入学の終わり
「綺麗…」
巫が思わず、という感じで言った感想に俺も同意だ。
体育館の天井には青空から夕焼けを経ての星空が広がり、ふわふわと光が漂っている。
文句なしに綺麗だろう。
本来ならば。
瓦礫さえなければ!
周りの奴らも風景に見惚れながら見事な足さばきで瓦礫を回避している。
よく転ばないな。
そのまま新入生席に着席したが、周りは興奮しているのか騒がしい。
このままだと流石に怒られそうだが…
「えー、新入生のみっなさーん‼︎おはようございまぁす!生徒会長のリリア・コンティーでーす!」
生徒会長が挨拶しているが、総スルーである。
「みっみんなー…生徒会長…だよーー‼︎」
生徒会長さん涙目である。
「みんな静かにしてー?私のお話聞いてー‼︎」
多分もともと内気な人なんだろうな。
いっぱいいっぱいな顔をしている。
生徒も騒がしいままだし、先生が出てくるのも時間の問題だろう。
すると生徒会長さんは、にこっと可愛らしく笑い…
「静かにしろって言ってんでしょーが!
〈汝、我の意思に応じず、汝に報いを〉」
ズドンッと音がして、生徒達の足元に穴ができた。
いや、これ穴じゃ無い。
「虫…?」
巫が呟いた通り、虫が生徒を床に引きずり込もうとしている。
なにこれキモい
「はーい、これが生徒会長の役員能力、〈厳罰〉でーす。分かったら、みんな静かにねー!あ、ちなみに俺は生徒会副会長の白峰拓真だよー。以後よろしくー」
副会長なかなかのイケメンだ。
そのまま副会長は生徒会長をなだめてくれている。
生徒会長も落ち着いたようで、その後、つつがなく式は行われた。
「以上をもちまして、第87回入学式を閉会いたします。」