俺と君と皆へ
この作品は勢いで書きました。ストーリー性ほぼゼロですがそれでも良ければ…。
懐かしい駅から一歩外に出ればそこは、やはり、というか当然だが、懐かしい景色が広がっていた。
地理的には都心に少し近い場所に位置するここは、夕暮れ時になるとそれなりに人が行き交う。目の前には巨大、とは言い難いが、それなりに高い建築物が並んでいて、それは昔と全く変わっていなかった。
俺にとってこの街は、大切な思い出と同時に息苦しい場所だった。その理由としては色々あるのだが、例えば駅前にはヤンキーが多いとか、家から最寄りのコンビニに行くと会いたくない友達がバイトしてたりとか、実家の前が坂になってるだとか。あげればそれなりに沢山あるが、実はどれもこれも些細な問題だったりする。
ならば何が原因だ、と問われるとすると……俺はきっと、君の名前を出すと思う。
俺が向かったのは、家と当時通っていた高校の間にある公園だった。そんなに広くないし、特別綺麗な公園というわけでもないのだが、その場所はよく俺が君と待ち合わせた場所だった。
公園は今もそれなりの広さで、やっぱり汚かった。あ、それなりって沢山使ってるけど、別に手抜きじゃないよ。本当にそれなりなんだ。おっと、話がそれたね。俺は昔君を待つ時に使ったベンチに腰を降ろした。
座って少しして、やっぱり思った。この街は息苦しいよ。今の俺に住める場所じゃない。こんなに静かだと、きっと君のことばかり思い出してしまうから。俺には忙しいくらいが丁度良さそうだ。
ここまで書いておいて何だけど、俺は君とのことを話すつもりはないよ。
期待してた人はごめんね。でも、やっぱり大切な思い出を簡単には話せないから。気が向いたら話そうと思う。でもなんか、セカチューみたいな語り草になっちゃったね。設定が同じだからかな。いや、白血病とかじゃなくて、大雑把な、ね。主人公は過去を振り返って、昔恋人がいて、その人は死んでた、っていう。
もし君との話を聞きたかったら、言ってほしいな。内容はセカチューとは被らないし。あ、内容っていうか、設定ね。もし聞きたくなければ、心の中で、パクり小僧が、って罵っていてほしい。俺も人だから、はっきり言われると傷つくし。お願いだよ。
話は変わるけど、この物語は一つのメッセージを伝えるために作ったんだ。まぁメッセージって言うよりも、皆にもこんなのあるんじゃないかと思ってね。
俺にとってこの街は、酷く息苦しいよ。君の面影がありすぎて。
だから、皆にあの頃を思い出してほしい。そのために、この問いを投げ掛けるよ。
「もし時間を戻せたら、何をしたい?」
答えは人それぞれ。きっと皆違うんだ。だけど、一つだけ、皆同じことがあるんだ。それはね。
「過去を上書きして、自分が望んだ未来を作りたい。」
ちょっとズルイかな?でも真理なのさ。
見て欲しいのは、今言った言葉の後半部分。これは今からでも遅くないよね?
その情熱が皆を強くするんだ。だから、頑張ってほしい。何に、とは言わないけど、何かに。
ここまで読んでくれた人はありがとう。君は少し強くなったはずだよ。
君は弱くなんかない。だから生きてるんだ。それを忘れちゃダメだよ。
最後に僕の好きな言葉を残しておくよ。皆も頑張ってね。
『辛くて泣いてしまった過去は、この先笑うためにあるんだよ。』
俺はベンチから立ち上がり、再び駅へと向かった。
辺りはすでに真っ暗だった。
読んでくださった方ありがとうございます。どうか貴方に良き未来がありますように。