織(おり)と理由(りゆ)
よく眠れた、ふぁ
あれ?ふかふかの布団に、アロマの香り
よく寝違える首が軽いし、なぜか、下着姿
湖からの記憶がない、それに、安い宿屋では見ない品々
不覚、疲れていたからふらっと泊ってしまった
所持金足りるのか?ああ、なんで洋服2着、買ったんだろう
洋服1着の問題の料金じゃないような・・・
宿屋の亭主に話しかけてみると、支払い済みだそうです。
南深しか思い当たらないお礼かな、やるじゃない、見直したよ
安心したので、再び眠気が、「「2度寝します」 スー
ふぁ、よく寝たよ。眠りすぎる不思議なことに1日中眠いよね、頭が起きないのかな?
寝不足のような、寝ぼけてるような、頭がはっきり目覚めてない状態
しっかりしないと、今までの出来事を考えると
私たちの村は、歴代最強と謳われた亡者に襲われた。
魔物が襲う共通した理由と考えたら、この村にも武術や英雄が輩出したのだろうか?
調べておいたほうがいいな、あの惨劇は、もう嫌だ
村人に尋ね回るが、極端に嫌がり話してくれない、考えすぎたかな
風に乗って、ハーブの香ばしい香り グー お腹空いたな
調査に夢中で、今日は、何も食べていなかった
ハーブ詰め込んだチキンサンド食べていたら、南深を見かけた。
あっ、宿のお礼をまだ済んでない、お礼言わなきゃ
「すみません、持ち帰ります」
ドリンクを飲んで、ハーブチキンサンドを口にくわえて追いかける。
あ!この展開、一度やってみたかった憧れの、漫画では、曲がり角で・・・
痛い、ばったりぶつかった 頭の中で流れるBGM
「痛たた・・・」尻もちをつき、、ドキドキしながら見上げる
「大丈夫ですか?急いでいてごめんね」
このシチュエーション、再び流れる頭の中にBGM、胸の高鳴り、カッコイイ
動かない私の手を引いて立たせてくれて、埃を払ってと、ハンカチまで惚れるよ。
ぼっと立てる間に去っていく後姿が素敵!もちろん、ええ、見ましたとも鎖骨、肩が大きくてひきたってましたよ
顔を鎖骨うずめたい・・・ふぅ、落ち着いて目を開くと南深の唇が、こ、こんな近くに
「ちゃっと、何してるの」ドキドキさせながら聞く
「息してるか心配で人工呼吸しようかと」
人工呼吸、それはキスですよ。美形だけど、初めは好きな人と・・がいいの
「いやぁ!!!」渾身の一撃
頬をパチン、良い角度で入ったのか脳が揺れて崩れ落ちたのだった
「葉蓮には、冗談が通じないな、怖いよ」
こ、こんな近くまで唇来てましたよ。あなたが悪いんです
「宿代、私じゃないよ、二人を担いできた男の人が払ってくれたんだよ」
もしかして、廻だったの、興味ないなんて雰囲気を醸し出していて、私の事好きで、心配で見張っていたんだわ
素直じゃないんだから、もっと優しく接してよ。
「それはそうと、この村、魔物に襲われたけど追い払ったらしい」
「形跡が全く見れない、詳しく教えて」
私たちの村と同じように統率された魔物が大量に攻め込んできて、全滅覚悟したその時、一人の少女が槍を手に追い払った、すると槍の始祖の亡者が現れ、一騎打ちの末、倒した
「もっと詳しく聞きたい、少女に会えるかな?」
「残念なことに、自らの命を削る技だったらしく命を落した」
それで、村の人、誰も話たがらなかったんだ・・知らなかったとはいえ、悪いこと聞きまわってしまった。
「せめて、手を合わせたい」
「そうだな、一緒に行くよ」
話し声が聞こえてくる
「村の救世主と騒がせているけど、隠しているんだろ秘伝書、村の繁栄のために出せよ、どうせお前じゃ使いこなせないんだろう」
「悪いが、秘伝書なんて物は存在しない妹が編み出した未完成の技だった・・」
「役に立ててやるから教えろよ、素直に聞かないと痛い目にあうだけじゃなくて村にも居られなくなるぞ、村人同じ考えなんだよ」
なんて酷い、命を削って救った家族にこんなの許せないよ
普段は後ろに隠れてる南深が、感情あらわにして怒り出す
「いい加減にしろ。弓が黙ってない、うっかり飛んでいくかもな」
「よそ者が、行こう」
貴方は、ぶっかった運命の人、BGMが頭の中で流れ出すが、唇が近づく前に顔を左手で防いだ
あの出会い運命だったんだわ、三人で手お合わせて、食べ損ねた食事に行くことになった。
「さっきのは酷いな」
「でも、気持ちはわかるよ。魔物がまた来るかもしれないし、達人が襲撃に遭う事件もおきてる、みんな怖いんだ」
「襲撃?魔物にか?」
「命を落したわけではないから・・被害に遭った人は震えて何も喋らないみたいだ」
「気になる話よね、もうしばらく、ここに滞在しましょうか」
「そうだな、ほっておいてはいけない予感がする」
運命の人の名前は?
