豪雨の夜に
もう少し眠りたい・・・目覚まし時計が鳴るとすぐ止めしまう
なかなか起きれないから、10分後にずらして準備してあったが、止めて寝ていた。
・・・まずい、遅刻する。
頭に十分に血が回らないうちに階段、降りたのがいけなかった。
踏み外して、転げ落ちて意識を無くした。
目覚めると、そこは見知らぬ土地、、山を巡回していた璃柚に、拾われ育てられた。
葉蓮は、師匠である璃柚の教えを忠実に守り鍛錬しているが、結果が出なかった。
周りの同門からは才能がない、辞めて俺の嫁になれと、揶揄われていた。
豪雨の夜、一人裏山で鍛錬を積む葉蓮
耳に残る同門のあざ笑う声さえも、激しく降り落ちる雨の音が全てを消し去っていく。
ザザザザ ゴゴゴゴゴ
突然の土砂崩れの音で、現実に引き戻され、道は、埋もれてしまっている。
これでは、帰れない、別の道は・・・
危険だが、傾斜の激しい裏道から帰るしかない。
使われなくなって、50年くらいだろうか、足を踏み入れる者がいないから、雑草が伸び、足場の判断がつかない。
大量の雨で滑ってしまいそうだ、悪い予感は的中してしまった。
慎重に進んでいたが、踏み外し転げ落ちていく。
前にも同じようなことが・・・
まだ何も成し遂げていないのに行方不明なり、忘れ去れてしまうのか?
転がりながらも手をかけられないか抗うが無駄だった。
豪雨も止み、静寂に包まれている。
死んでしまうのか、好きな人出会ってないのに・・・助けに来るの待てばよかった。
全身が痛い・・・徐々に痛みが消え、意識を失った。
目を覚ますと洞窟で寝ていた。
何処だろう、夢をみているのか?オレンジ色の明るい光が幻想的に映っる。
「目を覚ましたのか、小娘」
20代の若者、同い年くらいに見えるんでが、こ、小娘!
ムッと来たが、綺麗な顔、童顔なのかな?優しく温度を確かめる手は、温かく瑞々しい。
「冷えた体を温めるのは、興奮したぞ くくく」
どういう意味だ?下着姿にされていた 好みの顔立ちだったのにグスン。
見たんだわ、触ったんだわ、何かしたんだわ、恥ずかしと不安で涙が零れた。
「ちょっと、何をしたんですか?」
「風邪ひかないように、濡れた服を脱がして、添い寝して温めただけだ」
頭に光景が浮かぶ、耳の先まで真っ赤になった。
「そ、添い寝・・・責任取ってよね」
「そうだな、結婚してもいいが、この年だ。介護のほうが長いぞ」
年寄りにはみえないんだけどな、回りくどいお断りか?
告白してないのに振られたの・・・私!在りえなくない
「責任取れないなら、優しくしないでよ」涙が止まらない
「助けてあげたのに、小娘は扱いが難しいな」
「こ、小娘ではありません。葉蓮って名前があります」
「それは悪かった。葉蓮、責任とってあげたいが、代わりに何か、浮かばないな」
「頭に血が上ってしまって、命の恩人に間違いないのに、お礼も言わずに、恥ずかしい
「助けてくれて、ありがとうございました」感謝を伝え、乾いた服をきる。
泣き止んだ顔をみて、安心したようだった。。
温かい飲み物をご馳走になり落ち着いたら、習慣とは、恐ろしいもので、日々の鍛錬を無意識に行っていた。
「九連神木流か、引き継がれていたか・・」
驚いていたが、嬉しそうな悲しそうな複雑な表情を見せた。
「ご存知ですか?}
「その技、実践では使えないだろ?消え去ったものと」
「他の同門は、強いのですが、私だけ結果がでないんです」
「直系なのはわかる。気力の使い方が正しい、正しく受け継がれてるが、故に弱い」
「どういう意味なんですか」
「始祖が絶対絶命を迎えた時、神木が現れ、触れると神武を手にしていた。その技は、弱い気力でも扱えるが、神武があってこそ、無敵になれる。代わりになる神武か、膨大な気力が扱えないと会得するのは、難しいだろう」
「それでは、気力の弱い私には・・・」
「くくく 責任とれるな。2つ技を授けてやろう。1つは、始祖が最も得意とした突、2つめは、小さな気力でも守れる堅」
「あ、ありがとうございます」
「結婚してやってもいいぞ。どちらにしても、激しく責められるが くくく」
技の取得するにも、結婚するにしても、責められる?どういう意味だ?
その意味をすぐに理解することになった。
「ちょっと無理!無理!腕が上がりません」
「取得できなければ、責任取って結婚だったな くくく ほら、頑張れ」
この人、Sだわ、こんな姿勢で立ってろなんて、無理よ!
全身の筋肉が震え座り込む、立ち上がるのも無理。
少し回復すると同じ姿勢を繰り返しさせられ、全身の筋肉が張り、思い通り動けない
「酷いよ・・この悪魔」
「パンパンに張ってるな、揉んでやろう」
「ちょっと、結婚前よ、止めて」
逃げようにも、思い通り動かない羽交い絞めされ、正座になり首や肩を解され、観念して横になり、仰向けで眠っていた。
不覚にも寝ていた・・・そこ・・・痛いけど、気持ちいい、足の裏を揉んでいたが・・・目と目が合った
「疲れは取れたかな くくく 大事なのはこれからだ。足で空を切り、その姿勢のまま突き抜けろ それで良い躊躇したら失敗する」
不思議だ、体が軽い、思い通り、いや、力の流れが感じられる
「ほぉ、気力の流れがわかるようになったか」
「体が軽いんです。少しの力で浮くような感覚、踏み込んだ足から手先に力が流れていく」
「指先から、足の先まで気力を循環するように頭で想像して流れを感じる、少ない気力でも絶大な威力が伝わるようになる。小さい波動の流れ、相手は、さぞ読みにくいだろう」
集中力が最大に高まり、疲れを感じない、きつかった姿勢も難なくこなせ、脳に電気が走った。
「如何なる攻撃も対処できるように剣先に集中して、後方の肘に気力を溜めておく、角度を変更できるように常に備えるんだ」
気力の循環か、伸ばす腕も全然違う、重さが消えた。
「習得したようだな、結婚は破棄だ。心配する人もいるだろう帰りなさい。いないのならもらってやるが くくく」
「い、いますとも心配する人が山のように、ありがとうございました。あのお名前は?」
「廻」
足の指に少しでもかかれば、滑り落ちた傾斜の激しい場所も、難なく移動できるようになっていた。
「怪我の功名だったわ、見返してやるわ。待ってなさい」