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ストーキングは愛の証!  作者: M・A・J・O
番外編

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38/49

姉妹の絆は尊くて

 これはTwitterのフォロワーさんであり、この作品のファンでもあるここあさんが書いてくれた物語となります!

 姉妹百合はいいですよね!


 ☆ ☆ ☆


「あ、やば……。傘忘れちゃった……」


 土曜日の午後。あたし、篠宮理沙は本屋の前で動けずにいた。

 いきなり雨が降ってきたから、本屋から出れずにいるのだ。

 普段なら濡れて帰るかもしれないけど、今日は買った本もあるからな……。


「天気予報、ちゃんと見るべきだった……」


 そう呟いて後悔をするが、過去や傘を忘れた事実は変わらない。

 さて……これからどうしよう。

 全然止む気配ないんだよな、雨。

 傘を届けてもらうにも、どうせすぐ帰るからって携帯家に置いてきちゃったし……。


「しゃーない、本だけでも濡れないように工夫しながら……」

「あ、理沙。こんなところで何してるのですか?」


 濡れるのを覚悟で本屋から飛び出そうとしたときに声をかけられる。

 その声は自分がよく知っていて、大好きな人の声だった。


「ねーちゃん? ねーちゃんこそ、どうしてこんなところにいるんだ?」


 そう、声をかけたのは姉の沙友理だ。

 とりあえず、あたしは本屋の外に出るのをやめて、思ったことを言葉にした。


「わたしは友達と遊んできた帰りなのですよ。理沙はどうなのですか?」

「あたしは雨宿りだよ。急に降るんだもん……」

「理沙、天気予報見てなかったのですか? 今日午後から大雨って出てたのですよ」

「うぅ……、割と家近くだし、家出たときは晴れてたから平気だと思ったんだよ……」


 そう、ほんとに行き道は晴天だったのだ。

 多分天気予報見ていても傘を持たなかったと思う。

 ……まあ、言い訳なんだけど。


「ってことは理沙も家に帰るのですよね」

「まあ、傘があればな」

「なら一緒に傘に入って帰るのです」

「は!? あ、いや、ありがとう……」


 そんな感じで、ねーちゃんと一緒の傘を使って帰ることになったのだが……ねーちゃんの傘は小さい。そんな小さな空間に2人が入り、移動を続けているのだから当然身体が密接してしまう。

 おそらくねーちゃんは気にしてないんだろうけど、こっちはドキドキしっぱなしなんだよ……。

 あたしは心の中でそっと愚痴を零す。

 しかし、そんな愚痴を知るはずもないねーちゃんは楽しそうに友達との出来事を語っている。


「それでですね、そのときに……」

「ね、ねーちゃん!」


 あたしはねーちゃんが他の人とのことを話しているのに嫉妬してしまい、つい大きな声をあげてしまった。

 もちろん、いきなり大声を出されてねーちゃんはびっくりした顔をしている。


 ……やらかしちゃった……。


「り、理沙……? どうしたのですか?」

「あ、えっと……」


 ……大声出しちゃった言い訳、何も思いつかない……。

 どうしよう……。


「あの……嫉妬した……」

「ふぇ? 声が小さくてよく聞き取れなかったのです。もう一回言ってほしいです」

「だから! ねーちゃんが他の人のこと話してて嫉妬したって言ってんの!!」


 言い訳が思いつかなったあたしは、気づいたら馬鹿正直に思っていることを口に出していた。

 自分が何を言ったかを理解して頬が赤くなる。

 ……変に、思われてないかな……?

 そんな不安が体内を駆け巡る。


「そうなのですか? なら別の話題にするのです」

「え……?」

「あれ? わたしなにか変なこと言っちゃったのですかね……?」

「いや、そうじゃなくて……あたしの方が、変じゃなかったか……? 嫉妬して……」

「? そんなことはないのですよ。わたしだって仲良い子が別の子と親しくしてたら嫉妬するのです」

「そういう嫉妬じゃなくてな……」


 ……なんて言葉を繋げよう……?

 うまくこの気持ちを隠しながら……いや、隠さなくてもいいや。

 ねーちゃんなら、きっと全部受け止めてくれる。


「友情とかの嫉妬じゃなくて、恋愛的な嫉妬をしたっつってんの!」

「あ、えっと……、わたしはその恋愛的な”好き"がわからないのです……」

「じゃあ! あたしが分からせるよ!」


 あたしはねーちゃんの目を見て、そう叫んだ。

 時間はかかるかも知れないけど、でも絶対に分らせてみせる。

 そしてその感情を、あたしに……。


☆ ★ ☆ ★ ☆ ★


「……うん、うまく書けたんじゃないかな」


 そう言ってノートを掲げあげる人物がいた。

 篠宮家のお父さんである。

 彼はノートにこっそり、実の娘たちを登場人物にして百合小説を書いていたのだ。

 と言ってもこれが初犯なのだが。


「初めての割には良い作品に仕上がってる♪」


 そう言って満足そうに笑うと、誰にもバレないようにこっそりと机の引き出しにノートを隠そうとして……


「何やってんだ、とーちゃん」

「……理沙……?」


 理沙にバレてしまった。

 流石に理沙に読まれてしまったらまずいと思い、お父さんはそーっとノートを自分の背後に隠す。

 しかし、それに気づかない理沙ではない。


「今何隠したんだ?」

「わ、ちょ……」

「何これ? 日記?」


 理沙は強引にお父さんからノートを奪い取り、興味本位で中身を覗いてみる。

 理沙としては、普通の日記や学生時代の痛々しい厨二病ノートやそこら辺だと思っていたのだが……中身は自分と姉の百合小説である。


「……なんてもん書いてんだ、とーちゃん……」


 そう言う理沙の手は震えており、顔も赤くなっている。


「……もしかして怒ってる……?」

「怒ってない訳ねーだろ! ぜってーぶっ殺す……!!」


 そう言うが早いか理沙はノートを投げ捨ててお父さんに向かって走っていく。

 それを見たお父さんももちろん走り出す。


「お、落ち着いて……」

「うるさい!」


 今日は一段と騒がしい1日だった。

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