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旅立ち①


 鉱暦13012年12月23日


 ドヴェルグ王国の地下都市ニダヴェーリルは、外敵からの急襲を受けて壊滅。


 約712万人のドワーフが石化され、ルーン文字が刻まれた武具が奪われた。


 この日、ドヴェルグ王国の滅亡が世界に知れ渡った…。




 それから8年後…。



 固く閉ざされた地下都市ニダヴェーリルの正面ゲートが開き、中から少年とミノタウロスが姿を現す。


 長い髪を三つ編みにした少年の耳には数多くのピアスが付いていて、眉と口にもピアスが付いている。


 ブラウンの『つなぎ』に身を包み、太いタクティカルベルトを腰に付け、そのベルトには、道具が入っているであろう小さな革のバックが何個か付いている。


 ゴツゴツとしたコンバットブーツを履き、少年はブラウンのキャスケットを被り、ミノタウロスは大きなリュックサックを背負って覚悟を決めた表情でいた…。



「さてと、ロック君。 世界を壊しに行こうか」


「はい、トレイス先生」


 ミノタウロスは髪を黒く染め、色々あって折れてしまったツノは私が改造して継ぎ足した。


 地上に出るに当たり、ミノタウロスの名をNo.69から『ロック・アヴェンタドール』と改名。 数字と牛からインスピレーションを受けて、私が名付けたのだが、なかなか良いのではなかろうか。


 そんな私は、今年で15歳だ。 ドワーフの血統だろうか、身長は低めで150cmほど。


 でもまぁ気にしない、それ以外はしっかりと成長出来ている。


 8年間の準備を経て、これより我々は人間共に復讐を果たすための旅に出る。


「先生…少し緊張してきました…。 上手くいくでしょうか…」


「ロック君、もう少し肩の力を抜こう。 かく言う私も、外に出るのは初めてなので緊張してるんだけどね。 共にこの緊張感を楽しもうじゃないか」



「は、はい。 そうですね」


「心配する事はない、急いで行動する事もないからね」


 なんで私達が、こんな上下関係を構築しているかと言うと、戦闘訓練や実験を繰り返している内に自然とこうなった。


 正面ゲートから3体のロボットが姿を現す。


「では行こう、準備をしてくれ『アルゲス、ステロペス、プロンテス』」


「「「へい!親方!」」」


 この3体は『キュクロプス』という自律型AIだ、2mほどの巨体で独特の自我を持ってはいるが、手先の器用さは折り紙付きである。


 この流れるような美しい銀色のボディ、片目のみにメインカメラを持つのが特徴、1つ目なのでキュクロプスと名付け、それでは呼びにくいのでそれぞれに名前を付けた。


 本当は連れて行きたいくらいなのだが、あまり目立つのはよろしくない。 コイツらとは、地上に出たらお別れだ。


「それでは出発しようか。 アルゲス、運転を頼む」


「ガッテン!」


 3発のロケットを積んだ大きなトレーラー車両に乗り込む、我ながら良い設計だ。


 直径200mの筒型の道、しっかりとしたコンクリート作りで、天井にグロウアリッサムが咲いて足元まで明るい。


 地上まで斜めに進んで1時間ほど、けっこう深い場所にあるようだな。


 しばらくして、正面ゲートと同じ作りの門に行き当たった。


 さあ、始めての外界を拝むとしよう。


「ステロペス、ゲートを開けてくれ」


「へい!少々お待ちを!」


 ステロペスが車両から降りて、ゲート横にある制御室へと入っていく。


 ゲートが開くと、大きな道が伸びていて、それを囲むように城が建っていた。


 城壁の辺りまで進んでトレーラーから降りた、正門は壊されバラバラになっている。


「これが外の世界か。空が高いな…当たり前か」


 城も所々壊されて廃墟のようになっているな、老朽化もあるだろうが、ほとんど破壊された痕跡がある、たぶん人間の仕業だろう。


「先生、見てください」


 ロックが言う方向を見てみると、城を囲んでいる城壁に何か書いてある。


 ネルデ先生の書斎にあった図面と一致する、これが…。


「これが迷いの結界のようだね。 所々消されてはいるが、これはルーン文字だ」


「普通のレンガ作りの壁ですね」



「星霊石を必要としないのがルーン文字の特性だからね。 これを直すのは骨が折れそうだ…。 では早速だけど修復を開始しよう」


「はい先生、準備します」


 ロックがリュックサックから彫刻用の道具を取り出す、キュクロプス達は速乾性のセメントを用意して壊れた壁を修復している。


 皆で手分けして作業を進めて3時間、ようやく壁の修復が完了した。 これで迷いの結界が作動するはずだ。

 

「じゃあ行ってくるよ、私達が山を降りたら『ヘカトンケイル』と『バアルゼブブ』を起動して、正面ゲートを封鎖してくれ」


「「「へい!まかしといてくだせぇ親方!」」」



「じゃあ行こうか、ロック君」


「は、はい!」


 私達は城を拔けて山を下り始めた。 ロックが私をチラチラと見ては何かを言いたそうにしている。


 この必要以上に気を使う性格は嫌いじゃないのだが…。


「なんだい? 私の顔に何か付いているのかな?」


「いえ…先生、髪伸びましたね」



「ん? そんな事か、三つ編みを解いたらもっと長いよ」


「切らないんですか? たぶん目立つと思いますけど…」



「ドワーフには髪を切る習慣は少ないからね、邪魔にならないように前に垂らしているが、もう慣れてしまった。 それに、兄様達の石化を解いて、もし私だと気づかれなかったら悲しいからね。 目立つのは困るが、このまま行かせてもらうよ」


「あ、なるほど、わかりました!」


 ゴツゴツとした山道を降りながら辺りを見渡す、所々に鉄骨で補強された穴が空いてレールが敷いてある。


「ここ鉱山だったんだな、色んな発見があって楽しいね」


「はい、どうりで色んな鉱石が採れるわけですね」



「そうだね、ロック君ばかりに鉱石の採掘を任せてしまってすまなかったね」


「い、いえ! 先生は執筆や研究もありましたし、少しでも役に立てれば僕はそれで構いません」



「大いに役立ったよ、この本の完成もロック君のお陰だ」


「『意念いねん標準模型ひょうじゅんもけい組立理論くみたてりろん』ですね、素晴らしい内容で感動しました」



「はははっ。 これが我々の第一歩となる事を願うばかりだ」


「きっと出来ますよ」


 そうこうしている内に、私達は山の(ふもと)まで降りて来た。


読んで頂き感謝です( *・ω・)

そんなあなたの今日の運勢は吉です( *・ω・)


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