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ストーキングは愛の証!  作者: M・A・J・O
第二章 仲良しのその先へ!

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第25話 特別を知った?

 ○月○日


 ま、まさかさっちゃん先輩があんなこと言ってくれるなんて……!

 これはもう我慢する必要なんかないよね!

 だって両想いなんだもん!

 えへへ、幸せだなぁ〜……もっともっと好きになってくれるように努力しなきゃ!

 そうと決まれば明日のお弁当張り切らないとね!


 ――稲津華緒、『さっちゃん先輩観察日記』より。


 ☆ ☆ ☆


 ――沙友理を取られないためならば何だってやる。

 それが二人の共通点……だったはずなのだが。


『華緒さん、こんにちは!』

『……こんにちは』


 理沙はとてもいい笑顔で、華緒に挨拶をしている。

 裏がなさそうなその笑顔に、華緒は少したじろいでしまった。


『華緒さん……その、昨日の続きを……』


 恍惚とした表情で、モジモジとオネダリする。

 付き合うようになったきっかけというのが、華緒から理沙への濃厚キッスで。

 それ以来気に入られたようで、華緒は少し戸惑っているが。


『……ま、いっか』


 こんな理沙と付き合うのも、悪くはなさそうだ。


「――はっ!」


 理沙はそこで目を覚ます。

 汗をたくさんかいていて、パジャマが皮膚に張り付いている。

 理沙にとっては相当な悪夢だったようだ。


「どうかしてる……なんでよりによって華緒さんと……」


 頭を抱えて、表情を険しくしている。

 夢の中だとはいえ、嫌っている人と結ばれるのは嫌悪感で心がいっぱいになる。

 いつもなら二度寝を楽しむのだが、あいにくそんな気分になれない。

 しかし、起き上がる気力もない。


「んー、どうしようか……」


 そう鬱陶しそうに呟くと、地鳴りのような音が理沙の耳に届く。

 初めは地震かと思ったが、どうやら違うようだ。

 その音はどんどん近づいてきて、気づいたらその音の主は理沙の部屋に入ってきていた。


「どったの、ねーちゃん」


 その音の主は、沙友理だった。

 沙友理はつかつかと真っ直ぐ理沙に歩み寄る。

 そんな沙友理の目がすごく真剣に揺らめいていたから、理沙は思わず息を呑む。


 こんな表情をした姉を、理沙は一度も見たことがなかった。

 謎の迫力があり、理沙は少し恐怖を抱く。


「ね、ねーちゃん……?」


 理沙はおそるおそる声をかける。

 すると、沙友理はおもむろに理沙の手を握る。


「え、は、な、なにすんだよ……っ!」


 理沙は照れ隠しをするように手を振り切るが、沙友理はその感触を確かめるように空を掴む。

 そして満足したように、


「うん。ありがとなのです」


 とてもいい笑顔で去っていった。

 残されたのは、ポカンと目も口も大きく開いている理沙だけだった。


 ――一方、沙友理はというと。

 世紀の大発見をしたような心持ちで走っている。

 はやく華緒に知らせたい。


 よく話す同級生や後輩、そして妹にも確認してようやくわかった。

 きっとこれが特別で、“好き”ってことなのだろう。


「いっちゃんも、きっとこんな気持ちだったのですね……」


 それはすごく幸せで、楽しいものだった。

 以前よりも自分を好きになれたような気もした。

 同時に、華緒への愛おしさが溢れ出してくる。


「いっちゃん……!!」


 沙友理は、公園のベンチに腰掛けている華緒を見かけて叫ぶ。

 華緒はすごく驚いたような顔をして沙友理を見る。

 沙友理がものすごい勢いで華緒に近づこうとするから、華緒は反射的に逃げ出そうとするも、沙友理はもう目の前にまで迫っていた。


「……な、なにか用ですか……」


 すごく気まずそうに目を逸らしながら話す華緒。


「すっごく大事な用なのです!」


 しかし、それとは対照的に真っ直ぐ華緒の顔を見ながら話す沙友理。

 そんな真っ直ぐな瞳に、華緒は逃げることを諦める。

 お互い言いたいことはたくさんあるだろうが、沙友理が今どうしても伝えたいことはこれだけだった。


「わたし、やっと“好き”がわかったのです!」


 その沙友理の言葉に、華緒は目を見開く。

 華緒は次に続くであろう沙友理の言葉を待つ。

 そして、ほどなくして期待通りの言葉を聞くことができた。


「色んな人に試してみて、ようやくわかったのです。いっちゃんが特別だってこと」


 沙友理はとても丁寧に言葉を紡いでいく。


「わたしはいっちゃんが好きなのです。いっちゃんが、わたしの一番の仲良しなのです」


 そう言うと、沙友理は突然華緒の手を取った。

 華緒は驚き、顔を真っ赤にさせる。


「な、ななな何を……っ!」

「こうやって触れて、こんなにもドキドキするのは……いっちゃんだけなのですよ?」

「……さ、さっちゃん先輩……」

「だからこれが、恋愛の意味での“好き”だと思うのです」


 沙友理は華緒の手を掴んだまま、自分の胸に手を持ってくる。

 そんな沙友理の心臓は、すごく脈打っていた。

 胸の膨らみがあまりないせいか、ダイレクトに華緒に伝わる。


「さ、さっちゃん先輩……あの、もうわかったので……その……手を離してもらえると……」


 華緒は赤い顔でいっぱいいっぱいになりながら身をよじる。

 ぶっちゃけると、華緒の理性は崩壊寸前だった。

 このままでは人目もはばからず襲ってしまいそうになる。


「あ、そうなのですね。ごめんなさいなのです」


 沙友理はあっさりと手を離す。

 華緒はそのことが嬉しいような、もどかしいような……複雑な気持ちになった。


「あ、そうだ。今日から手繋いで帰りたいのですが……いっちゃんはどうなのですか?」

「え……え!? い、いいんですか!?」

「もちろんなのですよ」


 沙友理と華緒はぎこちないながらも、仲睦まじく手を繋いで帰った。

 その日から、運命の歯車が少しずつ動いていくこととなる。

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