散文詩 64 「甘えの場」
日々、心に残ったことを文字にしてみた
「甘えの場」
差別用語だとかコンプライアンスだとかで言葉が拘束されている昨今。
言いたいことも思うように言えない世の中。
こう言ったら相手はどう思うだろうか、こうしたら相手は傷つくだろうか・・
相手の反応に戦々恐々として自分の本心を表現することが難しい。
傷つけるつもりはなくても、誉め言葉でも、相手を傷つけることはある。
怒って軽蔑して見下して罵詈雑言を放っても、相手に通じないこともある。
傷つくかどうかは相手が決めることだから。
傷つけるつもりはなく意図せずに相手を傷つけてしまったら謝ればいい。
本心を吐露して、傷つけるつもりはなかったと心から謝ればいい。
謝られたら許せばいい。
「今日における深刻な問題は、家庭においても職場においても、ありのままの自分をさらけ出せる甘えの場の喪失である、喧嘩をしてもまた和解する包容力の欠如である。・・メロン一切れのドタバタ騒ぎ・・・人間とはそういうものなのだ。表と裏をもっと見せればいいのだ。とらやの茶の間が表と裏をはっきり見せるように、寅が表と裏をはっきり見せるように。
・・・うらを見せ おもてを見せて ちるもみぢ」 『寅さんとイエス』米田彰男著
本心を曝け出し合って、本心を言い合って、許し合って、甘え合う。
信頼し合った深い人間の繋がり。
自分が傷つくことも、他人を傷つけることも、怖い。だから本心は言わない。
人間の繋がりが浅い世の中。
自分の裏も表も見せることなく、表面上だけの薄っぺらい陳腐な人間の関わりばかりになってしまった現代。
寅さんが恋しい。




