、仕事を辞めました。
私はポジティブで、人にどう思われようが、あまり気にしない性格でした。
レイプ被害に遭ってから心が不安定になり、メンタルは強くないんだと思い知らされました。
自分が自分じゃなくなってしまったように感じて、辛かった。
これは私が自分を取り戻そうと、もがいていた頃の話です。
当時の私は、シェアハウスで暮らしていました。
無断外泊した上、様子がおかしい私を心配したシェアメイトが仕事を抜けて帰ってきてくれました。
覚悟を決めて性被害にあったことを告白しました。
するとシェアメイトは私を抱きしめて、わんわん泣きだしました。
まるで自分のことのように。
「づらがったねぇぇぇ~」
「めちゃくちゃ怖かったぁぁぁ~」
私も一緒に泣きました。
シェアメイトが連絡くれるまで、本当はこのまま誰にも何も告げずに消えてしまおうと思っていました。
それぐらい、誰かに知られることが恥ずかしくて怖かった。
消えなくてよかった。
そして、もう誰も悲しませたくないって思った。
小さな手鏡を覗きこんだシェアメイトの顔は、目が赤く腫れあがり、黒い涙が頬を伝い、鼻は鼻水をかみ過ぎて赤くなって、酷い顔になっていました。
私も人のこと言えないような顔になっていたのでしょう。
お互いの顔を見合わせて、可笑しくて笑いました。
笑ったら元気がでました。
一緒に昼食をとった後、シェアメイトはまだ赤い目のまま仕事に戻って行きました。
シェアメイトですらこんな反応です。
親に言ったらどれだけ哀しまれるのか、想像しただけでも居たたまれなくなります。
私は今でも親には言えていません。
親と今までそういう話をしてこなかったので、気まずさと恥ずかしい気持ちがあるからです。
もしあなたが、お子さんが、あなたの大切な人が性被害に遭った時に、相談できる(してもらえる)関係を築いていますか?
このエッセイが性について考えるきっかけとなったらいいなと思います。