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文明レベルを上げてしまった気分だ


 あれから数日が経ち、今日から機械工学の授業が始まる。


 今日はゼイールも一緒なのだな、嬉しい事だが…ゼイールの顔にはアザがある。


 連日の戦闘訓練で洗礼を受けたのだろうか?


 私にも覚えがある、懐かしいな。


 あの時は父さんにボコボコにされたな。 いや、それは毎日だったか。


 今日の授業は実に楽しみだ。


「では、ルクスリムの性質と、それを使った蒸気機関の仕組みを教えますぞ」


 ルクスリムは魔粒子を液化した物で、水よりも沸点が低く、蒸気となった時の体積は3200倍とのことだ。


 生成された蒸気に毒性は無く、しかも魔法にも変換出来る、こんな素晴らしい液体が存在するとは素晴らしい。


 ネルデ先生が教壇の上に、電子レンジほどの大きさの蒸気機関を置いて、私達を近くに呼んだ。


 おっ? ワット型の蒸気機関だな。


 これは楽しみだ。


「では、この小型の魔導蒸気機関を使って稼働実験をしてみますぞ。

 ルクスリムのボンベを繋いで…加熱術式を起動…さて、どうなりますかな?」


 シュッという音が段々と速くなり、車輪を回し始めた。


 次第に高回転を維持し、シュッシュッシュッと小刻みに蒸気を噴出する。 その光景に私は興奮を覚えた。


 仕組みは普通の蒸気機関だが、それでもこの興奮は冷める事は無いだろう。


 この世界で始めて文明らしき物と巡り会えたのだから。


「素晴らしいですね! これがルクスリムの蒸気! それにこの金属の強度! これがアダマント合金ですか!? おや?このパッキンはどんな素材を?!」


 今まで大人しかった私の興奮する姿を見て、ゼイールとネルデ先生の目には無邪気に映ったことだろう。


「これなら蒸気タービンのパワーも凄いんじゃないんですか?! 電気への変換効率も知りたいです!」


 そう興奮して話す私に、2人はキョトンとした表情を見せた。


「はて? 蒸気タービンとはどういった物ですかな?」


「…俺も聞いたこと無いなぁ」


「え?」


 蒸気タービンを知らない? たしかこの世界で蒸気機関が出来たのは12700年代で…この国の建国が今年で13012年だったはず…。 


 300年以上経ってるんだ、流石に知らないわけがない、名前が違うのだろうか?


「えっと…じゃあ少し説明します」


 私は黒板に蒸気タービンの仕組みを描いて説明した。


「と、まぁこういう物なんですけど。 先ほどの蒸気機関のように上下運動から回転運動を作り出すのではなく、そのまま蒸気の力で回転運動を作り出して…」


 2人は目を丸くして黒板に近づいて凝視して唸っている。


 先生は眼鏡を上下させて震えながら、ただただ黒板を何度も見返した。


 ゼイールは腕組みして考えている。


「えっと…どうしました?」


「ととトレイス坊っちゃん! これをどこで知ったのですかな!?」


「いや、こんな機構は見たことがない。

 はははっ

 トレイス、お前は天才だ!凄いぞこれは!」


 なんと…この世界にはまだ蒸気タービンが無かったらしい。


 そういう事もあるのか。


 たしかに、そう言われてみれば授業で聞いた事ないな。


 しかし、あるに越したことはないだろう。

 私は悪くない。


「ん〜…トレイス坊っちゃん。 このぉ…電気を発生させる機構と、タービンの形状について詳しく知りたいのですが…よろしいですかな?」


「あ、はい。 これは用途によって使い分けるんですけど…」


 何故か私が講師をしているような気がするのだが気のせいだろうか…。


 ネルデ先生がノートに書き写し始めた時は自分の目を疑った。 あんたが先生だろしっかりしろ。


 今日は1日中こんな具合いで、1世紀ほど文明レベルを上げてしまった気分だ。


 まあ、そんな簡単に作れる物でもないから別に良いだろう。


 そう思っていた時期が私にもありました。


 何故かと言うと。


 あれから1週間後に、先生が小型の蒸気タービンを作って持って来たからだ。


 いったいどんな技術力をしているんだこの人は、意味がわからない。


 一緒になってはしゃいてしまった。


読んで頂き感謝です( *・ω・)

そんなあなたの今日の運勢は中吉です( *・ω・)


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