09:自宅への初帰宅
うーん、うーん、暑いです
パソコンの熱気が部屋を支配するよ、窓を開けたら虫がいっぱい張り付くよ
窓辺でウツボカズラを育てていたのですが臭いに誘われてかとんでもない量の虫が張り付いてました。
窓に! 窓に!とリアルで叫ぶところでしたね、前書きですか?何を書いていいか思いつきません。
「家族に会うというだけなのに緊張するな」
五月も中ごろになり、夏樹たちも新生活に慣れ来た頃だった。
彼は緑山家へと足を進めていた。
「今日、私家に戻ろうと思うんだけど夏くんもどう?」
学校帰りに春香から言われたこの一言が始まりだった。
夏樹もいつかは家族がいる実家と呼べる場所へと顔を出そうとは思っていたが、彼は自発的な行動が苦手だったため、春香がこう誘ってくれたのはちょうどよかったのかもしれない。
「別に緊張なんてする必要ないよ、母さんも妹も会いたがってたし」
どうやら夏樹の緊張は見透かされていたようで彼女は姉らしく笑いかけてくる。
夏樹はその気遣いを素直にありがたがったが、ふと…とあることに気が付く、妹の存在である。
この間は流してしまったが詳しく夏樹は聞いていなかった。
「そういえば妹のことは聞いてなかったっけ…」
「うん、妹の秋奈今、小学5年生、夏くんにすっごい会いたがってたよ」
「妹か…」
会いたがっているなんて、理想の兄と違ったらどうするんだよ…
春香の言葉に胃が痛む、春香は夏樹の緊張をほぐそうとしてくれているのだが逆効果となった。
夏樹はこの一か月弱で彼女がどういう性格をしているかも何となくだが理解してきた。
夏樹の前では頼りがいがあり、カッコいい人物を演じるが根本は天然なんだろうなぁ、という部分を夏樹は彼女からは見てとれた。
「妹か、別に家族が多いことには越したことないけど…」
いくら考えても、やはり不安は不安である、春香とは中学生という同じ立場で話すことができたからこそ夏樹は打ち解けるのが速かった可能性は否めない。
ましてや、秋奈は小学生だ…あの年代と言うには自分と対して変わらない年齢なのだが、正直何を考えてるのかよくわからないというのが夏樹の素直な内心だった。
友と翔でさえ小学生の時は突飛な行動をして夏樹の度肝を抜いていた。
「秋奈はいい子だよ、私よりもしっかりしてるし、よく母さんの手伝いもしてるし」
またしても俺を気遣っての発言かと思い、夏樹は申し訳なく彼女の顔を見ると、春香はデレっとした顔になり口からは妹の良いところが次々と飛び出してくる。
近所の人に挨拶もしっかりするし、オムライスは美味しいし…
「そ、そうか俺も会うのが楽しみだよ」
どうやら姉妹の仲は良好のようで安心したが、妹ちゃんも苦労してそうだなと夏樹は笑顔の姉の顔を見ながら苦笑いを浮かべる。
そうして、歩いていると夏樹の耳に女性たちの声が聞こえてくる。
「ねぇねぇ、あれって男じゃない」
「えっ本当だ男の子だ珍しい」
「でも、やっぱりもう彼女とかいるみたいだね」
「だよねー、今どき彼女がいない男が出歩くことなんてないしね」
「護衛の人もいるみたいだし声かけて案件になっても嫌だしね」
「そうだね、この間もナンパした女性が懲役くらってたし怖いよねぇ」
「そうだな、声をかけないほうがいいと私も思うぞ」
「そうだよね」
「うん、そうだとも」
「…って誰あなた」
春香は相変わらず妹の話題で盛り上がっているが、先ほどから周りは夏樹の話題で盛り上がっていることを彼女は気が付いていないらしい。
遠巻きにこちらをジロジロ見てくる女性たちの声は嫌でも夏樹の耳に入ってくる。
その女性のなかに紛れて黒服の女性もちらほらいるが、彼女たちは夏樹が出かけることを男性保護省に連絡したら送られてきた夏樹のための護衛集団である。一応、中学校に上がるにあたり遠出する場合は男性保護省に連絡するようにと言われたため指示通り夏樹は連絡した。
ここまで本格的な護衛の人が来たことに夏樹は驚いた、黒服は護衛をしているという周囲へのアピールもあるのだろう。
夏樹が気が付いているだけで黒服と私服の女性が合わせて5人ほど夏樹にくっついている。
どうしようもないことなので拒否はしないし、こっちのプライベートも尊重してくれているようで極力視界に入らないように配慮もしてくれている。
ここまでしてくれて、護衛は嫌だというのは我儘も過ぎるだろう、だから最大限俺も彼女たちの仕事に支障ができないようにゆっくりと歩いているのだが、なんかそんな心配しなくてもいい気がしてきた。
絶対見知らぬ女性の会話に割り込んでたの俺の護衛のだれかだろ。
夏樹はノリが良い護衛の女性を見つけようとするが、流石に彼女たちはプロのようであからさまな動きをしている人以外は誰が護衛なのか見分けることは出来なかった。
「でねでね、秋奈はね」
「そうだな妹はすっごい優しい子なんだな、でハル姉今日俺がお邪魔すること母さんと妹には伝えてるのか?」
「ううん、教えてないよ」
「ほうほう、なんか面倒な展開になる気がするのは俺だけかな」
「絶対母さんと秋奈は喜んでくれるって、サプライズって…ステキじゃん?」
春香は年に似合わない女らしいカッコつけた声を出しながらそういうが、夏樹としては、今の時間に向かってるんだから夕ご飯の準備とかあっただろうにと何度かあったことがある母の顔を思い出す。
夏樹は財布の中身を確認する、だが一応持ち合わせがあるからって外食ってのは母さんと妹に悪い気がするしなぁ。
俺が逆の立場なら料理とか食べてほしいと思うだろうしな、でもそれって男だからの考えなのか。
いやいや、でも確かに女性の性分を考えるとカッコつけて少し高いレストランに連れていきたがる可能性もあるな。
ぬぬぬ、いったい俺はどうしたら迷惑じゃない状態で家に行くことができるんだ。
いや、息子の帰りを迷惑だなんて母さんたちが思うはずがないのだが、俺の『常識』的な部分が…。
夏樹がいかにこの後のことを無駄に考えようと、彼らの歩みは止まらない、ここで考えたところで、意味が無いというのに勝手に胃を痛くしている夏樹であった。
と、こんな感じで主人公はまだ起こっていない事柄を想像してすぐにストレスを抱える面倒くさいタイプの人間でした。
私もそういう面倒なタイプの人間です。