組織の医療機関じゃないのか?
私は急に息が出来るようになって泣き叫んだ。
ちょっと待てくれ、何かがおかしい。
先ほど父さんを抱えて泣いていた、そして急に目の前が暗くなって思考が停止したのを覚えている。
周りが騒がしいな、何を言っている…。
身体が思うように動かない、何故か…とても眠い…。
気が付くと、私は木製の柵で囲まれた布団で目が覚めた。
不思議な事に、起き上がる事が出来ない。
誰かが運んでくれたのか…? 医療機関の天井にしてはおかしい、基地内で木製の天井など見たことが無い。
「■!■■■■!■■■■■■(まあっ!不細工な子だこと! ゼイールちゃんも御覧なさい)」
「■、■■…。■、■■、■■■(うん、えっとぉ…。ほ、本当だ、不細工だなあ)」
なんだ? 嫌味な女の声と男児の声が聞こえる。
視界がボヤけてよく見えない。
コイツらは何を言っているんだ? どこの国の支部だここは。
「■■■。■■■■■?■■■■■■■(まあいいわ。あの女は死んだんですって? 子供を産んだくらいで情けない)」
「■■!■■■■…(奥様! お声が大きゅうございます…)」
意味がわからない…。
組織の医療機関じゃないのか? だとしたらこんな所には居られないぞ。
少し目が慣れてきたな、視界がスッキリしてきた。
「■!■■■!(陛下!お待ちを!)」
なんだ? 男の声が増えたな… 何が何やら。
「■■!■■■!■!■■■■■■!■■■■■■!(おうおう! 生まれたか! さあ!王子の顔を見せてくれ! おうおう可愛いのお!)」
大きな髭面の顔が覗き込む。
うわっ! なんだこの男は、私を見て愛おしそう微笑んで…コイツらはどうかしている。
髭を三つ編みにしているあたり、ファッションセンスが愉快である事はわかった。
その髭面の男は私を抱きかかえ、満面の笑みを浮かべた。
待て待て、デカいなっ。
いや…私が小さいのか? どうなってる…。
よく見るとこの男、3頭身ほどの見てくれじゃないか…。
さっきの嫌味な女と子供も同じだ…。
どいつもこいつもゴツゴツとした体格…執事みたいな奴も居る。
「■、■■■■?■■■■■…(して、ミラはどうした? 姿が見えんが…)」
髭面の男が辺りを見渡す。
「■…■■■■■、■■■■■…■■…(実は…無事出産を終えて、安心したかのように…その…)」
「■■…。■■…■■■■…(なんと…。 そうか…逝ってしまったか…)」
髭面の男がストンと膝から崩れ落ち呆けている、涙を浮かべながら私を見た。
その男は涙を拭って精一杯の笑顔を見せた。
「■!■■■■■、■■■。■■■■。■■■■■■■■。■■■■、■■■■■■■■■…(ん! ワシの名はガイランド・ドヴェルグ、お前の父だ。 そしてお前の名はトレイス。 トレイス・ドヴェルグだ。 お前の母、ミラの分まで強く育っておくれ…)」
その男は私をしばらく抱いた後、私を元の場所へと寝かしてどこかへ行ってしまった。
どうやら私は赤子になったようだ…。
自分の身体を見るとわかる…。手足が…赤子のそれだ。
そしておそらく…あの髭面の男が…私の父親なのだろう…。
なんということだ、私は…転生してしまったらしい…。
読んで頂き感謝です( *・ω・)
そんなあなたの今日の運勢は大吉です( *・ω・)




