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旧作1-2  作者: 智枝 理子
Ⅳ.夜を終わらせる炎
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 キルナの街。

 まだ、門番の人がいる。

 マントのフードを深くかぶる。

「ようこそ、キルナ村へ」

「あら、ご親切にどうも」

 ポリーと一緒に、そのまま中へ入る。

 あれ?身分証のチェックはしないんだ。

 良かった。

「どうしたの?ここでも何かやらかしたわけ?」

「えっ。そんなことないよ」

「…本当に?」

「うん。だって、ここに来たのって、会って二日目だよ」

「二日目?」

「出発した日にグラシアルの王都で会って、次の日にアユノトに来て、それからキルナに来たんだ」

「リリー。まさか、何も知らない相手と旅してたの?」

「えっと…」

「良く、騙されなかったわね」

「え?」

「悪い奴だったらどうしてたのよ!ただでさえ、リリーは騙されやすいんだから」

「大丈夫だよ」

「…どうして」

「だって。イリスが一緒だったから」

「あぁ…、そうね。イリスがリリーに危ない橋を渡らせるようなこと、しないわね」

「それに、エルにはエイダがついていたから」

『え?私ですか?』

「うん。エイダは、初めて会った時からずっと、私に優しかったよ。だって、私がエルを見つけたのも、エイダの光を見たからだし、エルが私に興味を持ったのも、私がエイダの声を聞けたからでしょう?」

『…えぇ、そうだったわね』

「なんだ。ちゃんと出会いを助けた精霊が居たのね。差し詰め、虹の御使いってところかしら?」

『私は炎の精霊よ』

「例えの話しよ。虹の精霊なんて聞いたことがないもの」

 虹の精霊か。

 月の精霊がいるぐらいだから、どこかに居るのかもしれないな。

 だって。精霊とは自然で、その自然が存在するなら、その精霊も存在するはずだから。



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