表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生令嬢の本領発揮  作者: 田中響


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/20

第17話 アーサー、倒れる

ペゾスとの面会から1週間後の昼過ぎ、ようやくアーサーが戻ってきた。

「マーガレット様、旦那様がお戻りになられました」

セバスチャンの報告を受けて、マーガレットは玄関に出迎えにいった。

「お帰りなさいませ」

久しぶりに見るアーサーは、やつれて顔色が悪かった。

騎士団と共に、寝る間も惜しんで救助活動をしていたのだろう。

「ああ。悪いが、入浴と食事をしたら少し休ませてもらう」

「はい、もちろんです。お疲れ様でした」

マーガレットは厨房に消化に良い食事の用意と、メイドにアーサーの部屋にリラックス効果のある香を焚くように指示を出した。


翌朝、マーガレットがいつものように朝食を食べに食堂に行くと、アーサーの姿がなかった。

マーガレットがノースフォード辺境領に来てから、朝食はアーサーと食べるのが習慣になっている。

普段は既にアーサーが席に座っていて、新聞や書類を読んで待っているのだが、今日は遅れているようだ。

しばらく待ったが、アーサーが来る様子はない。

(お疲れだから、まだ寝ていらっしゃるのかも。せっかくの食事が冷めてしまうから、先にいただこう)

そう考えたマーガレットは、先に朝食を済ませることにした。


朝食のあと、マーガレットはアーサーの部屋を訪ねた。

ノックしたが、返事がない。

「失礼します」

恐る恐る部屋に入ると、アーサーはまだベッドに横たわっていた。

マーガレットが近づくと、アーサーは顔が赤く、呼吸が速かった。

「…アーサー様、大丈夫ですか!?」

マーガレットが驚いて額に手に当てると、驚くほど熱かった。

「誰か、医師を呼んでください!早く!」

マーガレットが叫ぶと、メイドが慌ててやってきて、部屋の中を見るなり医師を呼ぶためにすぐに出ていった。


「過労による発熱でしょう。しっかり睡眠と栄養を摂れば良くなりますよ。しばらくは安静にしてください」

「そうですか。ありがとうございます」

やって来た医師の診断に、マーガレットは胸を撫で下ろした。

アーサーが倒れるのも無理はない。王都からノースフォード辺境領に戻ってきてすぐに災害現場での救助活動に参加し、休む暇もなく活動していたのだ。

いくら騎士団で普段から鍛えているアーサーであっても、体力の限界を越えたのだろう。

マーガレットはアーサーに視線を向ける。

薬が効いているのだろう。今は呼吸が落ち着き、ぐっすりと眠っている。

その晩、マーガレットはアーサーの部屋に泊まり込み、冷えたタオルを交換したり、汗をぬぐったり看病したのだった。


「…レット、マーガレット」

翌朝、マーガレットは自分を呼ぶ声で目を覚ました。

どうやら、アーサーを看病したまま寝てしまったらしい。

マーガレットが声をした方を向くと、アーサーがベッドの上で上半身を起こしてこちらを見ていた。

まだ目の下にくまが残っているが、顔色はだいぶ良くなっていた。

「アーサー様、お気づきになられましたか」

「ああ、私はいったい…」

「アーサー様は過労でお倒れになられたのです。医師からは、しばらく安静にするように言われております」

「そうか、迷惑をかけたな」

「いえ、とんでもございません!」

そのタイミングで、アーサーのお腹が盛大になった。

アーサーが顔を赤くしてうつむく。

「とりあえず、消化に良い食事を持ってきますね!」

マーガレットは逃げるように部屋を出た。

その後、数日ベッドの上で過ごしたアーサーは、持ち前の体力もあってみるみる回復し、5日後には騎士団の訓練に復帰したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