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俺の部屋はニャンDK  作者: 白い黒猫
俺の俺の部屋はニャンDK
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通学路

一駅分歩きの通学路。気候の良い季節だと楽しかったが冬は寒くて少し辛い。

 ダウンジャケットの前をシッカリ閉じる。百均で買った帽子に、スアさんから貰った手編みのマフラー。

 俺は夏生まれのためか寒いのが苦手というのもある。

 朝のパトロールしている地域猫のシマも寒いのか足早に塀の上を歩いている。

 俺と目が会うと立ち止まりミアッと鳴いてくるから、オレも手を振り『おはよ! 寒いね』と声をかけておく。ニャッと何か言葉を返し去っていった。


 チリン♪ チリン♪


 歩るき出そうとすると、後ろから自転車のベルの音がする。普通自転車のベルは警告するためでのモノ。

 威圧的なもので陽気なものでは無いはずなのに、朝よく聞く自転車のベルの音は友好的で優しい。

 振り向くと自転車に乗った柑子さんが近付き俺の横でキキーッと止まる。

「おっはよ~今日は暖かいね~」

 柑子さんは、自転車を激しく漕いでいたのか頬を赤くした顔でそう挨拶している。

「おはよう、天気いいね。でも風は少し冷たい」

 白い息を吐きながら、そう挨拶交わす。いつものように二人でそのまま歩いて通勤することになるのがいつもの流れ。

「そう言えば【ねこやまもり】祭り乕尾くんも参加するんだって?」

 柑子さんの言葉に俺は頭を掻く。

 【ねこやまもり】祭りとは要は根来山森商店街のお祭り。YouTubeでの盛り上がりを受けて、今年はひらがな明記に変えた。

 猫感満載で行う事にしたようだ。谷中程ではないが猫に会える町としても人気が出てきているらしい。その為に猫絡みイベントを増やしたという。

「ジローさんのお手伝いで……」

 俺はそう言いながら頭を掻く。

「お手伝いって……。乕尾くんの写真展も開催されるのでしょ?」

 俺はイヤイヤと顔を横に振る。

「ギャラリーでYouTubeに流した動画を流すついでだから!

 この辺りにこんなお店があり、周りにはこんな感じで猫さんが暮らしていますという紹介。ソレに俺は写真使うだけだよ」 

 俺の写真展なんてことは決してない。ジローさんの経営するカルチャースクールの生徒さんによる猫小物の販売を行う【ねこやまもり展】。

 その中の【さくらねこ活動】告知コーナーの一部のような扱いである。柑子さんはニコニコ笑いながら横を歩いている。

「乕尾くんの写真の猫の絵葉書も売るのでしょ? 楽しみにしてるんだ!」

「そんな写真くらいなら、いくらでも差し上げますよ。ソレに柑子さんなら自分でも猫撮り放題だよね?」

 柑子さんは俺の言葉にウーンという顔をする。

「ダメだよ! 自分の作品安売りしたら!」

「作品って……」

 俺は苦笑する。

 作品というか俺の著作物であると言うことは意識した方が良い! ネットに写真をアップし始めた時にそうジローさんに厳しく言われた。

 写真をネットにアップするということはそれだけ人の目に晒されるという事。画像には俺のサインとしてマークを入れるようにした。ブログには二次使用は許可していない事を明記するように指示された。

 実際猫画像を勝手に商品化するという事も多いらしい。とは言え俺の写真がそんな被害にあうとも思えない。

「それに違うのよね……乕尾くんの写真。

 私大好き♪」 

 著作権についてボーと考えていたら、続けられた言葉に俺はドキリとする。

「いやいや!」

「ホントにホント♪ なんか乕尾くんの写真優しいのよね~。

 人も猫も風景もどの写真もあったかさがあって素敵なの!

 私の学校、乕尾くんのブログ読んでいる人めちゃくちゃ多いよ!」

 俺は顔が熱くなっているのを感じながら顔を横に振る。

 柑子さんの学校は獣医学系。動物好きしかいないから、一般社会とはかなり条件も違うだろう。しかも隣町の商店街のネタも多い。

「友達引き連れて行くね!」

「ありがとう……カワイイ猫アクセサリーとかも売られるみたいなので楽しそうだよ」

 あえて自分と関係ない方向に話題をズラす事にする。柑子さんはニコニコと嬉しそうに笑ったまま。ふと柑子さんリュックを見ると耳と目がついていて猫になっている。猫好きには楽しみなイベントなのだろう。

 そう思っていると一軒家の門柱にタマ子さんが香箱座りしているのが見えた。俺達を見てニャーと話しかけてくる。

「タマ子さんおはよー」

 俺がタマ子さんに挨拶すると、何かニャーと返してくる。柑子さんは何故か吹き出す。

「乕尾くんって、猫とナチュラルに会話しているよね」

 俺は自分が猫に話しかけるという真似をしている事に気が付き恥ずかしくなる。

「その動物とのコミュニケーション能力羨ましい! 私はなんか緊張されちゃうのよね」

 柑子さんは呆れているのではなく、感心したように続けてくる。別の意味で俺は慌てる。

「イヤイヤ、アイツらが何言っているのかサッパリ分からないよ!

 きっと字幕ついたら、チンプンカンな会話でギャグになっているよ」

 柑子さんは頭の中で想像したのかブブと笑う。

「でも、猫にモテモテなのは確かよね~。

 乕尾くんと歩くと猫のエンカウント率が明らかに高いのよ」

 元々この街が猫が多いだけだと思う。

「いや、そんな事はないよ。通学時間が丁度アイツらのパトロール時間と合致しているだけでは?」

 柑子さんは納得していないように顔をしかめる。

「それに、モテるなら猫ではなく女性にモテたいよ! 人間の」

 柑子さんは顔を傾げる。

「人間にもモテていない? アパートの人達や商店街のみんなからも愛されているから。

 人間を含めた動物全般にモテるから良い事よ!」

 そう言って柑子さんは明るく笑った。多分全力で褒められているはずなのに、何故か喜んで良いのか分からない言葉である。モテているのではなくて、普通に親しく近所付き合いしているだけ。

「そうだ! 今度動物園に一緒に行かない? 乕尾くんの才能をもってしたら。動物と触れ合いをより楽しめそう」

「ん、良いけど」

 妙な期待までされているようで大丈夫なのでろうか? と想う。しかし動物園は好きだし、楽しそうなので頷いた。



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