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聖火祭と、白いミノタウロス②


 ゼイールの部屋でくつろいでいると、ドアをノックする音が聞こえてきた。


「殿下、お時間です。 式典の準備がございますので、謁見の間までお越しください」


 執事がお迎えに来たようだ。 この場合私はどうするのだろうか。


「ん、わかった。 じゃ〜お前ら、また後でな」


 ゼイールはツノの生えた帽子を手に取り、軽く皆に手を上げた。


「ほら何してんだ、行くぞトレイス。 祭りだ祭りっ!」


 あ、私も行くのか。

 とりあえずゼイールの後ろに付いて行こう。


 頼れるのはゼイールだけだしな。

 謁見の間か…。そういえば入るのは初めてだな。


 大きな扉が開いていて、中の様子が見えてきた。




 う〜わ…なんて広い場所なんだ…。 あのドラムとスピーカーが気になるな。


 謁見の間の奥に座っているガイランド王とレイシル王妃が話をしている。 王様がこっちに気付いた。


 王冠ではなく、立派なツノの生えた帽子を被っている。


 いったいどんな反応をするのやら…。


「おうおう! お前達!よう来た! ささ!近う寄れ近う寄れ! 久しぶりじゃなあトレイスぅ!」


 王のテンションが高い…。 そんなに会いたかったのなら会いに来れば良いのに。


「は、はい…。 お久しぶりです陛下」


「なんじゃなんじゃ、パパと呼んでおくれぇ〜。 ん~」


 あ~…頬を擦り付けるのはやめてほしい…。 私には愛情が無いのだから。 感覚的にはゼイールだけが家族だ。


 なんか執事が舞踏会場の準備が終わったと報告に来たが、まさかダンスなんかするんじゃなかろうな。


 執事が王と王妃に段取りを説明し、2人は一度その場を離れた。


 ついでかのように式典での私の立ち位置を教えてくれたが、ガイランド王の弟3人と同じ場所だ。


 しかも王から1番遠い…。


「おい」


 まぁ別にいいんだけどさ、これだと血縁関係が分からなくなるだろ。


「おい。 なぜここに居る」


 ビックリしたぁ…ガイランド王ソックリの男に話しかけられた、たしか次男のガイザックだったか?


 やっぱり大人だから私よりは大きい。仏頂面で見下されると怖いな…。


「い、いえ…ここに居るよう言われたので…」


「そうか。 なら仕方あるまい」


 なんか怖い顔してんなぁ…それが甥っ子にする顔か?

 早く始まんないかなぁ…すごく気不味い。


 なんかゾロゾロと人が集まって整列しだした。


 多いなぁ。 これ全部ドワーフか、私の悪目立ちが凄まじい。


 開会式が始まった、皆が整列する中、王と王妃が出て来て椅子に座る。


 ガイランド王が椅子から立ち上がると、皆が両足をタッと揃え、右拳を左胸に当てて頭を下げた。


 いや説明しといてくれよ。こんなこと急に出来るか。


 ガイランド王が椅子に座ると、皆が両手を後ろで組んで、足を肩幅に広げた。


 あ〜もう。 お手上げだよ。


「国歌!斉唱!」


 国歌!?なんそれ知らん!


 いや、あるだろうけども、教えてもらってないぞ。


 ……。


『イェーラアァアァアァアァアァアァアアア!!』


 ダッダッダッダダーダ!ダッダッダッダダーダ!

 ダダッ!ダダッ!ダダッ!ダダッ!

 ギュイィイィイィイィイィィィンンン!!!!


 ヘヴィメタルじゃねぇか。なんちゅう国歌だよ。


 いやドラムとかスピーカーとかあるから変だとは思ってたけど。 ロックの文化があるのかこの国は。


 たしかルーン文字の『イェーラ』の意味は… 収穫、年、報われる努力、だったか。 解読したくなる歌詞だな。


 国歌斉唱が終わり、ガイランド王が立ち上がる。


 皆が両足をタッと揃え、右拳を左胸に当てて頭を下げた。


 よし、今度は失敗せず出来たぞ。


「これより!聖火祭を開催する!」


 ガイランド王が高らかに開催を宣言した。


 拍手喝采の後、しばらくして大きな鐘の音が聴こえて来た。


 なるほど、これで開催したことを街の人達に知らせてんのか。



読んで頂き感謝です( *・ω・)

そんなあなたの今日の運勢は大吉です( *・ω・)


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