反ホラー
この世に不可思議なことなど存在しない!そんなアナタに。
第一話
残業で深夜家路を急いでいると誰かが肩を叩く。さっきまでおれ一人の筈だったのに。
振り返ると、顔面蒼白の女性が立っていた。顔が近い。視界いっぱいに蒼白の顔が広がっていた。
「うううううう…」なにか呻いているぞ。おいおい。
「すいません。おれ急いでいるんで」その女性におれは言い放つとさっさと歩き出した。
たぶん誰かと勘違いしたんだろう。酔っているのか?顔色悪かったが。
ま、いいか。
第二話
アパートの自分の部屋で寝ていた時のそれは起こった。
午前二時。仰向けに眠っていると急に息苦しさを感じた。
目を開けると天井から白い着物を着た髪の長い女性がぶら下がっていた。そして下ろした両手で首を締めていた。それで息苦しかったのだ。
こ、こいつは一体。
ストーカーだな。天井から入り込んでくるとは。
屋根裏の散歩者でも読んだのか。ミステリーマニアがここに住んでいるのか。
おれは女性の手を振り払った。
「さっさと部屋に戻るんだな、今度やったら警察に連絡するぞ」
明日は大事なプレゼンがあるんだよ。眠らせてくれよ。
おれは再び眠り込んだ。今度は朝まで眠れた。
全く迷惑な住人がいたものだ。大家に厳重に注意してもらおう。
第三話
よく考えてみれば、最近変な人間に付きまとわれている気がする。
先日も会社の同僚と旅行に行ったのだが、ある滝のそばで撮った写真に変なものが写っていたな。
滝を背景に三人並んで写した写真にそれはいた。右端のおれの肩に男性の顔が。
確か背後は滝壺で人が立てる場所などなかったなずだが。
何て器用に隙間に立っているんだろう。忍者か。だが他人の観光写真に入ってくるなよ。
第四話
別のある日夜道を歩いていると、再び顔色の悪い女性と出くわした。
今度は地上から三メートルほどの高さに白いワンピースの女性が風船のように浮かんでいた。
おれを見下ろしている。とても悲しげな目をしていた。
確かにそうだろう。これでは下から下着が見えまくりじゃないか。誰がこんな事をさせているんだろう。
一体何のパフォーマンスなんだ。おれ以外誰も見ていないというのに。
また誰かを驚かせようと待ち伏せしていたのに、間違えてしまったんだな。
サプライズ何かなんだろう。全く大掛かりな仕掛けだな。
まさか、もしかして、これはびっくりカメラなのか。どこかでカメラで撮っているのか。
だが残念だったな。全く驚かないぞ。
おれはそのままスルーした。いつか放送されるのかな。楽しみだ。
第五話。
眠っていると誰かが胸を叩く。
またお前か。
「てんじょう。て、ん、じょ、う…」
「ああ。また天井から忍び込んできたんだな。どこの部屋の住人だ?いい加減にしてくれよ」
「て、てんじょう…」
「はいはい。天井ね。それがどうした?」
「し」
「し?」
「た」
「た?」
「い」
「い?」
したい?何をだ。何がしたいんだ?
おれは一息をついた後、口を開いた。
「あのさ。おれはあんたの事を何も知らない。だからまずちゃんと自己紹介すべきだと思うわけだ。そして先日の非礼な行為を詫びる。それからだと思うわけだ。どうだ。違うか?」
しばらくにらみ合った。すると女性はまたトリックを使って天井へ登っていくとすり抜けて消えた。
イリュージョニストなのか、彼女は。
全く変な人間に目を付けられたものだ。
大家の方に苦情を言いに行けば、ただ「いやならお金を返すから契約解除してくれ」と言うだけだし。
困ったものだ。やはり警察に相談に行ったほうがいいのだろうか?
否定論者ってこんな感じだよね。
本当に否定するなら小野不由美のゴーストハントのように科学的検証を現場でしっかり行ってから否定すべきと思う。某プラズマ学者は科学的じゃないからな。科学的アプローチで検証しないのが日本らしいんだろうな。




