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Fランクの彼女

「以上をもちまして、第87回入学式を終わります。」


その瞬間、在校生の皆様がはしゃぎやがった。

具体的には、自分が使える能力の中で、一番派手なものを選んで、ぶっ放しやがったのである。

これが、この学校なりの歓迎なのだ。

つまり、在校生はやや脳筋で、力こそ全て主義が強いのである。

そして新入生は、身を守る能力がほとんど無い。

ここまで派手に能力が飛び交う中で、身の安全は保障されない。

避難するべきだろう。

みんな考えることは同じようで、我こそはと扉へ向かう。

半壊した扉にだ。

結果どうなるか。

分かりきったことだが一応結果だけ言っとく。

扉が壊れて、外に出れなくなった。

一部の生徒が能力ぶっ放して穴を開けようとしているが瓦礫が増えるだけだ。

これは先輩達がはしゃぎ終わるまで待つしか無いな、と新入生のほとんどが悟ったようだ。

頭上からパラパラと石が落ちてきてちょっとヤバい気がする。


「石垣くん」


振り返ると巫が不安そうに立っていた。


「避難、できないですか?」


「らしいな。戻るか…」


「そうですね…ここにいてもどうにもならなそうですし…」


俺たちは席に戻ろうとした。


「石垣くん‼︎」


軽い衝撃とともに押し倒された。

まぶたをあけると、覆いかぶさる巫と、降ってくる天井が見えた。

周りから悲鳴が上がる。

上級生がシールドを張ろうとする。

だがこの距離だと間に合わない

せめて巫だけでも…

だがFランクの俺に使える異能は一つしかない。

そしてこの状況ではそれは全く役立たないのだ。

俺は目を閉じる

そして…


「大丈夫、ですよ」


柔らかい声がして。

目をあけると綺麗な少女がいた。

昨日の女の子が俺に覆いかぶさるようにしてシールドを張っていた。


最上級広域守護魔法。

光の守護(ルーメデファンドル)

肩から柔らかな月光のような髪が、サラリと流れ落ちた。

紅桔梗の瞳は優しく細められて、桜色の唇からは安堵の溜息が漏れる。


「巫…?」


名前を呼んだ瞬間、少女は顔を歪めて、立ち上がった。


「石垣くん、避難を。皆さんも、私がシールドを張っているうちにここから離れてください」


巫がフワリと手をかざすと瓦礫が退かされ生徒達は次から次へと出て行く。


何を言えばいいのか分からないまま俺は人波に流され体育館を後にした。


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