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旧作1-2  作者: 智枝 理子
Ⅲ.砂漠編
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「リリー!お願い、助けて!」

「えぇ?」

「マリアンヌ様!」

 お店に入って来たマリーが私の後ろに隠れる。

 それを追いかけて、メイドさんが三人?

「いけません!私どももお供いたします!」

「嫌よ、侍女なんて必要ないわ。自分のことぐらい自分でできるもの」

「御自分の御身分を御理解下さい!」

「うるさいわね、私の命令が聞けないって言うの?」

「身の安全が第一でございます!」

「ルイス、なんとかして頂戴」

「しょうがないな。説得するから、奥でコーヒーでも飲んでてよ。キャロル、よろしくね」

「わかったわ。マリー、リリー、こっちに来て」

「お嬢様!」

 キャロルについて奥の部屋に入ると、一人が追いかけて来ようとする。

「不法侵入する気?ここがどこだかわかってるよね。僕らの許可なく家に入るなんて、エルが許さないよ」

「くっ」

「穏便に、話し合いで解決しよう」

 ルイスが扉を閉める。

「…大丈夫なのかな」

「こっそり出て来たのに、途中で見つかっちゃったのよ」

 マリーってすごいお嬢様だから…。

 台所に行くと、キャロルはルイスが用意していたマントを出す。

「マリー、そのマント脱いでくれる?代わりに、これを着てね」

「なぁに?これ」

「砂漠用のマント。リリーも着て」

「え?…うん」

 マントを装着する間に、キャロルは椅子を持ってくると、台所の窓を開いて、外を見る。

「マリー、リリー、ここから出て」

「…わかった」

 そっか。ルイスは時間稼ぎしてくれるんだ。

 リュヌリアンを先に窓の外に投げ、窓から外に出る。

 それから、続けて出て来たマリーを抱き上げる。

「ありがとう、リリー」

「しーっ。静かにね」

「サンドリヨンは?」

「ここよ」

 悲鳴を上げそうになったマリーの口を手で塞ぐ。

「もう、本当に神出鬼没なんだから」

「丁度良かったわ。マント、渡しておくね」

「ありがとう」

 エイダがマントを羽織る。

 地面に落ちていたリュヌリアンを拾って持つ。

 …これ、背負ってたら目立っちゃうよね。全身を覆うようにマントを着て、その中に隠し持つ。

「みんな、気を付けてね。いってらっしゃい」

「うん。ありがとう、キャロル。ルイスによろしくね」

「うん」

「いってきます」

 なんだかばたばたしちゃったな。

「少し、遠回りして行きましょう。東からだと見つかる可能性があるから、南大門から出るわよ」



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