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先生…魔法って何ですか?


 勉学のお陰で色々な事がわかった。


 まずこの国はドヴェルグ王国で『地下都市ニダヴェーリル』という場所らしい。


 つまり地下にあるということだ。


 外が明るくて夜になると暗くなるからてっきり地上だとばかり思っていたが、何の因果か現世でも私は地下生まれ地下育ちというわけだ。 天井までの高さは約692mあるらしい。


 総人口が約712万人で、面積が約783 km²、ニューヨークくらいの広さだ。


 そして今、私が居るここはドヴェルグ王家の城であり、私はその王の息子だということ。


 ゼイールは正妻の息子の第一王子で、私はめかけの子の第二王子。


 第二王子と言っても、王位継承順位は最下位らしい。


 ガイランド王の弟3人が健在である事から、一位がゼイール、その次がガイランド王の弟達で、最後に私という位置付けだ。


 私の住んでいる小屋の場所は、城から少しばかり離れている。


 小屋と言っても私の部屋は10畳ほどの広さがある、大きな作業台とベッド、クローゼットやちゃぶ台らしき物と、洗面所やトイレもある。


 気になるのは、このタイプライターみたいなキーボードだ。


 何に使うんだか未だにわからない。 ま、そのうち授業で習うだろう。


 一人暮らしと言うわけでもない、たまに専属のメイドが入って来て、ため息を吐きながら食事を出したりしている。


 私の隣の部屋がメイドの部屋で、炊事と洗濯をやってくれている。


 まぁ、ありがたいのだが…。


 明らかに扱いがおかしい気がする。


 これらは私が混血である事が起因しているのだろう。


 たしかに私は、ドワーフとは名乗れない見た目をしているし、仕方がないだろう。


 それに私なら、見た目の違う混血に継承順位をつけるという事はしないだろうしな。 それで国民が『認めるか認めないか』で分断したり、反発を生むなら尚の事だ。


 それはともかく、この世界での楽しみは鍛冶師の授業と歴史だ。 実に興味深い。


 この世界の動力は蒸気機関が主流で、不思議な液体を使ってそれを動かすらしい。


 時々城の外から蒸気機関のような音が聞こえるのはそのせいか。


 しかもこの世界は、前世とは異なる鉱石が沢山あるのだ。 これは素晴らしい、それだけ出来る事が増えると言えるからだ。


 それらの鉱石は、なにやら『魔粒子』と呼ばれる光にも似た性質の物を放出するという。


 こういう授業は聞いてて楽しい。 子供の好奇心とは恐ろしく、すぐに覚えてしまう。


 しかし残念なのは、鍛冶の授業だけは個別で行っていてゼイールとは別々になる事だ。


 もしかすると、ゼイールと私は違う事を習っているのかも知れない。


 というのも、ゼイールは自分が作った剣や盾などを王国の兵士に渡しては性能のテストを受けてもらっていたからだ。


 私は武器の製造などはまだやったことが無いし、やる気配もない。


 まぁ剣や盾など作るより、細かい物を作る方が好きだから良いのだが。


 私は腕輪などの装飾品の他、時計やオルゴールなどを作っては、ゼイールにプレゼントしている。 


 とても喜ばれた、やはり物創りは楽しい。




 歴史の授業で、ネルデ先生がまたもや不思議な事を言い出した。


「え〜。

 我々ドワーフが発明した液化魔粒子『ルクスリム』は、魔導蒸気機関を動かす核となり、これまでの生活を一変させました。

 この液体は蒸気になることで3200倍もの体積になるのです。

 今でも魔導列車や工場の機械などに使われております。

 さらには、魔法陣が彫刻さられた魔石を通して魔法への変換も可能、様々な魔具や兵器が作られました。

 え〜…本来ならばルクスリムの製造工場の見学などを行いたかったのですが…議会からの許可が下りず…」


 ちょっと待て。 なんだって? 魔法? 何を言ってるんだこの人は、頭がおかしくなったのか?


「あの、先生…魔法って何ですか?」


「おやおや!? 魔法をご存知無い!? これは失念しておりましたな…」


 ネルデ先生が言うには、この世界には魔法というものが存在し、私生活や様々な活動に役立てているのだとか。


 本当か? この世界に来てから今まで魔法なんて見たことも聞いた事も無いのだが。


「もっとも、我々ドワーフが魔法を使う時というのは、特殊な鍛冶仕事をする時と、戦闘をする時くらいでしか使わんので、坊っちゃんは見たことが無かったのでしょうな。 失礼をお許しください…」


「い、いえ、大丈夫です。 頭を上げてください」


 そうか、本当に物語に出てくるような世界なんだなここは。


 つまり…私も魔法が使えるのか…?


「あの…。魔法の授業などは無いのですか?」


「魔法の授業…そうですなぁ…。 ワシは魔法が得意ではないので…。

 そもそもドワーフはルーン文字によって魔法を扱うので少し内容が変わるかと…。 どうしましょうな…。

 坊っちゃんがハイヒューマンとの混血だという事をもっと配慮すべきでしたなぁ…。 ん〜…」


 ネルデ先生は腕を組んで頭を傾げ、難しそうな顔をしている。


 まずいな、我儘わがままだったか…?


「トレイスは魔法を勉強したいのか? じゃあ俺がなんとかしてやろう。

 授業は無理でも、王立図書館に魔導書があるはずだ。今度借りて来てやる」


 こういう時のゼイールは頼りになる。


「ありがとう兄様!」


 しっかりお礼を言うと、ネルデ先生がニッコリとして授業が再開された。


 数日後、ゼイールが魔導書を数冊持ってきてくれた。


 そこに記されていた事には驚いた、魔法とは『魔粒子を変換して異なる事象を引き起こす現象』の事らしい。


 魔法を発生させるには、呪文、または魔法陣が必要とされる。


 呪文の場合は、その魔法を熟知し理解を深めれば使えて、魔法陣は魔石に彫刻されていれば魔粒子を流すだけで使えるのだそうだ。


 互いのメリットとデメリットは


 呪文は道具の必要が無く、魔粒子の消費量が少なく済む代わりに、かなりの理解と熟練度が必要になる。


 魔法陣は魔石に彫刻してあれば、魔粒子を流すだけで誰でも扱える代わりに、魔粒子の消費量が増し、魔具と呼ばれる道具が必要になる。


 更に、魔具にルクスリムを使用すれば、消費するのはルクスリムだけで済むのだという。


 どちらにも利点があるな。 己のエネルギーを使ったり、外部からエネルギーを供給したり出来るのか。


 これは使えるかもな、色々と試したくなってきた。


 魔石に『彫刻』するってのは『どこまで』を指す言葉なのか実験したい。


 今日からネルデ先生の授業の後で呪文と魔法陣の勉強も始めよう。



読んで頂き感謝です( *・ω・)

そんなあなたの今日の運勢は吉です( *・ω・)


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