第25話 ノースフォード辺境領雪まつり
キャンプファイアーから数日後。
マーガレットは自室からぼんやりと窓の外を眺めていた。
(まだ雪がだいぶ残っているわね。この雪を有効活用できないかしら)
本格的な冬は過ぎたが、まだ雪は積もっている。
(キャンプファイアーは騎士団員たちと城の皆だけだったから、今度は領民たちも参加できるものが良いわよね。…そうだ、あれをやろう!)
マーガレットは一気に企画書を書き上げると、アーサーの部屋に向かった。
「アーサー様、失礼致します」
マーガレットがアーサーの部屋を訪ねると、彼は書類仕事をしていた。
「マーガレット、どうした?」
「せっかくたくさんの雪が積もっているので、有効活用できないかと思いまして。雪まつりを開催してはいかがでしょうか?企画書を書いてきたので、お目通しください」
アーサーは企画書を受け取るとじっくりと読み始めた。
しばらくして最後のページまで読み終わると、顔を上げて頷いた。
「なるほど。主な内容としては、積もった雪で雪像を作って来場者の投票で順位を競うコンテスト、トーナメント式の雪合戦対決、暖かい飲食物や土産物の出店だな」
「はい。雪像コンテストや雪合戦は集落ごとにチーム分けをすることで団結力が高まります。さらに、それぞれ成人の部と子供の部に分けることで、親子連れでも参加しやすくします。また、出店を設けることで経済活動の活性化を促します」
マーガレットが参考にしたのは、前世で大学の卒業旅行で行った「さっぽろ雪まつり」だ。
「分かった。雪まつりの開催を許可しよう」
「ありがとうございます!」
マーガレットは礼を述べると、後日、改めてアーサーに打ち合わせの時間をとってもらい、彼の部屋をあとにした。
その打ち合わせでは、アーサーの提案により、せっかくならと雪まつりは3日間の日程で行われること、出店には場所に応じた手数料を設け、辺境領の収入にすることになった。
それから約1ヶ月、マーガレットは雪まつりの準備に忙しい日々を過ごした。
ノースフォード辺境領雪まつり初日。
「うわぁ」
アーサーと共に会場に到着したマーガレットは、思わず歓声を上げた。
雪像コンテストのブースでは、定番の雪だるまから趣向を凝らした城を型どったものまで、様々な作品が並んでいる。
また、出店のブースには、暖かい飲食物を求める来場者が列をなしていた。
中には、マーガレットが考案したポテトチップスを揚げたてで提供している店や、湯たんぽや仕切り付きのバックを販売している土産物店もあった。
普段は違う、祭り特有の雰囲気にマーガレットがきょろきょろしていると、アーサーがすっと手を差し出してきた。
「人が多いから、はぐれないように」
「はい、ありがとうございます」
マーガレットはおずおずとアーサーと手を繋ぎ、会場を見て回ったのだった。




