コント:魔王転生
――ツッコミのナレーション「俺の名前は伊集院カイト、ひょんなことから交通事故に遭い、異世界に転生する羽目になっちまった。それにこの感じ……もしかしてここは魔王城……つまり俺は心だけ魔王に転生しちまったのか!?」
ボケ「ふぇっふぇっふぇっふぇ、いかがなさいました、魔王さま?」
ツッコミ「い、いやなんでもない(ヤバい、俺が別人になったことバレないようにしないと)」※以下()内はツッコミの心の声
ボケ「この魔軍師デス太郎、魔王さまが魔王アルツハイマーになられたかと心配になりましたぞ」
ツッコミ「魔王もアルツハイマーになるのかよ!? って言うかデス太郎って名前も大概だな!」
ボケ「何を今更。私と魔王さまの1000年来の付き合いではありませんか」
ツッコミ「そ、そうだな(危ないバレるところだった)」
ボケ「それでは魔王軍の報告を行いますぞ。いつものようにこちらを」
――ボケが後ろを向くとスクリーンが降りてくる
ボケ「例によって魔スクリーンで説明します」
ツッコミ「う、うむ(魔スクリーンって……)」
ボケ「まずはアニマルウォリアーズから。今月は10000ゴールド人間どもから奪ったようです」
ツッコミ「そ、そうか(10000ゴールドってどれぐらいの価値だろう?)」
ボケ「その際の様子がこちらです」
――スクリーンに映し出されるふれあい牧場
ツッコミ「どう見ても家畜じゃん!」
ボケ「何を仰います魔王様! この者どもの目を見てくだされ!」
ツッコミ「目?」
ボケ「この者達には人間など金のなる木にしか見えておりません」
ツッコミ「何かそう言われると、本当に触れ合いながらそう思われてるようで複雑なんだけど!? 明日からどういう気持ちで猫カフェに行けと!?」
ボケ「さて、私めには何のことだが。次は死霊連合からの報告です。なんとあのにっくき人間のダイダロス王を葬ったようですよ!」
ツッコミ「そうなのか……(ここは喜ぶべきなんだろうけど、出来れば人間とは和解して欲しいなあ)」
ボケ「その時の様子がこれです」
――スクリーンに映し出される葬式会場
ツッコミ「いちおう死んでるようだけど……」
ボケ「この中央の禿……もとい、ボウ・ズをみて下され、見事に葬っているでしょう」
ツッコミ「そういう意味かよ! むしろ助けてあげてるじゃん!」
ボケ「何を仰います魔王様! このボウ・ズの目を見てくだされ!」
ツッコミ「目?」
ボケ「この者達には人間など金のなる木にしか見えておりません」
ツッコミ「お前それマジで危険なセリフだぞ!」
ボケ「はて、私には何がなにやら。それでは次に淫魔軍団から。貴奴らはその恵まれた裸体で、悩ましい姿をさらし、人間どもから精気を集めているようです。まあ、魔王軍の報酬はないので、飛ばしてもいいのですが――」
ツッコミ「い、いや、念のため見ておこう(エロいの始まるのかな……)」
ボケ「では。だいたいこんな感じです」
――スクリーンに映し出されるボディビル会場
ツッコミ「おま、マジふざけんなよ!」
ボケ「見事な肉体だと思いませぬか?」
ツッコミ「そうだけど俺が求めてるのはそう言うのじゃ無いんだよ! あとこの「肩にちっちゃい魔王城乗っけてるのか!?」って字幕意味不明すぎるんだけど!?」
ボケ「興奮すると自然に人間どもから出る言葉のようです。それでは最後に魔竜族から報告があります」
ツッコミ「魔竜か……(さすがに竜なら変なのは出てこないだろう。って、人間として期待しちゃ駄目なんだけど)」
ボケ「ご承知の通り魔竜族は人間以外にも様々な種族と争いをしてきました。そしてついに宿敵の巨人族を、奴らの本拠地で討ち果たしたようです。その際にえられるゴールドは莫大でしょう」
ツッコミ「そうか(内輪もめでも収入が入るならいいのかな)」
ボケ「その決定的な瞬間がこれです」
――スクリーンに映し出される東京ドームで胴上げしている中日ドラゴンズ
ツッコミ「あーのーさー!」
ボケ「魔竜族の試算によると、経済効果は億は下らないと――」
ツッコミ「知ってるよ、その説得力の無い経済効果! 胴上げされてる監督の名前もなあ!」
ボケ「ほう、ではこのセンイ・チが周りで喜んでいる人間どもを、金のなる木としか見ていないことも勿論承知――」
ツッコミ「だからそのセリフはもうシャレじゃすまないから、もう口が裂けても言うな! お前の話聞いてると金のなる木どころか訴えられて俺が金の奪われる木だよ! もういいわ!」
2人「どうもありがとうございました」
――了――