日常+猫
次の日は土曜日だったので、サバにずっとついてあげられる事は助かった。
サバはというとあまり変化はない。少しのご飯と水を飲んではウトウトしている状態。
そんなサバを気にしつつ、洗濯・掃除をしたり、課題をしたりとして過ごす。
スアさんがお昼を持ってきてくれた。スアさんの料理の美味しさに感動しながらお昼を頂いた。
午後にはシングが遊びにきて俺の部屋で漫画を読んでいる。
猫が部屋の中にいるだけで、今までと変わらぬ生活に思える。
シング曰く、端っこにある自分の部屋より俺の部屋の方が暖かくて居心地が良いらしい。
寒い季節になり、シングは俺の部屋にいる事が多くなった。そういう事する奴、他にもどこかにいるような気がするのは気のせいだろうか?
サバの側にいるという事は、モノも側にいるという事。
モノは庭には出るものの、公園にもいかずに部屋にいてサバの側に座っている。
モノがコミュニケーション力があるのか、この二日で意志疎通がかなり図れるようになった。
俺への鳴き方で水なのかご飯が欲しいのかが分かりやすい。落ち着きなくソワソワし窓の方を気にしだすと、トイレに行きたいという事。
俺は窓を開けモノを送り出してからある事に気が付く。サバがこの二日トイレをしてないということ。改めてサバのお尻をジックリ観察してみるが、漏らしているという様子もない。
コレって大丈夫なのだろうか? 心配になってくる。
ジローさんは国際交流イベントに参加するとかで今日はいない。悩んだ結果、俺は柑子さんにLINEで聞いてみることにした。
『怪我の為にそこまで食べ物を摂取できてない事もあるかもしれません。
猫ちゃんは環境が変わったりストレスを溜めていたりすると便秘になりがちです。また慣れない環境だと二・三日我慢しちゃう事があるようです。
ずっとトイレをしないようだったら病院に連れてきて。
あとエリザベスカラーは無闇やたら患部に触るのを防止する為のもの。
猫ちゃんが眠っていて、乕尾さんがそばに居て見張って居られる状態なら外して上げてください。
ストレスなく身体を休める事を第一に考えてあげてください』
三十分ほどしてそんな返事がきた。俺はお礼のお返事を出しておく。
手術、そしてゲージの中。ストレスが溜まるのは当たり前である。ゲージの扉を開けてそっと撫でるが、サバは怒るでもなくウトウトしているだけ。俺は少しでも眠りやすいようにエリザベスカラーを外しておく。
その日はシングと共にライオンキングの配信映画を見て、カレーを一緒に食べて別れる。
看護というにはまったりとした一日を過ごした。そして今日もサバの前に布団を敷く。サバの様子がよく分かるように。
エリザベスカラーは再装着しておいた。
モノはサバの横ではなく、何故か俺の布団の隅に乗っている。まあ足下だし寝返りにも邪魔にならない所なので怒る事はしなかった。少し暖かく湯たんぽ代わりにもなりそうで、そうやって一緒に眠る事にする。
ガチャガチャッ
そんな耳障りな音で次の日目を覚ました。起きて音のする方を見ると、ゲージの中でサバが頭を振り回している。
俺が名前を呼ぶと、コチラをジロッと見上げてくる。ハッキリ言うと目付きも悪く可愛くも何ともない表情。だかその凶悪な目付きを見て、俺の心に喜びが込み上げる。
いつもの小憎たらしいサバの表情だ。どうやらエリザベスカラーが嫌で外そうとしているようだ。
俺はついゲージを開け撫でてしまう。サバは俺にエリザベスカラーを押し付けてコレをなんとかせいという仕草を繰り返す。
一旦離れて台所に行き水とエサを用意してサバの前に置く。サバが皿をジッとみている間にエリザベスカラーを外してやる。
サバは顔をブルブルして『サッパリした』といった様子。患部を触ろうとはせずご飯の方をだけ見ている。ご飯に集中している間は、患部を気にしないというのは本当なようだ。ガツガツという感じで勢いよく食べていた。
昨日までが嘘の用に元気な様子に嬉しくなってくる。モノも近付いてゲージを覗く。元気になった家族の様子が嬉しいのかと思ったが違ったようだ。ゲージに前足を入れ、エサ皿を引き寄せてサバに怒られている。前足についた餌を、舐めつつ期待に満ちた目で俺を見上げてきた。
しばらく無言で見つめ合い、その圧に負ける。カリカリフードを水と共にモノにあげる事にする。気のせいだろか? モノは俺から餌をもらう事を当然という行動をしているような気がする。食べ終わり満足げに毛繕いをしてから、窓の前で鳴き、外に出て行った。




