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なんだコイツは


 ガイランドが部屋を出るまで静かだった嫌味な女が、私の顔を見て嫌悪感を持った表情をしている。


 先ほどの男の涙を見て察するに、私の母親はすでに息を引き取ったのだろう。


 前世でも、母親は居なかったので悲しくはないが、正直顔くらいは見てみたかったなと…。 不思議なものだな。


「■■■■、■■■■■、■■■■■(あの女が死んだのなら、少しはこの子にも感謝しないとね。 行くわよゼイールちゃん)」


「■■!(うん!)」


 嫌味な女は私の目の前で舌を出して嫌な顔をして見せた。その子供も母親の真似をしている。


 この親子は好きになれそうにないな。


 その女は子供を連れて部屋を出ていった。


 乳母らしき人が私に乳を飲ませたり、色んな人が入れ替わって世話をしにやってく来る。


 私は寝たり飲んだり漏らしたりするだけ。 どうやら、しばらくは楽な生活が続くらしい。




 夜になり、私は寝かしつけられた。


 部屋には私だけ、扉が『ギィィ…』っと開く音が聞こえて目が覚めた。


 私は頑張って眼球を動かし、扉に目をやると、そこには先ほどの子供が居た。


 こんな夜更けに忍び込んで何のつもりだ? まさか暗殺するわけじゃなかろうな…。


「■…(よっと…)」


 何やら椅子を動かしている。 その子供は椅子へよじ登り、柵の中へと入って来た。


「■〜!(わぁ〜!)」


 目を輝かせて人さし指で私の頬をつついて楽しげにしている。


 なんだコイツは…どういう状況なのかわからない…。


「■■■■。■■■■■。■■■■■■〜。■■(僕はゼイール。ゼイール・ドヴェルグ。トレイスのお兄ちゃんだよ〜。ふふふっ)」


 お? 添い寝したぞ。 私の手に指を…。


 そんなにニコニコして…。


 なんだこの可愛い生き物は。


 先ほどの憎たらしいクソガキはどこへ行ったんだ。


「■■■■、■■…■■…■〜…(早く大きくなって、一緒に…遊ぼ……ん〜…)」


 私の隣でウトウトしだした…。ここで寝ないでくれよ? またあの嫌味な女が来ると困る。


「■■■■〜。■■■■■■〜。■■■■■、■■■■。■■■■〜(ゼイールちゃ〜ん。 もう寝る時間よ〜。 まったくあの子ったら、どこ行ったのかしら。 ゼイールちゃ〜ん)」


「■!■■…■■。■■■■。■■っ(あ! マズい…ママだ。 じゃあまたねトレイス。 おやすみっ)」


 急いで柵をよじ登り、そそくさと部屋を出て母親の元へと戻った。


 なるほど…? 母親の手前、おおっぴらに可愛がれないという事か?


 どうやら私は誤解をしていたようだな。あの子供の事は好きになれそうだ。



 はぁ〜…。


 天井を見つめていると…父さんとの戦闘訓練を思い出すな…。


 あの『アブソリュートマン』とかいう奴のギア…私のステュクスよりも性能が優れていたな。


 ステュクスはエネルギーが持続しないのが欠点か…防御面や攻撃力のとぼしさが課題だな…。


 少なくとも、射突型起爆斧アックス・バンカーよりも強力なパワーが必要だった…。


 くそっ、死んでも死にきれないとはこの事か…。


 もう一度やり直せたなら…今度こそは。


 いや…よそう。


 この国の文明レベルもわからないんだ、期待するだけ無駄というものだ…。


 産まれたばかりの赤子を、こんな不衛生な所に置き去りにするくらいだからな…。


 おそらく発展途上国なのだろう…。




 そして、数年の時が過ぎた。


読んで頂き感謝です( *・ω・)

そんなあなたの今日の運勢は吉です( *・ω・)


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