散文詩 72 「ミコ姉ちゃん」
日々、心に残ったことを文字にしてみた
「ミコ姉ちゃん」
ミコ姉ちゃんは私の母の姉の娘だ。
一回り年上の姉ちゃんは、圧倒的な力と権力を持っていた。
「チビ・デブ・ブス」が、からかいの主要三要素だったが、
私はいつもブスブスと言われ、ドジだのなんだの散々にからかわれた。
でも私は勉強ができて、一族の中では断トツに賢かったので、
馬鹿とは言われなかった。
それでも「あんたは本ばっかり読んで」とか「机に向かってばっかりで」とか、
勉強することを褒められたことはない。
ミコ姉ちゃんはデブだが、私は品がいいので姉ちゃんをデブと言って
からかったことはない。
そしてデブと言った後に何が起こるのか、危機管理能力も備わっていたので、
そんな大胆な下剋上を企てることはなかった。
姉ちゃんはいじめっ子だったが、お祭りに連れて行ってくれたり、
誕生日には必ず何かくれた。
17歳の誕生日にはブレスレットをもらった。
毎年そのブレスレットにつけるチャームをプレゼントしてくれた。
ブレスレットはたくさんのチャームでジャラジャラになった。
年頃になっても結婚しない姉ちゃんに八百屋のおじさんが、
いつ結婚するんだと通りがかるたびに聞くもんだから、
「私が結婚しないからって何かおじさんに迷惑かけた?!」
ほっといてくれと啖呵を切って帰ってきたことがあった。
そのくせ姉ちゃんは幽霊とか怖い話が大嫌いで、
そういう話が始まると両手で耳を塞ぎ「あ~あ~」と言い続ける。
うるさいから、こっちは怖い話ができなくなる。
雛人形も恐れていた。
昔のお雛様は、顔が能面みたいで何とも怖い感じがしたのだ。
姉ちゃんは長女だから、どっかからもらってきたらしいお雛様を持っていた。
「夜になると踊ってるんだよ」とか訳のわからないことを言って
絶対に雛人形に近づかなかった。
ミコ姉ちゃんも定年退職して一人葛飾に住んでいる。
今でもたまに連絡を取って言いたいことを言い合っている。
友達でもなく本当の姉妹でもなく従姉だが、
従姉以上姉妹未満という、一人っ子の私には大事で不思議な存在だ。




