第一話 始まり、そして、傷口から弾を吐く男
この小説には残酷な描写が含まれています。
また、この作品内の人物、団体、地名などは全てフィクションです。
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西暦2222年
遠い未来の地球
世は力が全てを統べる時代。
強き者は勝ち上がり、弱き者は散ってゆく。
闘いの時代。
そこに一人の青年がいた。
名はジン・テロ・バウナー。
今日も彼は闘いの渦の中に入っていく。
能力者同士のバトルは単純明快。敵を殺せばいい。
しかし、データベースによって管理されており、レベル差がありすぎる敵と交戦すると能力がレベルダウンする。
ジンは今レベル15。
現在の地球で例えるとシャチ10匹くらいの強さだ。
相手が現れた。
ジンは端末を展開する
敵のレベルは16。格上の相手だ。
「俺はカイン。狩らせてもらうぜ、ボウズ」
「僕は赤髪のジン。おじさんには負けないよ」
―バトル・スタート―
ジンの攻撃、手を刀に変える能力を使用。
「トランスフォーム、ソード」
ジンの能力は人体改造系能力。
ジンは敵を切り裂く
「ぐあああ!、だが負けん!」
カインの能力が発動される
ドドドドド!
カインの傷口から銃弾が飛び出た。
「俺の能力は『ブラッドスピアー』。傷口から出るのは血じゃなくて弾丸さ。」
「チッ。痛えな。」
ジンは傷口から溢れる血を拭きつつ、腕を構え、奮う。
「トランスフォーム、レベルアップ。能力追加、爆撃チェーンソー」
ジンの両腕がチェーンソーに変化した。このチェーンソーは敵を切り刻むと爆発する特殊能力付きだ。
「行くぞ」
ジンは地を蹴ると勢いよくカインに切り付ける。
爆発音。
の間際に
ドドドドド!
「ぐあああああああ!…まだまだあああ!」
ドドドドド!
「つっ、…畜生、流石に弾丸のダメージはキツイか」
ジンは大量に血を流している。
カインも血を材料にした弾丸を打ちっぱなしなので失血量は激しい。
両者満身創痍だ。
「あ、僕いいことに気がついた☆」
「なんだと…?」
「トランスフォーム・シールドメイデン」
ジンの体が鉄の棺桶に変化した。
「おじさんは血の変わりに弾丸を出しつづけて死ねばいい。僕はここで弾丸を防いで待ってる。能力を解除したって無駄だよ。『傷口』は塞がらない。よっておじさんが死ぬのは確定事項だ。逃げようったって無駄。バトルフロントラインシステムが監視してる。エリア外に出ると抹殺されるからねぇ。アハハ♪僕の勝ちだ!」
「くっ、畜生。チクショー!!…負け…たのか?俺は死ぬのか?妻に美味い飯を食わせてやるまえに…畜生。このまま死を待つくらいなら、自害してやる。能力解放。スピアー巨大化、…ブラスト!」
巨大な弾丸がジンを目掛けて傷口から飛び出す。
ドン!
鈍い衝撃音。
静寂。
カインは血を全て失い、果てた。
ジンは…
棺桶にヒビが入っている。なんとか無事だ。
「能力解除。ふふふ、これでレベルが上がった。」
ジン 能力者レベル16
「死ぬかと思ったけど相手の能力の弱点を見つけられてよかった♪やったね。アルカー。」
小さくて可愛い人間の人形に話し掛ける。
この人形は妹代わりのアルカー。ジンが幼少の頃から大切にしているものだ。
「さて、家へ帰って回復槽に浸かろう。流石に血を流し過ぎた。明日はどんなやつと殺し合えるかな?ふふふ、楽しみ。」
ジンは家へ帰って回復槽に浸かった。
回復槽はバトルフロントライン能力者に必須の施設で、その中の水は高価だが傷を急速に回復させることができる。
公用の回復施設もあるが、一回100ドルと割高なため、家に備え付けられる簡易回復槽は人気だ。
「ふぅ、もう治ったかなー?さて、レバー食べよっと。…ん〜、おいし。」」
レバーで鉄分補給である。
第一話 完
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