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旅立ち②


 山を降りて辺りを見渡す。


 辺り一面荒野が広がり、遠くの方に森が見え隠れしている。


 始めて見る光景、不思議な気分だ。地下都市とは違う空の広さと風が心地良い。


 ホッと一息ついて振り返り、鉱山を眺めて、左腕に付いた腕時計の画面にあるアイコンをタップする。


「よし。 プロンテス、始めてくれ」


《ガッテン承知!》


 腕時計から聴こえるキュクロプスの声、その数分後に、鉱山の頂上から煙が広がり、空を目掛けて3機のロケットが飛び出した。


 轟々とした打ち上げ音に大量の煙、グングンと加速しながら伸びていく3つのオレンジ色の閃光。


 高く高く進んで見えなくなっていく。


「どうやら成功したようだな。 プロンテス、続けてバアルゼブブを起動してくれ」


《へい!バアルゼブブ起動! ……完了でさぁ!》



「ありがとう、じゃあ後はそっちに任せるよ」


《承知しやした!お気をつけて!》


 再び腕時計の画面をタップして通信を終える。


「ふぅ。これで一安心だ」


「はい、準備完了ですね、これから何処を目指しますか?」



「そうだね、まず始めに人材を集めたいから…グリムザールにでも行こうか」


「グリムザール…。 もしかして奴隷…ですか?」



「ロック君…そう嫌な顔をしないでくれ。 それに、私達に買ってもらう方が彼らも安全だとは思わないかい?」


「た、たしかにそうですね。 考えが足らなかったです」



「では、我々はこれからグリムザールに向かう。 『リリス』出番だよ」


《はい、それではグリムザールまでのナビゲートを開始します。

ヘカトンケイルからの信号の受信が可能となりました。 マップをご確認ください》


 ピアスからの思念伝達で声が聴こえてくる、これが私のサポートAI『リリス』である。


 私の耳に沢山あるピアスの内1つが光り、目の前にA1(594 x 841mm)サイズのマップが映し出された。 


 そのマップには方角と、グリムザールまでのルート、自分達の居るポイントが表示される。 


 そのポイントに指で触れてスクロールした。


「ん〜なるほど、このまま東に真っ直ぐか。 リリス、マップを邪魔にならない程度に縮小して表示しといてくれ」


《はい、マスター。 ロック・アヴェンタドールにマップデータを送りますか?》



「そうだね、そうしてくれ」


《ロック・アヴェンタドールにマップを送り、表示いたします》


 私達の視界右上にA7(74 x 105mm)サイズに小さくなって半透明なマップが表示された。


「本当に便利ですね、素晴らしい発明です」


「だからロック君にも作ると言ったじゃないか、後で欲しがっても遅いよと確認までしたのに」



「いえ、僕はこういうのは苦手で…」


「仕方ないね、ロック君の方にもアプリは入っているから自分で操作して…ってその方が面倒だろうに」



「僕はそっちの方がやりやすいです、AIと会話するのが苦手なだけですから…」


「君がそれで良いなら構わないけどね。 じゃあロック君、魔導モービルを出してくれないか、さすがにこの距離を歩くのはバカらしいからね」



「はい!準備します!」


 ロックがポケットから、銀色の正4面体の小さなサイコロのような物を取り出し地面に転がした。


 すると、それが浮遊しだして4枚の三角形に分かれて四隅の角を作り、長方形の光りのゲートを生成する。


 そのゲートが頭上まで浮かび、ゆっくりと地面に向かって降りてくる。

 

 それと同時に、3輪の魔導モービルがゲートから現れた。


 魔導モービルが現れると、4枚の三角形が浮遊しながら元の形に戻り、ロックの手元に吸い込まれるように戻っていく。


 これは『テトラゲート』という道具。


 空間魔術を改良して、地下都市ニダヴェーリルの倉庫とゲートが繋がっている。 自由に出し入れが可能で、かさばる事もない。


「見たまえロック君! このレトロながらに近代的なデザインを! 今日のために作った自信作だ!」


「先生の発想は流石ですね、タンクと大きなエンジンが剥き出しなのもカッコいいです」



「ロック君、これがアメリカンの魅力だよ」


「へぇ〜。 あめりかん…っていうんですか」



「では早速だが、乗ってみたまえ」


「ぼ、僕が運転するんですか!?」



「当たり前じゃないか、これはロック君のサイズに合わせて作ったんだから。 残念な事に、私のサイズに合わせたら2人乗りが出来ないんだよ」


「わかりました、安全運転を心がけます!」


 ヘルメットを被り、ゴーグルをかけて魔導モービルに乗り込む。


 魔導モービルの振動とロックな音楽を楽しみながら、私達はグリムザール目指して走り出した。


 ゴツゴツとした場所を東に進んで行くと、草木が生えた場所へと入った、地面に生えた草が禿げて道を作っている、たぶん馬車か何かの通り道なのだろう。


 流れる景色をボーっと眺めていると、森の方から何かが出て来た。


「ロック君、ちょっと止まってくれ」


「どうかしましたか?」


 ロックがモービルを止め、私はゴーグルを外して森を眺めた、すると数十体のロボットに数名の人影が追いかけられているのが見えた。


「アレが見えるかい?」


「アレは… オートマタの群れですね。 複数の人間が追いかけられて…こっちに向かって来ます」


 やはりアレがオートマタか…聞いていた通り人襲うようだな。


「ははっ どうやら早速運が向いて来たようだ」


読んで頂き感謝です( *・ω・)

そんなあなたの今日の運勢は小吉です( *・ω・)


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