古びた団子屋
2話目書いてみました
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おじいさんとおばぁさんに別れを告げ
暗黒軍を倒すべく歩き出した
ゆうぞらであったが……
「暗黒軍ってどこにいるの?」
勢いあまって家を出たはいいものの場所がわからない
とりあえず近くの村へと訪ねる事にした
俺の育ったおじいさんおばぁさんの家は
村から離れており近くの村でもかなり距離がある
歩き始めて30分
ぐぅ〜〜〜〜〜〜
静かな道に響くお腹の音
「やべ〜腹減った〜朝から何も食べてねーよ」
朝一で飛び出してきたため朝食を食べていない
そしておばぁさんが俺に持たせたのは
きびだんごではなく回復ポーション
「ポーションよりまず飯持たせろよ!
暗黒軍までたどり着けなきゃ意味ねぇーよ!!
おばぁさん村まで遠い事知ってるよなぁ…」
回復ポーションって怪我が癒えるんだよな
空腹に効くのか?
今の腹の状態だと全ての回復ポーションが
一瞬にしてなくなりそうなのでやめておいた
そんな状態の中一歩また一歩と進んでいく
その時俺の目の前に一筋の光が差した
「あれは!団子屋だぁ!!!!」
今にも潰れそうな古屋みたいな風貌だが確かに
暖簾に団子屋と書いてある
営業していないとしてもなにかはもらえる
そう願い残りの体力全てを捧げて団子屋に向かう
団子屋に着くと暖簾には大量のホコリがついているが
もう一度団子屋であることを確認する
「だ・ん・ご・や!」
あまりの嬉しさに目に涙を浮かべつつ
コンコンコン!ガラガラガラ!
ノックをし扉を左にずらす
「ごめんくださーい」
中はとても静かで俺以外客はいないようだ
「はーい」
すると奥から高い女性の声が聞こえる
店の人がいる事を確認でき一安心する
「いらっしゃいませ〜お客様何名様ですか?」
奥から出てきたのは若く黒髪短髪で着物の美少女
「この世界にまだ希望はあったのかぁ!!」
桃から生まれ今まで約1年であった人は
おばぁさんおじいさんそして訪ねてきた中年男性
こんな顔にシワのない人間を久しぶりに目にした
「おっおう、一人」
若い上に美少女とっくに空腹のことを忘れ
ひたすらの緊張
「こちらへどうぞ」
黒髪美少女に案内され席に向かう
店の中もホコリだらけでこの子が
やっているとは想像もできない
カウンター形式の椅子に案内され
細長い小汚い机を挟んで目の前には美少女がいる
「こちらがメニューになります」
やはり汚いメニューを渡され
そしてさっきから気になるこのファミレス感……
ここ村から離れた団子屋だよな
お客様何名様ですが?メニュー?まぁいいだろう
メニューを開くと
・三色団子 3万銭 ・しょうゆ餅 2万銭
・みたらし団子 3万銭 ・あんこ餅 2万銭
・ごま団子 3万銭 ・ただの餅 1万銭
おいおいおいおい!
完全なぼったくりじゃねぇかよ団子で万いくかぁ?
「ちょっとこれどういうこ……」
「どうかなさいました?」
黒髪美少女は1番のキメ顔をこちらへ向けている
「いや何もない……」
言えるわけねぇだろ!!!可愛すぎルゥ!!!!!!
只今の所持金5万銭
家には食料はなかったが銭はあった
今考えると村長だったからかぁ
でも村長にしては村から離れすぎじゃね?!
って今はそれどころじゃない
とりあえず一番安いので凌ぎ次の店を探そう
「じゃあただの餅一つ頼む!」
黒髪美少女は反応しない
「おいただの餅一つ頼むよ!」
黒髪美少女はひたすら何かを洗っている
おいおいこの距離だぞ聞こえないはず……
「ただの餅お願いしまーす………」
俺はあることに気づいてしまったかもしれない
「あんこ餅一つで!」
黒髪美少女の眉が少し動いた
「おい!あんこ餅一つだ!」
やはり眉が動く
「おい!団子は頼まねぇーからな」
「チッ!」
えっ?黒髪美少女は今完全に舌打ちをした
それに最初のただの餅の時とあんこ餅の時と俺声量
変わってなかった気がするが……
黒髪美少女は店の奥に入り
絶対100銭ぐらいの餅を持ってきて焼き始める
いや〜後ろ姿を可愛いなぁ〜
俺はこの可愛いさに2万銭を使ったんだ
そして黒髪もサラサラで?ん?
「おい、頭に葉っぱついてるぞ」
黒髪美少女は慌てて振り向いた
「あーこれ……さっき森で遊んでたから
ついちゃったのかな?気にしないで…」
「いやいやこの近く森ないぞ…
一番近くの森でもかなり距離があるし…」
「あー……違った違った
さっきすごい風だったのよねその時だわ
やだぁー私ったらドジっ子 てへっ」
少し舌を出し再びキメ顔をする
「俺歩いて来たけど常に無風だったぞ」
そう言い返すと美少女は困った顔で
「あーー思い出したわ
私生まれた時から生えてるのよ」
お前ピクミンかよ!!
「ヘぇ〜そうなんだぁ」
怪しすぎる………
再び餅を焼き始める美少女
俺は黒髪美少女に気づかれないように
静かに机に身を乗り出す
ギィギィギィ!!机がしなる やばい!!
だが美少女は振り向かず餅を焼いている
足を椅子に乗せ体は完全に机を乗り出し手を伸ばす
「トリャァァァ!!!!!」
黒髪美少女の頭に乗っている葉っぱめがけて飛ぶ
そして葉っぱに手をかける
椅子が倒れて態勢を崩し黒髪美少女側に転げ落ちた
その瞬間たくさんの煙が現れ視界を遮る
手には葉っぱを持っていることを確認し
煙を手で払うと
そこには黒髪美少女の姿はなく
茶色の毛に耳を生やし短い尻尾に白ひげのついた
「たぬきか??」
「バレちゃ仕方がねぇあと少しだったのに
黒髪美少女だからって鼻の下伸ばしよって
まぁもういいじゃあの!」
高い声から低い声に変わりそう言うと
ポカン!!という音と同時にさっきの数倍多くの
煙が現れ店もろとも無くなっていた
俺は急いで煙を追い払いながら煙の薄い
ところまで走るとたぬきらしき奴は少し遠くまで
もう逃げていた
「クソォーーーーーーー!!!!!!」
俺は雄叫びをあげ斧を持ち絶対に届かないであろう
たぬきに向かって目一杯横にフルスイング
すると斧は今までにない青色の輝きを見せ
たぬきに向かって斧の斬撃が繰り出された
たぬきはそれに気づき背中に手を当て
葉っぱを三枚取り出し頭につけ手を合わせると
巨大なハンマーを手に持ち斬撃にぶつける
たぬきは体反転させ斬撃を上に弾き飛ばした
「チッあのたぬき次あったらゆるさねぇ!!」
斧を背中にしまいあることに気づく
ぐぅ〜〜〜〜〜〜
「あぁそうだった……もうダメかも……」
バタン!!!
たぬきは出したハンマーを置き
斬撃と衝突した所を確認する
「あいつどんな修行をして来たんじゃ
このミョルニルハンマーに傷をつけるとは……」
たぬきは真剣な眼差しで少年を見つめた後
煙と共に消えていった