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俺の部屋はニャンDK  作者: 白い黒猫
俺の俺の部屋はニャンDK
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何故か取り調べうけています


 周りに散々気を使わせ甘えて一月乗り切った十月。俺は編集部で何故か難しい顔をした田邉夫妻と清酒さんの三人に囲まれていた。

 まあ仕事する時にこのメンバーでいる事は珍しくないが、何となく今は一対三な感じで向き合ってしまっているような気がする。

 取材先のお店の名物で美味しいという噂の焼き菓子とコーヒーが前に並んでいるけれどあまり和やかな感じでもない。

「乕尾くん、最近かなり疲れているみたいだけど夜ちゃんと寝ている?」

 珈琲を俺に勧めながら清酒さんがそんな風に聞いてくる。

 今日、田邉さんの運転していた車で爆睡してしまったのが悪かったのだろうか?

「実は最近あまり寝れなくて」

「因みに一日平均どのくらい寝ているんだ?」

「二……三時間くらいかな……」

 正直に二時間と言おうとして清酒さんが眉を寄せたので、つい一時間盛って報告してしまう。怖ず怖ずと答えて三人の表情を伺う。

「何? 遊んでいて寝不足?」

 田邉さんの奥さんの有子さんは即座にそう聞いてくるので俺は顔を大きく横に振った。

「違いますよ! 大学の課題やレポートとか……あって。

 逆に遊ぶ暇もないですよ」

 三人は俺の言葉に顔を見合わせる。もしかして使えない奴として切られてしまうのだろうか? 俺は不安になる。

「提出してもらった、後期の時間割だけど、コレに君の一週間の行動実態を教えて貰えると嬉しいな」

 何故か様々なポーズのトラネコのイラストまで加わっている俺の時間割を出してそんな事を言ってくる田邉さん。

「インタラクションデザインとかヒューマンインターフェースとか文系の私にはどんな内容の講座なのか分からないモノばかり……」

 俺の時間割を繁々と見つめそんな呟きをした清酒さんは、田邉さんの視線を受け頭を下げて小さく謝り、俺に向かってニッコリと笑う。どうぞ説明して下さいと促す感じで。

 俺は三人の視線を気にしながら俺は自分の今の一週間の生活行動を説明していく。

「基本朝七時から半に起床。それ過ぎると猫が暴れだすのでーー」

 そうしながらも不安がどんどん大きくなる。

 編集部は常に物事が流動的に動きフレキシブルに対応が必要な場所だけに、コンビニやネットカフェのように指定された時間だけくれば事足りると言うことはない。

「ご飯食べて火曜日は一限がないので洗濯しています。

 そして此処と此処と此処の時間は、ご存知のようにコチラで働かせてさせて頂いています。

 夜は大学の課題と勉強」

「その勉強って具体的にどういう感じなんだ?」

 やはり俺は要領悪いと思われているのだろうか?

「実はさ、この職場って文系畑が多いのよ! 理系の大学生の生態を知りたいというか? そんな感じ!」

 俺の戸惑う表情に清酒さんはそう説明してくれる。

「普通ですよ。美大とか音大とかのような特殊な授業はないですし。

 例えばコチラのメディアコンテンツ演習などの実習講義では、その日の内容について毎回レポートを求められるのでそれの作成などあります。

 プログラミングは理論を講義中で学び、それを踏まえた形でのプログラミングを組み立ててくるのが課題となっています。

 現代メディア論や科学技術と歴史などの教養科目は講義の最後にテーマを出されそれを各々が調べてきて次の講義で教授との対話形式や学生同士の討論の言う形で進められています。

 その為予習は必須です。

 そんな感じで課題とか予習とか調べ物とかも多く、結構色々することはありますね……他の学部に比べて課題が多いのか少ないのかは良く分かりませんが」

 なるほどと相槌を打ちながら聞いている三人。清酒さんは俺の話を聞きながらマーカーで授業のマスを色分けしていっている。

 赤が課題を求められる講義、ピンクは予習必須の講義、青は講義を聞いていれば大丈夫でテストで評価のでる講義という感じになっているようだ。

 講義の形態、課題の多さ等の情報も記載されていく。

 理工学部の学生の生活を聞きたいと言われた割に授業内容はあまり深く聞かれず、どの講義が俺の生活にどれ程の負荷を与えているのか? という視点で聞き取りが進んでいる。

 俺は今何を聞かれているのだろうか? その意図が見えなくて俺は怖い。

 すごく喉が渇いてきたので、コーヒーを飲んできたが、俺を落ち着かせるという効果はなかったようだ。


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