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俺の部屋はニャンDK  作者: 白い黒猫
俺の俺の部屋はニャンDK
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ニャンと言っているの?

 朝目を覚ますと見えるのは、二組の見下ろす眼。仰視すると猫ってライオンや虎の仲間だという事が良く分かる。如何にも獣といった目が、俺に強く訴えてくる。

『腹減った!』 と。

 俺は起き上がり、ノビをしてから台所へと向かった。サバとモノは俺に纏わりつくかのようについてくる。こういった二匹の行動はハッキリ言って困る。悪気がなくても蹴飛ばしたり踏みそうになったりするからだ。

「おい、危ないよ! ご飯欲しいなら邪魔するなよ!」

 甘えるように俺の足にスリスリと絡みついてくる二匹に声をかける。しかしブミャブミャと声を出すだけでやめることはない。

 二つの皿に餌を盛り手にもつとようやく離れ、キラキラした目で俺を見上げてくる。この不細工姉妹の顔が、カワイイ顔に見えてしまっている。俺の美的感覚はかなり狂ってしまったようだ。

 二匹は今俺に甘え懐いているように見えるが、ここが猫の油断のならない所。ご飯が欲しい時だけこういうカワイイ行動をしてくるのだ。

 まあ、野良の時と違って、撫でても嫌がらなくなった。時々は餌の要求以外で甘えに似た行動をする時もある。しかし猫だけに気儘で、俺の状況や都合を考えてくれないのが困った所。


 ブログ【俺の部屋はニャンDK】は猫の事、大学生活の事、一人暮らしの事を書き綴っていたが。圧倒的にサバとモノの猫ネタが多い。

 お陰で猫に関する悩みや、ネットの上でも猫仲間が出来て色々教えてもらえるようになった。またネット上にアップしたサバとモノの写真をカワイイと褒めてくれる人が意外に多かった。飼い主バカになってきたのか、そのように言われると嬉しい。またそういった言葉が俺の美的感覚を狂わせていった要因なのかもしれない。


 ブニャブニャ言いながら食べている二匹の写真を一枚撮ってから俺食事もして、大学に行く準備をする。

 大学に通ってバイトしながら猫を飼えるのか? と最初は心配だった。落ち着いて考えてみたら社会人や学生でペット飼っている人は世の中大勢いる。また仔猫ならともかく成人猫は四六時中世話しつづけなければならないような存在ではなかった。


 爪研ぎ問題も解決し、棚のものを落とす事はあっても致命的な問題を起こすことは無い。

 サバも一本足なくても普通に生活出来ており、部屋の中を自由に自然に動きまくっている。毛繕いの時や代わりに掻いてやっている時に後ろ脚があるかのような謎の動きをするくらい。

 猫は気儘なので、お留守番させていても能天気で家で楽しく過ごしてくれているようだ。


 養う相手が出来た事で責任感も芽生えた気はする。

 実際問題、二匹のご飯代を頑張って稼がないといけない。その為にバイトと節約を頑張っている。

 サバの見舞金はまだ残っているものの、それで猫の玩具なんて買う事はしなかった。貯金して猫緊急予算としておいてある。

 玩具は買わなくても、何故か部屋に増えていっている。スアさんやシングが遊びにきて置いていったものが溜まってきているようだ。


 大学行くために玄関の所で部屋を振り返る。モノは今の部屋での最高の陽だまりスポットで丸くなっている。寝に入っているようで俺の事なんて気にしてもいない。

 意外な事にサバは、いつも玄関まで見送るようにやって来る。ブミャーの鳴き挨拶してくれる。

 いや……見送りの挨拶してくれていると思うのは俺の勝手な願望かもしれない。

 『邪魔だから早く出ていけ!』とか言っている可能性もなくはない。ヤクザ顔で、声が酒焼けしている人のように嗄れているだけに、そのようにも聞こえてくる。


 昨日勢いでインストールしたアプリを思い出す。【ニャンと言っているの?】という名の猫の言葉を翻訳してくれるという夢のようなアプリ。

 試しにブミャッと短く鳴くサバに向けてみた。


『お久しぶり~♪

 髪型変えた? それも超似合ってる~!

 最高にイケてるよ♥』

 画面見るとそんな結果が出てきた。

 

 な、訳ないだろ! 俺は思わず画面にツッコむ。言葉の長さからしてあってない。完全にネタアプリだったようだ。

 まぁ猫が好意的な言葉を話しているとして、仲を深める意図があるのかもしれない。

 現実的な話、サバの言葉は『行ってらっしゃい』の意味の方が近いとは思う。


「サバ、モノ、行ってくるね。

 良い子にしているんだぞ」

 俺は二匹にそう声をかけノブに手をやる。


 ブミッ


 サバから返事のような言葉が帰ってきた。

 多分『分かった』と言ってくれたのだろうと勝手に判断して部屋を出た。

 

 

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