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神社にきたけど大丈夫だよね?

しばらくの時が経ち私は兄の腕の中で目をさました。

「あれ、私いったい…。」

「目をさましたか、ほのか。大丈夫か?」

「あ、そうでした。お兄ちゃん、ごめんなさい…。せっかくお兄ちゃんに買ってもらった指輪だったのに…。」

私の目から涙が溢れてくる。

「あのくらいまた買ってやるから気にするな。それよりほのかが無事でよかった。」

兄がそう言って私を抱きしめた。

「それじゃ、ほのかも起きたことだし出発するか。」

「はいっ!あそこに見えるのが神殿みたいですね。」

遠くに森に囲まれた巨大な建物が見える。

そして道中弱い魔物を倒しながら雪山を降りた。

雪山を降りてしばらく歩くと小さな村に到着した。

村に入ると村人が声をかけてきた。

「おや、この村に人がくるなんて珍しいこともあるもんだ。ここは神を祀る村、バロンだ。」

「神を祀る村?」

兄が村人に尋ねる。

「この先の森の中に大きな神殿があってな。そこを管理しているのがこの村にある神社なのさ。」

「そうなんですか〜。私たち、実はその神殿に宝玉があるという話を聞いてここまで来たんですが。」

私は事情を説明する。

「宝玉とな?わしはよく知らんが、詳しく知りたければ神社に行ってみるといい。場所は…。」

村人が神社の場所を説明してくれた。

「じゃあ、とにかく行ってみましょう。」

そして案内された通りに歩くとまるで日本にあるような神社があった。

「なんじゃこりゃ。完全に日本式の神社じゃないか。」

兄が驚いている。

「そうですね。なんか懐かしいです!」

「あら、あなたたちは見たことがあるみたいね。私はこんな建築様式は初めて見たわ。あの、赤い門みたいなのは?」

ミンティアが尋ねる。

「あれは『鳥居』といって、神域と人間界を分ける結界みたいなものですね。」

私が説明すると今度はリアが話しかける。

「じゃあ、あの石でできた動物みないなのはなぁに?」

すると湊が説明する。

狛犬こまいぬだね。邪気を祓うとか、門番みたいな役割だってきいたことがあるよ。」

そんな話をしていると、中から人が出てきた。

「この神社に何かご用ですかな?旅のお方よ。」

格好は完全に神主だった。

「あの、私たちは魔王を倒すために宝玉を探して旅をしています。神殿に宝玉があると聞いてハイデンベルクからきました。」

神主に説明する。

「ハイデンベルク…。まさか噂に聞く勇者様ですか?」

「はい、俺が勇者のユウタです。」

兄が答える。

「やはりそうですか。私はこの神社の神主をしておりますタチバナ・リュウと申します。」

「え、その名前って…。まさかあなたは日本人ですか!?」

私は驚いて神主に尋ねる。

「ニホンというのはわかりませんが、この神社を建てたうちの先祖は異世界人という話です。」

「ということは昔この刀を作らせた異世界人っていうのは…。」

兄が刀をリュウにみせる。

「これはっ!?もっとよく見せてください!」

リュウが刀をマジマジと観察する。

「ちょっと私についてきてください。」

そう言って社の中に入っていく。

そこには大きな岩があり、兄の刀とうり二つな刀が刺さっていた。

「これはうちの神社に古くから伝わる御神刀ムラクモといいます。刀に選ばれたものしか抜けないと言い伝えられています。ムラクモの代用品としてもう一つの刀が作られたという話があるのですが、まさか勇者さまがお持ちだった、をですね。」

「この刀が御神刀の代用品だったなんて。だから聖なる力が宿ったのか。」

「今まで数万という人が刀を抜こうとしましたがまったくビクともしませんでした。勇者さまなら抜けるかもしれません。よかったら試してみてはいかがでしょう?」

「わかりました。やってみます!」

兄がそう言って岩に登り、刀に手をかけ力を込める。

すると…。

カキンっ!!

という音とともに刀が真っ二つに折れてしまった。

「なっ!!折れたっ!?」

「まさか!?今までどんな屈強な男が力を込めても微動打にしなかった刀が折れるなんて…。」

リュウも驚いている。

すると、兄が手に持っていた御神刀と、腰にかけていた刀が光だし、眩い光に包まれた。

光が晴れると、兄の刀が消えて、折れていた御神刀が完全な形になっていた。

「これは!?御神刀と勇者さまの刀がが1つになったみたいですね。」

リュウが話しかける。

「これはお兄ちゃんが御神刀に選ばれたってことでいいんでしょうか?」

「そうですね。勇者さまがムラクモ様に選ばれたのは間違いないでしょう。ところで神殿に行かれるのでしたね。神殿ですが、この神社に代々仕える血筋の者しか入り口をあけることができないんです。私は入り婿なので、娘を同行させましょう。あ、ちょうど戻ってきたみたいです。」

すると巫女姿の少女が入ってきた。年齢は私と同じくらいだろう。

「私の娘のマドカです。マドカ、この人たちは……。」

リュウがマドカに事情を説明する。

「はじめまして。タチバナ・マドカです。よろしくお願いします。」

「俺はユウタだ。よろしく。」

「妹のほのかです。」

「ボクは湊です。」

「私はミンティアよ。」

「リアはリアだよっ!よろしくねっ。」

各自自己紹介する。

「それで、宝玉でしたね。私も見たことはないんです。神殿の奥にある聖域と呼ばれる空間に祀られていて、数百年誰も踏み入れたことはないそうです。私も年に一度、聖域の前にある祠に舞の奉納をするときしか神殿にはいりませんから。」

「舞の奉納って?」

兄がマドカに尋ねる。

「言い伝えによると、その昔タチバナの一族とそれに対立する一族が争いを起こし宝玉を依代よりしろにしてタチバナ家に呪いをかけたんです。その呪いによってタチバナ家には女しか生まれず、早命なんです。でも子が途絶えることはなかったそうです。依代の邪気を祓うため毎年舞の奉納をしているんです。」

「そんなことがあったんですね。じゃあ、宝玉の邪気を完全に祓うことができればマドカさんたちの呪いがなくなるんですね。」

「そううまく行くといいんだけどな。聖域に行ってみないことにはわからないな。」

兄が答える。

「とりあえず、今日はもう遅いのでうちに泊まって明日出発しましょう。」

マドカが言う。

そして翌日、マドカを連れて森に向かうことにした。


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