「私は、葉蓮こちらは、南深」
「僕は、織」
その日も、謎の襲撃事件は起きていた
「俺たちが悪かった、悪気はなかったんだよ、魔が差しただけだよ、許してくれ ギャァ」
ドンドンドン
「織、お前の妹の理由が・・・」
「どうしたの」
「悲鳴も聞こえたし行ってみよう」
「駄目だ、うすうす気づいていたんだ、確認したくない、行きたくない」
知って居て見ないふりしている、こんな勇気のない男、パシ、頬を叩いた
「悲鳴、聞こえたんでしょう、あなたがそれでは成仏できないよ。しっかりして、
悲しい、お父様が、亡者として、もし、復活したら、私が成仏させないで誰が?
織、あなたには、辛いかもしれない、受け入れない真実なのかもしれない
あなたの事が、心配なの乗り越えて欲しいの」
腹をくくり織は、立ち上がった
最愛の妹、理由の生気のない姿があった
見ているだけでも、辛い、葉蓮の涙が止まらない
「無理だろう?私が行こうか?」
南深は、優しい、この後の後悔を考えての行動何だろう、駄目なの
「ありがとう、葉蓮、南深、見届けてくれ、倒されたらその時は」
その横顔には、涙が滲み、背中から感じる悲しみと決意
理由の攻撃は、早く強いが変だ・・・単調で
同じ動作を繰り返す、織には、攻撃するどころか、躱すこともできず、同じところを何度も叩かれていた
それでも、同じ攻撃、徐々になれ、受けきれるようになったが、反撃は厳しいか
織が受けきれるようになると攻撃が変化する下段攻撃同じ攻撃を繰り返す
反応できず足から崩れる織、攻撃が止まり、立ち上がるのを待っている
立ち上がると下段攻撃を繰り返した、受けきれると変化して、同じ攻撃を繰り返す
「兄を心配して、武術を指導してるみたい?」
「たしかにそうとしか思えない力の差は・・・私も、涙が」
心配でこんな形になってまで、悲しい亡者となった妹の愛情表現だろうか・・流れ出す涙でかすむ
連続攻撃に変わり、織の槍の技術が格段に変わってきた
理由の動きが止まり、口をひらく
「お兄ちゃん、大好き、天国におくってくれない?」
困り果てる織「出来ないよ、理由」
「そうかごめんね、お兄ちゃん優しいもんね」
決意したようにの南深の神木の弓から聖なるオーラが溢れだす
「私を、恨んでくれていい、安らかに眠ってくれ」
{人の心があるうちにありがとう、兄をお願いします」
理由は、両腕を伸ばし、安らかな顔で射抜かれた、
体が光に包まれ、無数の蛍が天に舞い上がるように消えていった
泣き崩れる織に、二人も近くで肩に手を当てて泣き崩れた・・・
もし、葉蓮のお父様が同じ最後を望んだら、私には出来るだろうか?
涙が止まらない、3人の号泣する声が、闇に消えていった




