プロローグ
人は彼を見てこう言った。
“黒い悪魔”
人は彼を見てこう言った。
“神を殺す者”
人は彼を見てこう言った。
“白き剣の天使”
人は彼の事をこう呼んだ
“漆黒の邪神”と。
VCSO France brunch office
男性は二人、フランス支部の外で恒例のチェスをやっていた。勝負は五分五分。拮抗した戦いの中、二人は黙々と相手の手を読み、先へ先へと考え手を進める。
そこに一人の女性がやって来た。男性達は何も言わず、ただチェスに興じる。
女性は急に手を伸ばし、一手を動かした。
「コレで終わりよ」
二人は手を見て固まった。確かにこの手ならどのように手を運んでも負けは確定。
「またボアーン様にやられてしまいましたね」
「なんなら今から手ほどきでもしてあげましょうか?」
「「是非!」」
ボアーンがチェスの駒を元に戻そうとしたその瞬間、ボアーンの手が止まった。二人の男性は口から泡を吹いて倒れてしまう。それは殺気。ホーリナーと呼ばれたボアーンですら体験した事のない強烈な殺気。
吹き出る冷や汗に気付けない程の緊張状態で、ボアーンはゆっくりと殺気の根元に目をやる。
「し、漆黒の、邪神」
そこには真っ黒なローブを羽織り、純白の剣を持っている者が一人。
漆黒の邪神、それは一節によればホーリナーを殺し回る悪魔。一節によれば悪しきを正す天使。一節によると気が狂った破壊者
彼は支部を破壊する者。様々な表現があるのは、襲われた支部が皆口を閉ざしているから。
しかし、真に語られているのは“第3次ホーリナーラグナロク”の幕開け。ホーリナーと悪魔の戦いが始まると危惧している者が大多数。
故に支部は大人しくなり、VSCO本部の絶対的な権力が失われつつあった。
「何が目的なの!?」
ボアーンは得物に触れようとしたが、それよりも速く、一瞬でボアーンの目の前まで行き首もとに剣を突き付ける。
「は、速すぎる」
そして、ボアーンを蹴り飛ばすとボアーンは支部を貫き、意識を失った。
やっと始まりました完結編!作者が書きたかったここに全て詰まってます。そして、過去最高の長さになるのは必至です。
せめて皆さんの暇つぶしになれれば有り難いかぎりです。
ただ本当に楽しんで頂けるように、良いものが作れるように頑張ります!どうか最後までお付き合い下さい。